「映画が教えてくれた スクリーンが語る演技論」
発行・論創社
著者・高橋いさを
定価・2000円+税
松村清志
著者の高橋いさをは1961年、東京生まれ、劇団「ショーマ」主宰。劇作・演出家。本書は、彼が演技指導をしている演劇の専門
学校と俳優養成所の若者たちに配った文書をもとにしている。
小難しい“演技論”の本を読むより1本の名作映画からの方が、はるかに学ぶものが多いという著者の考えには僕も賛成である。
ここに取り上げられた53本の映画は、今ではほとんどビデオやDVDで手軽に見られるはずだから、俳優志望の若者には格好のテキスト
としてオススメしたい。
そして、普通の映画ファンや映画マニアにとっても、俳優で映画を楽しむという初心に帰り、監督中心主義で見ていたのでは気づか
ない俳優の演技力を判断する目を養ってくれるという点で、色々と得る所の多い本となっている。
特に僕は「刑事ジョン・ブック/目撃者」「シザーハンズ」「危険な情事」「デス・トラップ 死の罠」についての文章に共感
した。そうして“演技論”のみにとどまらず、“演出論”“エンターテインメント論”などもさり気なく盛り込まれた意外と奥深い
本でもある。
著者はもともと映画好きで映画監督志望の時代もあり、「けれどスクリーンいっぱいの星」というタイトルの芝居を上演しても
いる。いちどその演劇も見てみたいと思う。高橋さん、次回上演の際にはぜひご案内下さい。