「フアントマ映画祭2006を応援しよう」
松村清志
フランスが生んだセリ・ノワールの伝説、怪盗ファントマノ60年代ノ映画化作品3作、「ファントマ危機脱出」(64)「ファントマ電光石火」
(65)「ファントマミサイル作戦」(67)が、連続リバイバル上映される事となった。今時こんなものがスクリーンで観られるとは驚きで
ある。うれしい。ただしDVD上映である事はお断りしておかなければなるまい。だが画像は鮮明である。3作まとめて試写を見せて
いただいて楽しんだ。
ぜひ、皆さんも劇場に駆けつけて楽しんで欲しい。60年代フレンチ・エンターティンメントはスグレモノが多いはずだが、今は滅多
にお目にかかるチャンスがない。小耳にはさんだ情報では、どうやらシネマライズの社長がシリーズを好きだという事らしい。
どーも、ありがとうございます。トリュフォーやゴダールはひんぱんに上映されているのに同じヌーヴェル=ヴァークでも商業主義に
走ったと批判されたクロード・シャブロルはほとんど観る機会がないし、フィリップ・ド・ブロカやジョルジュ・ロートネルらも観る
機会がない。コメディでもジャック・タチは再三リバイバルされているのに、フランスでは国民的人気を誇ったというルイ・ド・
フェネスは観られない。今時の若者は彼らを知らんのではないか
そんなわけで、ぜひこの映画を成功させてそうした作品群がスクリーンで観られるようにしたい。僕的には、まずコノシリーズと同じ
アンドレ・ユヌベル監督によるスパイもの「OSS117」シリーズを上映し手欲しい。ほかにも堕落したと批判されたシャブロルだって
「ジャガーの眼」(64)を始めとして植草甚一はずっとホメてたし、ド・ブロカの「男」シリーズとか、ロートネルの「女王陛下の
ダイナマイト」(66)とか、まだまだ発掘して欲しいフレンチ・エンターティンメントはあるのである。この企画の成功を願う。
『フアントマ映画を語ってみよう〜「フアントマ危機脱出」「フアントマ電光石火」「フアントマミサイル作戦」』
゛フアントマ映画祭2006゛で上映される3作品、「〜危機」(64)「〜電光石火」(65)「〜ミサイル作戦」(66)をまとめてかたって
みたい。
3作ともはるか昔にTV放映で見てはいるのだが、今回改めて観て最も面白かったのは2作目の「〜電光石火」であった。60年代は007
シリーズの大ヒットで世界的なスパイ映画のブームであったから、このシリーズもそれを意識して、フィルム・ノワールではなく007
タッチの秘密兵器や秘密基地が登場する活劇として発想されているのだが、特に「〜電光石火」がその影響大であった。それでいて、
火山の地下にある基地は「007は2度死ぬ」(66)を、空飛ぶ自動車は「007/黄金の銃を持った男」(73)を先取りしており、葉巻型
ピストルや義手を仕込んだ特殊スーツといったガジェットも興味深く、それなりにお金をかけて仕上げられており、今観ても充分
楽しめる出来映えであった。主演のジャン・マレーやルイ・ド・フェネスが、本当に誰だか判らないような変装をきちんとこなして
おり、彼らがしっかりした演技力の持ち主であった事も確認出来る。
1作目の「〜危機脱出」は、古きよき時代の連続活劇を60年代に再現してみましたといった味わいの、陸・海・空をかける追っかけが
ノンビリ気分で楽しめる。3作目の「〜ミサイル作戦」が最もつまらない。看板に偽りありで、ミサイル発射は実写フィルムの流用で、
あとはスコットランドを舞台に陳腐なドタバタが続くだけの、活劇と言うより笑えない喜劇で、シリーズが尻すぼみで終焉する結果と
なってしまったのは、何とも残念であった。
3作通じて、当時売り出し中の若手女優であったミレーヌ・ドモンジュがなんとも魅力的で、とくに1作目でのノーブラ胸ポッチと
2作目のアラビア風衣裳には悩殺された。フェネスもコノシリーズあたりから、性格俳優から喜劇俳優へと方向性を定めてブレイク
していったわけだし、同時代の観客からはあのコクトー映画の名優がこんな通俗的な映画に出演してと失望もされたらしいジャン・
マレーも、50歳を過ぎて20代半ばのドモンジョを恋人に持つという羨ましい役柄で、動きが重くなっているとはいえ、体を使って
頑張っているし、国民的人気やキャラのファントマを復活させてそれなりにお金をかけて仕上げ、世界的にもヒツトしたこの
シリーズは、国民映画と国際映画を融合させた好企画であったのだと、今改めて評価してよいのではないか。
P.S──僕がリバイバル上映をリクエストした「OSS117」は、何と新作が作られ何かの賞も受賞したというニュースが入ってきた。
今年の゛東京国際映画際゛でも上映されるそうだ。その新作の公開に合わせて60年代の「OSS117」シリーズも上映して欲しい。
60年代の゛OSS117゛は主演が「シンドバッド7回目の航海」(58)のカーウィン・マシューズであったり、ヒッチコック「トパーズ」
(69)のクレデリック・スタフォードであったり、「ファントマ」のドモンジョやジェームス・ディーンの恋人であったピア・
アンジェリも出ていたりと、豪華キャストで、僕も昔TV放映を楽しんで観た記憶がある。60年代の「OSS117」には日本公開された
3本の他に、日本未公開の「東京の切り札」というのがあり、ひのオリジナル・ポスターがTCC試写室のドアにはってあって、いつも
気にかかっていたが、エキゾチック・ジャパン映画の愛好家で「007は2度死ぬ」も大好きな僕なら、きっと楽しめそうだ。これも
初公開して合わせて4本で゛OSS117映画祭2007゛を是非実現して欲しいものだ。その為にも゛ファントマ映画祭゛を成功させたい。
皆さんぜひ劇場に駆けつけてくださいとお願いしておこう。
晩夏 渋谷ライズXにて連続上映 ゛ファントマ映画祭2006゛
www.fantomas.jp