『最近観た映画 〜 「ハービー 機械じかけのキューピッド」
「チャイルド・プレイ チャッキーの種」「エコーズ」「奥様は魔女」』

松村清志


「ハービー 機械じかけのキューピッド」
――タイトル・バックに流れるのはビーチ・ボーイズの85年のヒット曲「ゲッチャ・バック」、ニクイ選曲である。うれしくなっち
まったぜ。「ゲッチャ・バック」はしばらく活動を休止していたビーチ・ボーイズが10年ぶりだったかに発表した新曲で、まんま
60年代のような変わらなさがうれしかった曲だったが、アメリカではさほどの大ヒットではなかったこの曲を使うとは、何ともツウ
なセンスである。
 映画の方も60年代ディズニーのファミリー・ピクチャーの味わいがまんま復活したかのような楽しさがあって、「ラブ・バック」
シリーズの最新作である本作は、ロビン・ウィリアム主演のリメイク版「フラバー」などよりはるかに好感が持てる。
今やCGで何でもこなせるはずなのに、あえて60年代的な“特殊効果”のタッチを模倣して抑制された使用法がいい。擬人化された車が
とてもキュートなのだ。ヒロインもキュートである。リンジー・ローハンは全米ティーンの憧れだそうだが、本作は彼女を主人公と
した“女の子応援映画”としてティーンはもちろん大人の女性も楽しめる映画ではないかと思える。監督も女性である。むろん、
ファミリー・ピクチャーとしてイチオシしたい。80年代アイドルのマット・デイロンは中途半端な悪役になっちまった。


「チャイルド・プレイ チャッキーの種」
――ハリウッドを舞台に前作でチャッキーの花嫁の声を担当したジェニファー・テイリーが本人役で出演したセルフ・パロディを
演じ、シリーズの大ファンであるというカルト監督ション・ウォーターズが俳優として出演、ショウビズ界のゴシップ・ネタや
「サイコ」を始めとするホラー映画のパロディも盛り込んで、映画ファンなら取りあえず楽しめる作品となっている。
チャッキーのキャラクター創造とシリーズ全作の脚本を担当してきたドン・マンシーニが初の監督を手がけた真打ち登場といっても
いい作品で、ホラーやスプラッターが若干でも映画ファンなら観ておくべきだろう。


「エコーズ」――「宇宙戦争」「スパイダーマン」「パニック・ルーム」といったハリウッド大作の脚本家であり、昨年はジョニー・
ディップ主演による脚本・監督作「シークレット・ウインドウ」が公開されたデヴィット・コープが99年に発表した脚本・監督作の
遅ればせながらの日本公開である。
6年間もオクラ入りとなっていたのだから、さぞやつまらない映画だろうと思われるかも知れないがそうでもなかった。悪くない出来
である。アメリカでの公開時期が悪かったのだ。「シックス・センス」の大ヒットと同時期公開で、内容的に共通点の多いこの作品が
割をくってしまったのである。ホラー、ミステリー、サスペンスをうまく融合させた佳篇といってもいいという気さえする。
幽霊の動作の演出法などオリジナル版「リング」に通ずるものがあるし、原作のリチャード・マシスンはまさか知らぬ者はありは
すまいが(ハスミ調)、アメリカのエンターテイメント小説や映画への貢献度ではスティーブン・キングをはるかにしのぐ人でも
あって、本作はうずもれさせてしまうには惜しい映画なのだ。
見ることと聴くことをめぐるサスペンスでもあるあたりやはりデヴィット・コープは映画人だと思わせられた。

 
「奥様は魔女」――ノーラ・エフロン監督、ニコール・キッドマン主演による往年の人気TVシリーズの映画版リメイク、というより
正確には映画内物語としてTVシリーズのリメイクのサマンサ役にスカウトされた女性が本物の魔女であったという仕掛けで展開する
お話で、入れ子構造でワン・クッション置いた変化球的リメイクというのはエフロンの出世作「めぐり逢えたら」と同趣向だが、
出来映えとしては無難にまとまっていますといった程度。
 TVシリーズの方はアメリカでは日本では想像もつかないほどの国民的番組であるらしいから、原典を傷つけず原典を愛する観客をも
集客出来るアイディアは悪くはないが、ややプロデューサー的発想が先行しているのではないか。


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