『最近観た映画〜「ダーク・ウォーター」「バトル7」「ダウン・イン・ザ・バイク」「まだまだあぶない刑事」
「ブレイキング・ニュース」』
松村清志
「ダーク・ウォーター」──Jホラーのハリウッド・リメイクの真打登場といってしまおう。だが、かわいそうな女の子のお話
なので僕は恐さはほとんど感じなかった。外人が「リング」の貞子を怖くないというのを聞いたりすると奇妙に思ったりしたもの
だが、僕は女の子の幽霊は恐くないようだ。むしろ感動したといってもいい。水のようにじわじわとしみ込んでくる映画である。
ラストは羊水のような水が支配していた母性的世界から父性的世界へと少女が救出されたと理解すべきか。
「バトル7」──モウマンタイ(無問題)という言葉はすっかり定着したようだがマイペンライ(無問題)という言葉も定着するで
あろうか。タイからやってきたノー天気アクション・ムービーである。タイ産のエンターテインメントはタイしたもんだというべきか
タイした事がないという言うべきか、微妙なゆるさに味がある。望月三起也のマンガのようでもあり初期のジョン・ウーのようでも
ありマカロニ・タッチもありと、まっ、男の子映画、いっそキンタマで観る映画ていってしまおうか、クライマックスのスクリーン・
プロセスばればれのチープさもうれしい。こんな60年代B級・C級映画的世界を21世紀の新作で観られるとは思わなかった。
この内容で2時間はちと長い。100分ぐらいにすっきりまとめた方がよかったのではといえなくもないが、しかし、である。インド
映画のよえには長くはなりすぎもしない、ちょい長さがタイ時間として捨てがたい魅力となっているという気もするのである。
年末から来年にかけてタイ産エンターティンメントが5〜6本立て続けに公開されるようだ。タイ風が台風となる事を期待しよう。
「ダウン・イン・ザ・バレイ」──キンタマで観る映画と子宮で観る映画に分類するならば本作はどちらであろうか?。エドワード・
ノートン製作・主演、アメリカ生まれでフランス帰りの新人監督による現代版西部劇ともいえる要素を持った映画である。
捨てがたい映画と評価しておこう。手ばなしで絶賛する気にはなれないが、さりとて切って捨てるにはひっかかる部分の多い映画なの
である。僕としてはこの映画、女の人に判るかなと思っていたのだが、水島裕子さんとお話していたら、よかったとおっしゃって
いたし、配給元の社長(女性)は男の人に判るだろうかと語っていたとの事。
そんなわけで水島さんに原稿をお願いしてしまったのだ。アメリカ的な精神とヨーロピアンな知性、はたまたマチズムと
フェミニズムとが、微妙なバランスで共存しているような作品とでも思うべきか。
「まだまだあぶない刑事」──もういいよ、あぶない刑事といってしまおうか。衝撃の告白(!!)をしてしまえば、僕はこのシリーズ
を観たのは本作が初めてである。TVから派生して80年代には大人気だったようだが、どこがそんなにいいのか僕には判らなかった。
今さらこんなものを大劇場で1本立てでやろうという製作側の意図が判らない。事件もアクションもチャチだし犯人側のキャラも動機も
説得力がない。ギャグも不発だと思えた。
「ブレイキング・ニュース」──まだまだいけるぞジョニー・トー。いずれジョニー・トーはブレイク・ニュースになるであろう。
これまでフイルム・ノワール系の作品は地味なバイプレーヤー達を集めてマニア向けに作ってきたような所もあったが、本作はスター
をきっちりと使いこなし商業性もクリアしている。オープニングの長廻しの銃撃戦から気合が入っており、いつも夜を志向していた
トーが白昼のノワールにチャレンジしているのも新鮮だ。タイトな上映時間に切り詰められているのもいい。