『ホラー映画3本立て「ハイテンション」「鬘かつら」「ザ・フォッグ」』
松村清志
7月から8月にかけて公開されるホラーの試写を続けて観たので、まとめて紹介しておきたい。
「ハイテンション」──フランス産の正統派スプラッターである。ホラーとしては邪道のようにいわれてもいたスプラッターに正統派
という形容も妙なものかも知れないが、つまりはサム・ライミが過剰すぎる演出でギャグにしてしまったり、ホラー映画論のような
メタ・ホラーの出現以前の、70年代的な作り方であり、MTV世代やCMディレクターがスキル・アップする為の手段として取りあえず
撮ったというのではない。このジャンルが好きでよく吸収しており、このジャンルに腰を据えて活動していくであろうと予測される、
監督の登場こであるということだ。
ヒロイン役の女優がセシル・ドウ・フランスという名前であり、殺人鬼役がギャスパー・ノエ作品で有名になったフィリップ・
ナオンである意外、フランス映画らしさはないといつていい。セリフはほとんど英語だし、(所々フランス語の会話も入るので、
これがオリジナルであるようだ。)、本当にオーソドックスな、アメリカン・スプラッター・ティストを意図して作っていると
思えた。原点回帰的作品として「マーダー・ライド・ショー」「キャビン・フィーバー」より面白かったし、次作はアメリカで
「サランドラ」のリメイクを撮るようだが、アレクサンドラ・アジヤはこのジャンルの専門監督として、フーパーやロメロのように
育っていくであろう。ヒロインのヌードはないが親友のヌードがあり、大き目のオッパイを見せるが、それがこの作品のポイントと
なっている。その意味は作品を観ればわかる。
「鬘かつら」──呪いのかつらが恐性を呼ぶ韓国産ホラーである。かつらをかぶって変貌していく娘役は「亡国のイージス」に
出ていたチェ・ミンリ、頭を剃って坊主になっており、男顔だしヌードになってもお尻は小さいしオッパイも見せないで、あれっ、
こんなに色気のない女優さんだっげ、ミス・キャストではと思ったほどだが、それがラストに近づくにしたがって効果をあげてくる。
うまい配役であり役作りであった。髪は何とかの命というが、かつらが命あるもののように見えてきて、かなり恐いし気色が
悪かった。色気はないが気色はあったと言ってしまおうか。「ハイテンション」はオッパイを見せるのがポイントなら、こちらは
オッパイを見せないのがポイント、いえばネタばれスレスレの所か。
ただ、何種類ものかつらを用意した為か、照明のためか、時として黒髪が茶色がかって見えるシーンがあったあたりは、もう少し
注意して欲しかった。
「ザ・フォッグ」──ジョン・カーペンターの80年度作品のリメイクである。オリジナルはシンプルで古風なB給ホラーの小品として
愛着の持てる作品であった。こちらは少しアレンジして見せ場を増やしているといえるが、ややゴチャゴチャさせすぎかなという気が
しないでもない。霧の描写なども僕はオリジナルの方が良かったと思ったが、霧の事を言い出すときりがない。(これを書きたかった)
監督は「ステイグマータ/聖渡」(99)のルパート・ウェインライト、無難にこなしている。スプラッターな「ハイテンション」と
対照的に、こちらはオリジナル通り流血を一切見せないというスタイルを守っているあたりに好感がもてる。スプラッターが苦手な人
でも安心して楽しめる仕上がりだ。