「冬の日 オフィシャルブック」
発行・エスクアイア マガジン ジャパン
企画・制作・高城昭夫、島村達夫
編集・遠山純生
定価・1600円+税
松村清志
松尾芭蕉の連句「冬の日」を元に世界のアニメーター35人が競作したアート・アニメーションのガイド・ブックである。
各作家へのインタビュー、各作品の絵コンテ、各句の現代語訳など、映画「冬の日」をより深く楽しむ為に必要な情報がもれなく収録
されているといっていい。アート・アニメーションのガイド・ブックでは定評のあるエスクアイア マガジン ジャパンだが、さらに
又、充実の1冊が加わった。映画「冬の日」と同時上映のそのメイキングである「冬の日の詩人たち」を楽しんだ後に、ぜひじっくり
読んで欲しい。
さて、ここで書評を離れて試写で見せていただいた映画「冬の日」に対する個人的な感想を述べてみたい。日本のアート・アニメの
名匠、川本喜八郎が発案し、日本の誇る言葉の芸術である俳句を題材としただけに参加アニメーター35人のうち、27人までが日本人と
いうメンバーだが、僕は彼らの作品よりもユーリー・ノルシュテインを始めとする外国人アニメーターの作品の方をより興味深く見た。
実写映画では「キル・ビル」「ラスト・サムライ」と2本続けて日本を扱ったメジャー大作が公開され好評を得ているが、ここでの
外国人アニメーターの作品もそうした“エキゾチック・ジャパン”“フリクショナル”ムービーとして楽しめたという事だ。特に、
やはりノルシュテイン、そしてラウル・セルヴェ、アレクサンドル・ペトロフなどは作品的な完成度が高いばかりではなく、いわゆる
考証的にも違和感がほとんどなかった。今度はオール外国人作家による日本を題材とした競作を見てみたいとも思った。
最後に企画提案をひとつ。稲垣足穂のファンタジー「一千一秒物語」の競作アニメ化というのはいかがであろうか。
※映画「冬の日」はラピュタ阿佐ヶ谷にて上映中