映文振センターレポート 「文化映画上映会 第5回」



桑島まさき


                         



毎年8月になると人類がおかした愚かな罪を忘れないように、平和への願いをこめて世界的な規模で集会やイベントが開催され、
メディアでは戦争に関する内容が流される。映文振センター主催「文化映画上映会 第5回」が、58年前、世界最初の原爆が広島に
落とされた日の翌日の8月7日、東京ボランティア・市民活動センターで開催された。上映作品は1982年製作の「ヒロシマ 
ナガサキ ー核戦争のもたらすもの」。本作は被爆都市である広島市と長崎市が、世界の指導者たちに見て欲しいという主旨のもと、
岩波映画製作所(当時)に依頼し製作されたものだ。
 生々しい映像が次々と続く。46分からなる本作は、被爆者の証言と被爆直後の映像や写真がほとんどだ。言うまでもなく被爆直後の
動く映像を撮った取材班は二次被爆をしながら撮影に臨んだという。ニューメキシコの無人の砂漠で原爆の効用を試したアメリカは、
他国でその効力を確かめるために原爆を投下し戦争を終結させた。人々の暮らし、人と人とのつながり、生命が一瞬にして奪われた。
そして原爆が人体に及ぼす影響力を検証するために、被爆者や胎内被爆者の記録を延々ととり続けた。まるで人体実験だ。
 上映会の後、本作のプロデューサーを務めた陣内直行さんは、客観的に事実を積み重ねることで被害の実相を描くように心がけた、
と述べた。さらに陣内さんは「日本は”最初の”被爆国ではあるが”唯一の”被爆国ではない。チェルノブイリやイラクも被爆国だ。
本作が製作された背景には、市民による反核運動が世界的に大規模に取り組まれた事実がある。映像にこめられた人々の想いは何年
経っても、より大きく世界中の人々に伝えていかなければいけないと思う」と付け加えた。
 悲しみを繰り返さないように、これからも一人一人が問いかける心を持ち続けることが、世界最初の被爆国である日本の責務では
ないだろうか。


*「キネマ旬報」2003年9月下旬号より転載




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