「女の子」ってフクザツ……「犬猫」

桑島まさき



映画関連の仕事をしている友人が「○○ネコ」は“久し振りにみる大人の純愛映画だ”と言っていたので、本作「犬猫」を試写で
見たら、全然違うじゃないかーと不信に思っていた。ところが、あくる日、友人が言っていたのは「海猫」だとわかり納得。最近、
似たようなタイトルが多くって……。
さて、本作。「大人の純愛ドラマ」ではないが、「大人の女」になる前の「女の子」だった女たちには、しっくりくる作品だ。

傍目にはギクシャクした関係に見えるが実はとても仲がいい(?)「女の子」たち。幼馴染のヨーコ(榎本加奈子)とスズ(藤田
陽子)は腐れ縁なのか<ある事>があってもいまだつかず離れずの関係。ひょんな事から2人は同居することになるが、特別な事は何も
起こらない。郊外の古風な家で一緒に寝起きし、バイトにいき、買い物をし、意中の男の子と話をしたり、地味で健全な毎日だ。
しかし日常の些細な出来事は2人にとっては極めて重大な「事件」なのだ。対照的な性格なためか2人は何でもないことをめぐって
張り合う。でもそれは、ドロドロした大人の女の嫌らしさではない。憎らしくも愛しい姉妹のような関係だ。「犬猫」は、2人の
女の子の絶妙な関係を、淡々とした日常を通して描く奇妙な味わいのある作品だ。

ヨーコ役の榎本加奈子が、スズ役の藤田陽子に何をやっても負けるためにコンプレックスを持ち、イイ子なのだがちょっとイジケ気味
を好演。ここぞとばかりスズにイジワルなんかしたりする。天真爛漫なスズは、ヨーコをからかうように接するものだから、本当は
仲良くなりたいはずなのにヨーコは素直になれない。
そんなぎくしゃくした2人の間を、いかにも気のイイねーちゃんのあべちゃん(小池栄子)が天性の陽気さでとりもつ。女の子たちの
三角関係の危うさが、自然に描かれていて面白い。ホント、女の子ってフクザツ! 若手3女優の個性が活かされている作品だ。


*12月4日より シネ・アミューズ他にて全国順次公開予定


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