『最近観た映画〜帰ってきた映画たち〜「サラバンド」「氷の微笑2」「インビジブル2」「プレスリーvsミイラ男」』
松村清志
「サラバンド」──製作時85歳であったイングマル・ベルイマン監督作品。「ある結婚の風景」(74)の約30年後の続編である。三つ子の
魂百までと言うかペルイマンという人はつくづく業の深い人だ。大人の映画である。ただ160分の長尺を息をのむように観た
「ある結婚〜」と比べていささかゆるいとも感じた。やはり演出力は低下しているのではあるまいか。りヴ・ウルマンもしばらく見ない
うちにめっきり老けたという印象であった。
「氷の微笑2」──思ったほど悪くはなかった。きちんと映画になっている。CGで修正したという噂もあるがストーンズ姐さんまだまだ
いけるじゃないか。ただ、イギリスを舞台にするなら、ミステリー、サスペンス・タッチが得意な監督ということで、スティーブン・
フリアーズに撮らせてほしかった。その後フランスでフランソワ・オゾンとか、カナダならアトム・エゴヤンとか、悪女の世界放浪記の
ようなシリーズとなっていたらとも思ったが、それは夢のまた夢か。ともかく続編の完成があまりに遅すぎたというべきだろう。だが、
作られなくてもよかった続編とまでは思わなかった。
「インビジブル2」──これは作られなくてもよかった続編と言うべきだろう。前作はバカ映画としてそれこそ楽しめたが、こちらは
シリアスにやろうとしているもののチャチなしあがりだ。まるっきりのC級映画となってしまった。主演のピーター・ファシネリという
トム・クルーズとクリスチャン・ベールを足してNGにしたようなアンちゃんも、レーガン一族らしいネエちゃんもパットしないし、
かっては゛ヤング・ジャック・ニコルソン゛とその個性を称えられたクリスチャン・スレーターもすっかりB急ジャンル・ムービー・
ファクターとなってしまった。製作に名前を連ねているヴァーホーヴェンはこの後オランダに帰ってしまったそうだが、僕はオランダ時代
の彼の作品はとても好きなので、また一花咲かせて欲しいと思う。ロジャー・ドナルドソンの例もあることだし。
「プレスリーvsミイラ男」──ドン・コスカレリのカムバックである。10代で監督デビューし「ファンタズム」(78)でスピルバークと
並んで称されるほどの注目株となつたものの、その後ヒロィックファンタジー「ミラクル・マスター」(82)1本を残したのみで主流んら
消えていったコスカレリだが、その後「ファンタズム」ばかりをシリーズで撮り続けていることは聞いていた。さながら、「サイコ」(60)
に後半生を支配され続けたアンソニー・パーキンスのように生涯を終えるのかとも思わせたコスカレリにとつて、本作は起死回生の一発と
言うべきか。
いつまでも少年のつもりでいたらいつの間にかジジイといわれる歳になってしまったが、まだまだ俺はやれるぜという気合の感じられる
作品である。゛ジジイ子供゛への応援かとでもいおうか。
続編の製作も既に決定。サム・ライミ「死霊のはらわた2」(84)のようにパワー・アップされた作品となることを期待しよう。
「継続は力なり」ではあるのだが、もう一皮向けて欲しいものだと願わずには入られない。