「『ターミネーター』解剖」

 発行・扶桑社
著者・ショーン・フレンチ
訳者・矢口誠
定価・933円+税 

松村清志
 

 




12年ぶりのシリーズ最新作が公開されたジェームス・キャメロンの出世作の魅力を、原案・脚本・監督の「ターミネーター」(89)
「ターミネーター2」(91)を、特に第一作に重点をおいてその映画術を徹底分析した評論本である。BFI(英国映画協会)が刊行している
(BFIモダン・クラシック)という映画評論叢書の1冊を翻訳したもので、著者のショーン・フレンチは実の弟が以前本棚で紹介した
「『地獄の黙示録』完全ガイド」(刊扶桑社)の著者のカール・フレンチ、父親が「西部劇・夢の伝説」(刊フイルムアート社)の著者
フィリップ・フレンチという映画評論の名門一族の出身で、妻と共著ベニッキ・フレンチ名義のサイコサスペンス・ミステリィを
いくつか発表してもいて、そのうちの1冊はチェン・カイコーによって「キリング・カイコーによって「キリング・ミー・ソフトリー」
(01)として映画化されている。この説明だけでも本書は安心して読んでいただけるのではないかと思うが、さらに訳者の矢口誠は
「ターミネーター2」を生涯のベストワンに上げている人であり、その彼による『あとがき』も素晴らしい。原書は「タイタニック」(98)
発売以前の96年に刊行されたものだが、矢口は「あとがき」で「ターミネーター」と「タイタニック」の構造上の共通点を見事に分析して
見せている。「タイタニック」に感動した女性はまず先に『あとがき』に目を通して欲しい。すぐさま本文を読みたくなるだろう。
僕も多くの女性達が「タイタニック」のラストの写真に心を揺さぶられたその本当の意味を理解できて目からウロコが落ちる思いだった。
ジェームズ・キャメランのフアンはもちろん、アンチ派も、女性も男性も、映画好きは必読の優れた(具体的で判りやすい)評論本である。
そして、本書を読めば「ターミネーター」「ターミネーター2」「タイタニック」等を再見したくなるし、キャメロンからジョナサン・
モストウに監督が交換した「ターミネーター3」(03)の出来映えを確認する為に、すぐさま劇場に駆けつけたくなる事は、
言うまでもあるまい。

                            


戻る