「ハリウッドの個性派37人」
発行・近代映画社
著者・おかむら良
定価・本体1800円
桑島まさき
人気女性映画評論家の著者が雑誌「SCREEN」に連載したものに新たなデータを追加し、ハリウッドの大物役者37人を厳選。
6つのキーワードに分け、37人の魅力に迫り徹底解析する。「スター図鑑」なみの詳細なデータで役者のバックグランドを説明し、
作品とのかかわり方を読み解き、彼らの現在と未来を展望する。ハリウッドの大物だけに、誰でも知っている役者なのが嬉しい。
第4章「東海岸育ちのインディーズ系」に取り上げられているヴィゴ・モーテンセン。筆者はかなり前から彼に目をつけていたが、
モーテンセンの役者としての魅力を世界中の人々にみせつけたのは、「ロード・オブ・ザ・リング」からではないだろうか。
ヨーロッパ系の風貌と風格、知的でちょっと不良っぽい仕草。そのアンバランスな雰囲気がなんともいえない魅力を放っている。
モーテンセンが写真や絵画や詩の分野でも才能があり、プロとして認められていることを知る人は多いだろう。彼はグウィネス・
パルトローと共演した「ダイヤルM」(98年)で、画家役を演じたが、作中のアトリエにおいてある絵画を、自分にまかせろ!と
申し出て、実際に45枚もの作品を2週間で書いた、というエピソードは興味深い。
フランス映画のスター、ジャン・レノをフランス人だと思っている人は多いのでは? 実はスペイン人の両親をもち、モロッコで
育ち、フランスで演技を学んでいる。
ワル役の似合う低音のケビン・ベーコンが、イーストウッド作品にでたくて、会うたびに執拗に自分を売り込み、ようやく
「ミスティック・リバー」に出演したというエピソードも、本書ならではの情報ではないだろうか。
余談だが、筆者の若い頃から現在までの映画雑誌歴は、10代は「ロードショー」→20代は「SCREEN」(勿論、今でも時々
みています!)→現在は批評中心の某雑誌を中心としている。一応、映画に関する仕事をちびちびしているので、映画関係の雑誌は
ひと通りチェックはしているが。
10代、20代の頃は、映画スターで映画を楽しんでいたので、写真がふんだんに使用されていて、ゴシップてんこもり、わかりやすい
映画の解説が書いてある雑誌に、大変魅力を感じた。しかし、スターよりも監督や作品で映画を観るようになってしまった現在は、
もっと批評を読みたい。でも、スター情報や楽しいエピソードに触れると、やはりワクワク興奮するものだ。そういう点で、本著は、
あらゆる世代の映画ファンを楽しませてくれるだろう。