『最近見た映画〜「ニワトリはハダシだ」「雨鱒の川」「ヴィタール」
松村 清志
まず最初に少し宣伝、現在発売中の「映画芸術」誌409号にまだ書評゛を書かせていただきました。ぜひぜひお買い求め下さい。
最近見た映画ではやはり「エレファント」かな。何をいまさらといわれそうですが、結構見のがしも多いです。それにしても今年の
洋画は僕的には豊作。ベスト10どころか15ぐらいは楽々と選べそうな気分。日本映画は見逃しが多すぎるが、先ほど書いた
「ザ・ゴールデン・カップス・ワンモアタイム」はよかったし、森崎東の「ニワトリはハダシだ」も、森崎が本当に作りたかった
自主映画としては「黒木太郎の愛と冒険」(77)「生きているうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」(85)をしのぐ出来映え。前述
の2作は「一升瓶についつい二升入れてしまう」(森崎談)森崎の悪い癖で、飲めない酒を無理やり飲まされたような感がったが、
「ニワトリ…」は心地よく酔えた。蒸留されたロシアン・ウォッカのようなものか?。
磯村一路「雨鱒の川」は北海道を舞台にした純愛映画といっていいが、自然と人間とのコスモロジーのようなものが感じられる秀作
である。「ビッグ・フィッシュ」ならぬ「スモール・フィッシュ」、純愛のほら話としてファンタジー映画のように楽しめれば
よいか。クライマックスの恋人たちがイカダで川下をくだりするあたりがチャチなのは惜しかった。ここは危険覚悟でもっとビック
・リバーで撮影して欲しかった。
塚本晋也の「ヴィタール」は純愛映画ならぬ洵愛映画といった所か。解剖映画だが解剖シーンそのものにはドロドロの生々しさはなく
意外にプラスチック感覚。前作「六月の蛇」(02)に次いで全編に雨の降る液体質の映画といってよいが、雨が人間の液体と結びつく
ような生々しいイメージはなく、沖縄ロケシーンの青い空と海がすがすがしい。スプラッター、ホラー的興味で見るとはぐらかされる
が、塚本という人は題材のセンセーショナリズムとは対照的な、省略の美学をわきまえた人ではないかと思う。
以上、またもや走り書きですまん。やぼ用や見のがしフォローや読書などで、あわただしくすごしております。私は手抜きをして
おりますが、「ゲスト・コーナー」は来年にかけて更にパワーアップしますので乞う御期待!!。