「おすぎです。映画を観ない女はバカになる!」
発行・主婦と生活社
著者・おすぎ
定価・本体952円
桑島まさき
<評論家>ではなく、<劇場勧誘員>というお茶の間の人気者、おすぎさんの映画に対するスタンスは、そのまま文章に表れている。
評論家の書く映画評論にみられる難解な表現は避け、難しい方法論による分析ではなく、ストーリー中心に解説していく。視点も、
役者、ファッション、音楽、小物といった女性が関心をもちそーなところへ向いている。逆を言えば、映画を精緻に読み解きたいと
いうファンには物足りないだろう。
本書は、おすぎさんが10年以上連載している雑誌「JUNON」に書いたコラムから厳選し、303本をとりあげ、恋愛、ほのぼの、
号泣、など12ジャンルに分け紹介している。おすぎさんは洋画中心なので、残念なことに日本映画は取り扱っていない。10年以上
連載を書きつづけているのだから、その数はゆうに800本を越えている。その中での選出はさぞかし困難を極めただろうが、概して
ポピュラーな作品ばかりを選んでいるので、あの作品をおすぎさんはどう評するのかなーと気になっている人たちにはうってつけ
だろう。
ジャンル分けにムリがないこともない。たとえば、「イル・ポスティーノ」や「ライフ・イズ・ビューティフル」は<号泣>に入って
いるが、ヒューマンドラマの傑作と思う筆者にとっては違和感がある。これら人生を教えてくれたすばらしい作品は、号泣するという
より深く静かに胸に染み入る感動作というのがふさわしい。<カルチャー>のジャンル分けがとりわけムリがある。ここに「戦場の
ピアニスト」が入っているのだが、主人公はピアニストだが、これは壮大な歴史ヒューマン・ドラマだけにひっかかる。まあ、該当
するジャンルがないので仕方ないかー。
ともあれ、自分の人生ではない幾つもの人生を観ながら体験することができるのだから、映画は単なる楽しみ以上の学びの手段で
あり、感性を刺激してくれる手ごろな芸術でもある。「バカになる!」という言葉がキツいならば、「枯れてしまう!」と言い
換えてもいい。女は死ぬまで枯れたくないものだ。さあ、今週は何を観ようかなー?