『最近観た映画〜「フライト・プラン」「シャークボーイ&マグマガール3-D」「Crash クラッシュ」
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「秘密のかけら」』
松村清志
ごぶさたしております。2006年になってほとんど初めての原稿であります。いやー年末年始あわただしくバタバタとして
いました。お引越しもして、ほとんど試写もいってない(原稿を書くヒマもなかったというわけで、少し落ち着いたので今年も頑張り
マス、よろしくです。)最近診たいがといいながらもほとんど年末に観ているので、すでにアルソにはいつてしまっている映画も
ありますが。
「フライト・プラン」───脚本のプランをしっかりしてくれぃ!!。ジュデイの前作「パニック・ルーム」のような密室状況で孤立
した母娘の闘いと、人間消失サスペンスの古典的名作ヒッチコックの「バルカン超特急」とさらには航空機パニックものを混ぜ
合わせるという欲張ったアイディアはいいが、脚本が稚拙すぎる。トリックや動機にまるで説得力がない。これでは飛行機の客室
乗務員はまるでバカ扱いではないか。アラブ人に対しても露骨な差別だ。ジュデイは意外と脚本が読めない人なのか。デビッド・
フィンチャーかM・ナイト・シャラマンのよえに始まり、レニー・ハーリンのように終わる作品となっている。いっそ
「フォーガットン」のようにトンデモ映画の域に突き抜けてくれたら、とも思ってしまった。
まっ、それでも「フォーガットン」「ダーク・ウォーター」と並んでシングル・マザーが喪失感からサイコ状態におちいっていく
物語として、女性映画の新潮流としての一興はあつた。
「シャークボーイ&マグマガール3―D」───最高作といつていい「シン・シティ」の後に、こんなお子様映画を撮るとはロバート
・ロドリゲス、お茶チャメな奴だ。息子が考えたアイディアを元に脚本や製作に家族が参画し、ロドリゲスの住居の近くのスタジオで
撮影されたファミリー・ピクチャーだ。空想世界の造形は今風というよりのどかでレトロな50年代SF風で、のんびりと楽しんで
観られる映画である。
ただ、デジタルによる3―D画像というのはさほど良くない。昔観た立体画像はもっと画像が鮮明であったように記憶している。
今後の課題であろうか。「火星のプリンセス」の監督を降板しまったのはちょい残念。
「Crash クラッシュ」───10年程前こデビッド・クローネンバーグ監督による同名作もあったが、本作は「ミリオンダラー・
ベィビー」の脚本家、ポール・ハギスの初監督作である。原案、製作、脚本も彼である秀作だ。早くも今年のベストテン候補の1本
である。
ロサンゼルス36時間、ひとつの衝突事故をきっかけに異なる階級、異なる人種の様々な人間たちの人生が交錯する。マルチ
プロットタイプの映画であり,それぞれのキャラクターがいい。ステロタイプすれすれのところでキャラが立っている。サンドラ・
ブロックは元々「ミリオンダラー〜」の主演を希望していたそうだからこの作品に出演できて満足しているであろうし、ここでは無理
だろうが,いずれは彼女にもアカデミー主演女優賞を取らせてあげたいとおもってしまった。マット・ディロンもスター意識を捨てて
すぐれた演技者になりつつあると思えたし、ドン・チードルの控えめな存在感も「ホテル・ルワンダ」を観た後のせいか、今回は逆に
印象に残った。
未見だが「トラフィック」の脚本家スティーブ・キャリンガン初監督作「シリアナ」にも大いに期待しておこう。「尻穴」という
恥ずかしい題名にもめげず、劇場に駆けつけねばなるまい。
「ヒストリー・オプ・バイオレンス」───デビット・クローネンバーク監督最新作。問題作として騒がれてもいるようだが、
さほど大げさに考えることなくB急アクションとして楽しんでしまってもよいのでは?と思えた。アクション映画としてのキレ味は
よくキャスティングもはまっている。いつものクローネンバークのように最初からダークなトーンではなく、明るく平和なトーンから
徐徐にダークさを加えていく撮影・演出のタッチもいい。人気のグラフィック・ノベル(劇画)の映画化であり、エンターティンメント
として楽しめる。
「秘密のかけら」───アトム・エゴヤン監督としては、おそらくこれまでで最もハリウッドに近い映画であろう。カナダ出身の
映画作家としてはキャメロンやクローネンバークよりは落ちるというのか僕的なエゴヤンに対する評価であったが、才能のかけらは
ある事は判った。事件の秘密が大した事がないのには拍子抜けだが、ノスタルジー。