「シネ・アーティスト伝説」

発行・フイルムアート社
  編・森直人+石原陽一郎+編集部
 定価・2000円+税
 
松村清志






 「人生そのものが作品」……かって比喩や揶揄でしかなかったこんな言い回しが、いま、かぎりなくリアリティをもっている──
という前提の元に、50〜90年代をへて現代まで、多彩な才能を発揮した44人のアーティストを論評した1冊である。
 44人のうちわけはジャン・コクトー、寺山修司といったマルチなアーティストからドミニク・サンダ、J=L・トランティニアンと
いったほとんど俳優専業者、セルジュ・ダネー、佐藤重臣といった批評家まで様々な人物が取り上げられているが、マヤ・デレン、
スタン・ブラッケージを1本も見ていないのは僕の不勉強として反省するしかないが、オノ・ヨーコを加えるぐらいなら、やはりその
影響力、才能、残した映像の多さからしてジョン・レノンの方を選別してほしかったと思ったし、マリア・シュナイダーを加えるの
なら、出演作品の多さからいってもピエール・クレマンティも忘れて欲しくなかったなどとも思ってしまうのだ。
 そして、「人生そのものが作品」というのなら何といってもそれをそのまま実践してしまったかの三島由紀夫が抜けているのが
物足りない。むろんあまりに大き過ぎる存在であるし、「憂国」も「MISHIMA」も見られない日本の現状では致し方ないのか。
 そんなわけで、70年代までに活躍したアーティストの人選にはいささか不満もあったが、80〜現代までの人選についてはまずは妥当
であろう。特に、本サイトの(一応の)ゲスト・ライターである森直人氏による“レオス・カラックス”“スパイク・ジョーンズ”
の項が出色で読み応えがある。

 


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