「国際シネマ獄門帖」
発行・有学書林
著者・中野貴雄
定価・1500円+税
松村清志
中野<国際秘宝カントク>貴雄の映画コラムをまとめた1冊である。イェ〜イ!。僕は知らなかったのだが「オースティン・パワーズ」
(98)の惹句“バカも休み休みイェ〜イ!”は元々、彼が自身のイベントの司会で使っていたフレーズなのだそうだ。大したもんだ。
バカ映画を作り続ける彼らしく誰も知らない辺境作、映画界のスラムのようなバカ映画の数々を紹介してくれている。こうしたスラムの
クズ拾いはまさに彼の本領発揮だろうが、意外や(?!)オシャレな渋谷系や映画の大通りの有名作を語っても、実にいいのである。
短い言葉で的確に寸評してみせている。「アイズワイドシャット」(99)は<64億円かけたにっかつロマンポルノ>だし、
「オー・ブラザー!」(00)のテーマは「神話のない国・アメリカの神話」という評言など、まさにその通りだと思う。宮崎テンノウの
作品を“千とズリのカリ隠し”などと茶化さず(俺が茶化している?)、マジメに語った文など、意外とこの人バカのふりしたインテリ
ではないかと思える。「チャーリーズ・エンジェル」(00)をドイツ語読みしたりもするのである。映画だけでなくマンガや小説など
サブ・カルにもくわしそうだ。“バカは教養をもってイェ〜イ!”。
「ゴッド・アンド・モンスター」(98)や「ゴースト・ワールド」(01)などへの共感からは彼の実はピュアな魂が伝わってくるし、
愛すべき珍品「シックス・ストリング・サムライ」(98)への友情宣言もうれしくなってしまう。そして何と、彼の個人サイトの
アドレスは“シネチリ”に酷似の http://shinjuku.cool.ne.jp/n_tko/ なのだ!!。お友達になりたい!!。