『最近観た映画〜「樹の海」「魁!クロマティ高校」「ある朝、スウプは」
「四日間の奇跡」「亀は意外と速く泳ぐ」』
松村清志
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さて、最近観た映画です。
「樹の海」−2004年度東京国際映画祭−日本映画・ある視点部門−作品賞・特別賞受賞作品。自殺の名所として名高い富士の樹海に
集まった幾人かの男女の姿を、4つのエピソードを交錯させながら描いて、「生きる」ことへの希望をもたらすことを意図して
作られた映画といえばいいだろうか。
悪くはない。が、僕は感動する所まではいかなかった。4つのエピソードのうち、井川遥のエピソードと塩見三省と津田寛治の
エピソードはまずまずだと思えたが、萩原聖人のエピソードはあれでもい生きていられるのは嘘臭いと思ってしまったし、池内博之と
小嶺麗奈のエピソードは池内舌を巻くだけの台詞回しで演技がヘタに見えたし小嶺もキャラが理解出来なかった。
恐ろしい場所のようにも思われている樹海が実は生命力に満ちた場所だという捉えおもさほど新鮮でもない。フォーク・ソングの名曲
「遠い世界に」がうまく使われているの
で、60〜70年代のフォークの洗礼を受けた世代なら取りあえず一見の価値はあるとはいえようか。
「魁!クロマティ高校」−先頃公開された「隣人十三号」ほどではないが、人気マンガの「実写版として上出来である。監督は
「地獄甲子園」の山口雄大。「地獄〜」は所詮自主映画といった程度の印象しか残らなかったが、本作は充分エンターテイメントして
いる。
まず僕が気に入ったのは、どこまでが原作によるものかは知らないが、本作が懐かしい“特撮”映画やTVへのオマージュやパロディと
して仕上げられている点だ。何故か「地球防衛軍」を結成したり、いかにも安っぽい空飛ぶ円盤が出て来たり、極めつけは往年の
“特撮”TVシリーズ「宇宙猿人ゴリ」をまんま登場させているのがいい。
「宇宙猿人ゴリ」は後に「スペクトルマン」となったシリーズの初期の題名だが、しいていえば佐々木守、原案、脚本による初期の
「シルバー仮面」のようなダークでアダルトなタッチに「猿の惑星」のような文明批判的視点を加えた好企画であったといってもいい
のではないか。
本作の後半部は、大げさにホメればテイム・バートンとエド・ウッドと少林寺カンフー映画をごった煮したかのような楽しさがある。
魅力的な女性がまるっきり出てこないのもかえってすっきりしていていい。男の子映画なのである。キャストも皆、はまっていると
思えた。
「ある朝、スウプは」−昨年のPFF(ぴあフィルム・フェステバル)のグランプリ作品である。海外のエンディペント系の映画祭
でも高評価されているようだが、それほどのものとは思えなかった。ジョン・カサヴェテスまで引き合いに出すのは、いくら何でも
ホメすぎである。
もっとも、こんな風に思ったのは僕が勝手に宗教ネタに飽きてしまったという理由もある。かつて「おかえり」(95)を観た時には、
オウム真理教に象徴されるような“SSジェネレーション”の不安感が反映されているなどとあえて“誤解する権利”を駆使して
おきながら勝手なものではある。
しかし、「忘れられない人々」(01)があり「カナリヤ」(04)もあって、本作で新興宗教を出されると「ああ、またか!!」と
思ってしまったのである。別に宗教など出さなくとも同棲カップルの破綻劇としてきちんと演出できたのではないか。このコンビに
よる「さよなら、さよなら」も観ているのが、インターネットの自殺サイトを題材としたキワモノといった印象しか残っていない。
今の所、僕はまだ彼らに日本映画の将来を話そうという気はしないのである。すまんね。
「四日間の奇跡」−「チルソクの夏」(03)「半落ち」(04)の佐々部浩監督作。無難に仕上がってはいるが期待が大きすぎたのか
今ひとつであった。佐々部はあまりファンタジーに向いていないのではないか。ピアノと少女が出て来る映画であり大林宣彦監督の
方がよかったのではないか。
「亀は意外と速く泳ぐ」−面白い。とても評判のいい映画である。周囲でもつまらないという声は聞いた事がない。ただ、この
面白さを語るのはちょっと難しい。脱力系コメディである。平凡な主婦がある日スパイになり…というお話で「スイング・ガールズ」
(04)の上野樹里がまだ10代だというのに23歳の主婦を好演している。彼女の親友役の蒼井優のぶっとびぶりを始め登場人物皆キャラ
が立っている。オススメである。監督はTV出身で「イン・ザ・プール」も撮っている三木聡、この人はクドカンや松尾スズキと並んで
今後に注目しておきたい。