「トップガン デジタル・リマスター版」
松村 清志
同世代の俳優達と並んでY・Aスター≠ニひとまとめに呼ばれていたトム・クルーズが一頭抜きん出てトップ・スターへと飛翔する
きっかけとなった作品のデジタル・リマスター版による19年振りの劇場上映である。
監督は最近作「マイ・ボディガード」の好評で株を上げ、蓮賞重彦に「世界的にトニー・スコットを評価する運動を立ち上げようと
思っている」とまでいわしめたトニー・スコット、というわけでグッド・タイミングのリバイバルである。
ソフト・フォーカスの細切れ映像に最新音楽をかぶせたコマーシャル・フィルム的、MTV的な映画というのはこの作品の大ヒットで
定着したといってもいいのであろう。ケニー・ロギンズの「デンジャー・ゾーン」やベルリンの「愛はため息の中に」なども
大ヒットした。
薄っぺらなバブル時代の空気を反映したかのような作品である。ジェット機と共により高く早くと大空を駆けていく男たち。彼らの
頭の中にあるのは、スピード、スリル、サクセスのスリーS(これにセックスを加えてフォーSとしてもよい)、のみであるかの
ようだ。単純明快であることの心地良さがここにはある。脇役としてヴァル・キルマー、メグ・ライアン、アンソニー・エドワースら
が出演しているのも今となっては豪華な顔ぶれだ。(ティム・ロビンスがどこに出ていたのかは識別出来なかった。)
この後、アメリカ映画はドラマツルギー不在、人間不在の空中分解へと突入し、バブル経済は崩壊してしまうのだが、この時点では
おそらくほとんどの人がその事を考えてもみなかったのではあるまいか。「トップガン」はアメリカ映画がデンジャー・ゾーン≠ノ
突入しつつあった80年代を象徴した作品であったのだと、しみじみと思った。
9月3日(土)より 東劇、他にて全国ロードショー
www.vipjapan.com