「日本映画の歴史と現在」
発行・新日本出版社
著者・山田和夫
定価・3700円+税
桑島まさき
映画評論家、山田和夫氏の日本映画の再生を願う熱い評論。主として90年代から2000年代はじめにかけて新聞、雑誌に発表した論稿の
中で日本映画に関するものを集めたものだ。
三百ページ弱の本だが中身は実に濃い。<日本映画史の軌跡>の章では、日本映画から見た歴史の真実を厳しく指摘し、名だたる映画
監督や同業の評論家の論稿に真っ向から対決しているのが読み応え充分で、映画時評といった趣きがあり、筆者のこの国を思う気持ちが
溢れんばかりの迫力に満ちている。<作家と作品>の章では、日本映画の巨匠たちの作家論及び作品論を独自の視点で説く。その上、
<日本映画再生の展望>と<映画の理論的探求>という映画産業の実情や芸術論にまだ話が及ぶのだから広範な映画評論集と言える
だろう。
しかしながら難解な部分もかなりある。だからこの手の本は、じっくりと現在、過去、未来、良質の作品に触れるたびに紐解いてみる
とよい。何せ日本映画の歴史と未来予想図が記されているのだから参考にならないはずはない。本当の映画ファンはこうやって映画熱を
ヒートアップしていくものだ。
日本映画界の巨匠や名作を生み出した撮影所が次々と姿を消し、映画館ばかりがオープンする実情の他、”日本映画産業の危機”の
要因は諸々あるが、映画を観る側の観客も又不可分の責任を持つことを忘れずにいよう。