「青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!」
発行・リトル・モア
著者・青山真治・阿部和重・中原昌也
定価・1500円+税
松村清志
今や若者たちの神々といってもいい(?)綺羅星のごとき3人が贈る、映画をめぐる最高に幸福な読書タイム!である。流行りの
シネコン(複合映画館)とは無縁の場所で。3人のシネマコンプレックスが炸裂するバラ色トークバトル。
第一部の【作家主義シネマ鼎談】、第二部の【−1対談】。前者を読めばそこで語られる映画を観たくなり、後者を読めば3人の
作品に接したくなる。そんなわけで本書は、名前はきわめて有名でありながら、その実体はよく知られているとはいいがたい3人へ
の入門書として、まずはオススメしたい本である。
3人とも観る人であるとともに、書く人、小説家であるのが大きな特色であろう。阿部・中原はもちろん、青山も自作を小説化して
おり小説版『EUREKA(ユリイカ)』では、何やら受賞してもいる。僕は彼らの小説は1冊も読んでいないが、ともかくひと通り
は読んでみなければいかんという気にはさせられた。そうした意味で、彼らが親密にその人となりと価値観の由来を開示し合った
【−1対談】は貴重な読み物となっている。
【作家主義シネマ鼎談】では、世代的には80年代のニュー・アカデミズムの洗礼をもろにかぶっているであろう3人が、80年代の
ニュー・アカの論客の間ではほとんど評価されなかったジョン・カーペンターとブライアン・デ・パルマの復権を目論んでいるあたり
がとても面白かった。やはり「ゴースト・オブ・マーズ」(01)など見ると本当にカーペンターの変らなさ、というのは捨てがたいし、
デ・パルマのロバート・デ・ニーロをいち早く起用したり、「フューリー」(78)のジョン・カサヴェテスとか「カリートへの道」
(93)のジョーン・ペンとか、役者の使い方のうまさなど、もっと評価してあげたいと思ってしまうのだ。
青山・中原はすでに評論集が発行されており。阿部も先頃「映画覚書vol.1」が刊行されたばかりだ。本書は、彼らの小説や評論を
より深く味わう為のサブ・テキストとして、有効に活用すべきトーク集となっているといえよう。