『韓国映画3本立て〜「天軍」「チャーミング・ガール」「トンマッコルへようこそ」』
松村清志
昨年当たりから何かと話題になっているマンガ「嫌韓流」(著者・山野夷輪、発行・普遊舎)とその「2」は、やはり面白くてタメに
なる。ぜひ一読をオススメしたい。僕の中にも「嫌韓流」が潜んでいるというか、近親憎悪に似た感情がある。ともあれ、ヨン様に
せよ「嫌韓流にせよ、日本人がもっと興味を持たなければならないと思う。
さて、9〜10月公開の韓国映画を3本ご紹介したい。
「天軍」──韓国版「戦国自衛隊」のようなないようだが、日本の映画版よりは面白いといっていい。ただ、SFとして観るなら?で
ある。ほとんどタイムパラドックスとか大きな歴史への介入とかはない。ただ、1500年代にタイムスリップした南北両兵士が協力
して、後に救国の英雄となる、とてもそうは見えないちゃらんぽらん男に、ハッパをかけるといったあたりで、愛国心の高揚をあおる
という仕組みになっている。その男、李舜臣(イ・スンシン)は豊巨秀吉を破った英雄としてあちらでは有名だが、いまだに500年前に
こだわらないと民族的プライドが保てんのかいと、こてらは嫌韓流が頭をもたげてしまった。
「チャーミング・ガール」──この監督は第二のキム・ギドクと呼ばれているそうだが、それは早撮り低予算で、海外の映画祭で
評価される芸術的な作品を志向するといつた点においてで、作家性とか作品のタイプとしてはやや違うのではないかと感じた。29歳、
独身、一人暮らしで田舎町の郵便局勤務の地味な女性の日常を、全篇手持ちカメラによるドキュメンタリー・タッチで淡々と描いた
秀作といってよいが、彼女のトラウマや1度結婚したのに新婚旅行先のホテルから勝手に帰ってしまったり、あるいはクライマックス
でナイフを手にしたりとか、波風のない平穏なディティールの集積だけでも作品として成立しうるのに、すぐ極端に走ってしまう
のは、やはり血の気の多い民族性か。そこらが僕はあまり好きではない。
「トンマッコルへようこそ」──ジェイムス・ヒルトンの原作をフランク・キャプラが映画化した「失われた地平線」(38)や、今
ではそんな映画があったことすら忘れ去られている75年だったかのそのミュージカル版やビル・フォーサイス監督の「ローカル・
ヒーロー/夢に生きた男」(85)やその霊感源となつたミュージカル「ブリガドーン」(53)などね数は少ないが゛ユートピアもの゛は
僕の好きなジャンルのひとつとなっているが、本作は韓国で大ヒットした゛ユートピアもの゛である。元々は舞台劇だそうだが、
うまく空間を広げのどかで平和な村の造型もよく、楽しめた。
ただ、クライマックスに戦闘シーンをもってきたのはあまりよくなかったのではないか。夢幻性がこわれてしまったように感じた
し、平和への祈りといった作品のテーマにもそぐわないように思えた。このあたり、やはり血の気の多い民族性の表れか。
音楽を日本の久石譲が手がけている。この人、日本では1度バッシングされているが、僕は好きなので頑張って欲しいと思う。