「シネマ革命 1960」
発行・フィルムアート社
編者・村山匡一郎+編集部
編集協力・西嶋憲生
定価・2000円+税
松村清志
若者の時代、カウンター・カルチャーの時代であったといわれる60年代を再検証した1冊である。60年代で何が変革されたのかは僕には
よく判らないが、少なくともこれだけはいえるだろう。映画がただ映画ではなく、音楽、ダンス、絵画、文学といった他のアートとの
混合物であるという意識が明確となり、そうした他ジャンルとの交流が顕著に表面化してきた時代であったという事、そうして、正統/
異端、主流/傍流といった境界線があいまい化し、いわゆるボーダーレスの時代と呼ばれるものが、このあたりで本格的に始まったと
いう事、である。
本書はそうした事がよく判るように他ジャンルへ目くばりしつつ、社会的・政治的な事件にも目くばりしつつ、編さんされている
ので、今後、60年代の映画を<体験>するうえで手放せないガイド・ブックとなるであろう。ついでにいえば芸術が<鑑?>するもの
ではなく<体験>するものであるというスタンスが浸透し始めたのもこの時代であったという事も判る、刺激的な本である。
それにしても、本書の執筆陣のなかでその時代を<同時体験>していない71年生まれの森直人の文章が最も面白いのは何故なのか。
特に大島渚「東京 争戦後秘話」への考察と再評価には同感である。変革の時代であった60年代は、エイジレスに語り直され続けて
ゆかねばなるまい。