「宮崎駿のアニメ世界が動いた カリオストロの城からハウルの城へ」
発行・清流出版
著者・上島春彦
定価・1200円+税
松村清志
松本俊夫、加藤幹郎、蓮實重彦、山根貞男という、見巧者、読巧者の論客が審査員わ務める第4回(2004年)京都映画文化賞受賞の
論考、「宮崎駿のアニメーション世界」をもとにして新たに「ハウルの動く城」論を付け加えてまとめた1冊である。
映画評論を志す者にとつて最高の栄誉といっていい賞を得た論考に対して僕ごときが、あれこれ言うのはいささかおこがましいと思う
ので、ずるいが「書評」には逃げの手を打っておこう。
だが、本書は1200円という手頃な値段であり、宮崎アニメのファンはもちろん、映画という開かれたテクストをより深く味わいたいと
希求する映画好きは必読であるのは言うまでもない。
僕がこれまでに読んだ宮崎駿論はわずか4冊ほどだが、その中では本書が最も読み応えがあったし、個人的には好きな宮崎作品である
のに他の本ではほとんど無視に等しい扱いを受けている「紅の豚」にわずかとはいえ言及し(77〜80ページ)、その作品としての重要性
をきちんと位置付けていてくれたのがうれしかった。
著者の上島春彦の著書としては95年「モアレ 映画という幻」(刊・世界思想社)についでの本だが、「モアレ〜」に収録されている
様々な論考もとても興味深く、特にセルゲイ・パラジャーノフ論はそのまま本書につながっているので、そちらも合わせて一読を
オススメしておきたい。