「わが心に歌えば」

 発行・主婦の友社
者・久世光彦
 定価・1600円+税

桑島まさき


 


 1935年生まれの著者は今年68歳。演出家、作詞、脚本、評論、エッセイなど多岐にわたって活動を続けている。日本が敗戦した時、
著者は10歳の少年だった。あとがきにあるように、求めてやまない本や充分な食べ物が手に入らなくても幻のように美しい幻の<文化>を
夢想した。国土も人々の心も焼け野原状態だった時、右向きの反米少年だった著者が、突如として降るスコールのように入ってきたアメリカ
映画に無条件降伏しても誰も咎めることはできないだろう。
 
 何もなくなった時代に夢をみることだけを教えてくれたアメリカ映画の数々。本書は<私の今日の日々は、二十歳過ぎまでの間に作られた>
と言う著者が、主にその時代に見たもの、聞いたもの、読んだもの、をつれづれなるままに書いたものだ。タイトルとおりの
「わが心に歌えば」他、アメリカ映画を中心とした32本立て。
 つとに美文家としてしられる著者の言語感覚には目を瞠るものがある。

                            


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