「イオセリアーニに乾杯!」 

発行・エスクアイア マガジン ジャパン
監修(グルジア関係)・児島康宏
編集・遠山純生
 定価・1400円+税
 
松村清志



 東京での上映は6月に好評のうちに終了し現在全国順次公開中のグルジア出身の映画作家、オタール・イオセリアーニ、本書は
その特集上映「イオセリアーニに乾杯!」の公式ガイド・ブックである。
 発行元はこれまでにもジヤック・タチゃアート・アニメーションなどの優れたガイド・ブックを発行してきているエスクアイア
 マガジン ジャパンゆえ、装丁の美しさ、豊富な写真、資料としての充実ぶりは保証されている。価格も手頃でまずは買って
おいて損のない1冊である。
 実の所、僕はタイミングが悪くイオセリアーニ作品のほとんどは試写も劇場もいきそびれてしまっていて、今だに彼の作品は
「素敵な歌と舟はゆく」(96)「月曜日に乾杯!」の2本しか見ていない。悪くない本であった。ジャン・ルノワールとジャック・タチ
を合わせてほんの少しルイス・ブニュエル風のスパイスを効かせた作品といった印象を受けた。
だが、僕はまだ彼の真価が判っているとはおそらくいえないであろう。そういう立場だからこそあえていわせていただくと、本書では
作家論や作品論が収録されていないのがいささか物足りない。資料としてはおそらく完璧に仕上がっているのであろうが、それだけ
ではなく、ひとつふたつは何をさしおいてもイオセリアーニを見よ!とアジテートするようなクリテイックも欲しかった。
イオセリアーニは、まだまだこれから発見されてゆかねばならない作家だということか。

 


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