「最近見た映画 3月19日(金)〜26日(金)」
松村清志
まだまだはまるジョン・ディクスン・カー(別名・カーター・ディクスン)、すでに35冊だい!!。カー、カー、とカラスのように
鳴く。今まで、い〜かげん人生無駄に過ごしてしまったが、カーの為ならもう少し人生無駄にしてもいいとさえ思う。頼まれなく
ともまだまだ書く。カーはミステリとしてトリックのデパートである以上に、ストーリーテラーであり、エンターテイナーであり、
エンターテインメント小説手法のデパートだ。彼の笑いのセンス、スラプスティック映画のようなことを活字でやられてもおかしく
ないという意見が長らく日本では通説となっていたようだが、僕は大好きだ。確かに時としてすべってしまうこともあるが、うまく
はまると絶妙なのである。
例えば、カーター・ディクスン名儀の「騎士の盃」(52)という小説は、ほとんど最良のハワード・ホークスのスクリュー・
ボール・コメディか、最良のジャン・ルノワールの作品のように楽しめた。インディアンごっこに興じる9歳の男の子は出てくるわ、
堅物の男女が突如発情してしまうわで大いに笑えるのだ。“ユーモア・ミステリ”としてハワード・ホークスのファンやジャン・
ルノワールのファンにこそ1読をオススメしたい。
さて、最近見た映画です。
3月19日(金)
「エル・コロナド 秘境の神殿」 メディアボックス試写室
昨年公開された“ジャーマン・ウエスタン”「マニトの靴」に次いで“東京ファンタ”の総合プロデューサー、大場渉太氏率いる
グループが宣伝を手がける、B〜C級テイストあふれるエンターテインメント。やはりドイツ出身の監督が、ローランド・エメリッヒ
の協力の元で仕上げたアドベンチャー映画。“女版インディ・ジョーンズ”といったタイプの作品で低予算なりに特撮もきちんと
している。しかし、やはり安い。「マニトの靴」は割と好きだったが、本作は退屈した。すまん。
「カレンダー・ガール」 ヴエナヴィスタ試写室
中年過ぎて初老にさしかかった「婦人連合」所属の女性達がヌード・カレンダーを撮ってしまうという、99年にイギリスであった
実話に基づく映画。ヘレン・ミレン以下、うば桜キャスト(失礼!)がずらりの、当然のように女性の為の女性を勇気づけ映画。
「リトル・プリンセス」(94)のセリフではないが「醜くても老けてても女の人は皆、お姫様なんだから」という気分にひたれる
映画といえばいいか。
だが、「フル・モンティ」(98)をオヤジの裸なんて見たくないよ〜っと思いつつ見た女の子達が感動したように、本作、おばさん
の裸なんて見たくないよ〜っと思う若い男の子たちにこそ見て欲しい映画でもある。熟女のよさを認識できる。ロリコンに走るアブ
ない若者に対する教育的効果もあるかも。秀作。
24日(水)
「トスカーナの休日」 ヴエナヴィスタ試写室
ダイアン・レイン主演。離婚で心に傷を負った女性作家がイタリアのトスカーナ地方の古い屋敷を買って移住し、土地と人々との
ふれ合いのなかで癒されていくという物語。痛んだ屋敷の修復と心の修復が重ね合わされるなど、いかにも作ったお話っぽいが、
実在の作家のベストセラー自伝が原作である。少女スター、ダイアン・レインは大人のいい女になった。イタリアはいい所だ。皆、
見にいたりあ(関西弁)。
「オーシャン・オブ・ファイヤー」 ヴエナヴィスタ試写室
不勉強ながらアメリカで公開されたのかどうかの情報も得ていなかったし、これが初主演といっていいヴィゴ・モーテンセンと、
共演が往年のスター、オマー・シャリフというキャストも地味だし、唯一、監督ジョー・ジョンストンにかすかな期待を抱いて見た
のだが、これは楽しめた。136分というちょい長めの上映時間も退屈はしなかった。西部開拓時代が終りかけていた時代のカウボーイ
が、アラブの地で行なわれた砂漠横断レースに、野生馬(ムスタング)に乗って参加するという、実在した人物を主人公とした映画。
西部劇とアラブ活劇を合わせたような面白さがあり、野生馬が何とも魅力的に撮られておりウマい映画だと思う。
26日(金)
「ピーター・パン」 ソニー試写室
ピーター・パン映画の決定版!!とはいうものの僕は他にディズニー・アニメとスピルバークのゆるい中年ピーター・パン映画
「フック」(91)しか知らないし、舞台版も全く見ておらず原作も読んでいない。
だが、おそらく本作、シェイクスピア「ロミオとジュリエット」が数多く上演・映画化されてきたなかでフランコ・ゼフレッリ
監督が原作通りの年齢の俳優に演じさせた決定版を作った時のような、価値を持つ作品ではないか。ウェンディの家庭と家族の描写
などもよいし、主役の男の子も“萠え”キャラとして女性にオススメ出来よう。
先頃、軽くコメントした「ホーンテッド・マンション」は率直にいって凡作だが、本作は掛け値なしのファミリー・ピクチュアー
の秀作である。
「ビッグ・フィッシュ」 ソニー試写室
大人になったティム・バートン、これまでのバートン映画が闇のファンタジーだったとしたら、これは光のファンタジー、他者を
傷つけるハサミのような“異物”を抱えてきたバートンが他者を受け入れ外界と和解していく大人となった事を証明するかのような
映画である。「フォレスト・ガンプ」(94)のようなアメリカのほら話ともいえようが「〜ガンプ」ほど現代史にしっつき過ぎた
うっとうしさはない。ややゆるやかなテンポも、ゆったりとした川の流れに身をひたすようで、ここちよいのである。ティム・
バートンの集大成であり新境地ともいえる傑作。今年のベストテン入りは確実であろう。