「思想読本J 1968」

発行・作品社
編者・?秀実
定価・2000円+税

松村清志


?秀実主演、井土紀州監督による映画「レフト・アローン」は先頃上映を終了してしまったが、本書はその公開に合わせるようにして
出版されだ20世紀唯一の世界革命゛といわれる「1968年」を様々な角度から検証した1冊である。
正確にば映画の本゛のカテゴリーに収まるシロモノではないので、慎重に取り組もうと考えているうちに評を書くのが遅れて
しまったわけだが、昨年ば映画の本゛として書名に「68年」を冠した「大島渚・1968」(刊・青土社)と「68年の女を
探して」(刊・論創社)という刺激的な2冊と、やはり60年代と切り離す事ができない「吉田喜重の全体像」(刊・作品社)も発行されて
いて、本書はそうした60年代映画≠より深く読み解く為のガイド・ブックとして活用すべき本だといえよう。
ダイレクトに映画に言及した文章は、井土紀州がどマイナーな「ねじ式映画 わたしは女優?」(69/監督・岩佐寿弥)を紹介したもの
と、前述の「68年の女を探して」に対するフェミニズム側からの反論のような田村千穂の文のみなので、映画ファン的にはこの2つ
の文章と、?秀実による序論、蓮實重彦+上野昂志+?秀実の3者による座談会をまず読了しておいて、後は必要に応じて拾い読みして
いけばいいのである。
「日本の68年」と「世界の68年」を入門書的にまとめてくれていて、それでいてカタログ的な薄っぺらさにはならず、思想的な
゛核゛を感じさせる文章が集められている。
単なる「映画オタク」としてこじんまりとまとまらない為に、先行する世代との対話の為のベーシックとして、゜68年以降」に
生まれた世代の方が、より興味深く読める本ではなかろうか。


戻る