夢見る頃を過ぎても……「オオカミの誘惑」
桑島まさき
「韓流」ブームは続く。映画もTVドラマも大ヒット。日本にも韓流スターに負けないイイ男は一杯いるのに、何故日本女性は
ハマるのか? やはり、泣かせツボをしっかり押さえているドラマの魅力に尽きるだろう。これでもかーとばかりにメロディアスな
ストーリーを畳み掛けるように用意して、愛し合う美しい男女をなかなかくっつけない。だからこそ観客は今度こそは幸福な二人を
見られると期待して見てしまうのではないだろうか?
韓国ではインターネットで小説を読むのがちょっとしたブームだ。最近では「猟奇的な彼女」がネット小説から火がつき映画化された
ことが記憶に新しいが、本作「オオカミの誘惑」もそうだ。原作者は18歳の少女だとか。だからだろうか、まんま少女漫画の世界だ。
ハンサムなモテモテの男の子、その彼から愛されるフツーの女の子。愛してる!なんて簡単に言うものの未熟なもんだからケンカ
したり誤解したり、他人の中傷をうけてなかなか二人に平穏な日は訪れない。モテ男に好かれる彼女を妬む同世代の底意地の悪い
女の子があれこれ二人の仲を裂く画策をしたり……。
既にティーンエイジャーが遥か昔のこととなった筆者には青臭く思えなくもないが、いやいやこの手の作品は案外楽しめるもん
です。仮に筆者が二人のイケメンに好かれる(しかも自分のためにライバル意識を燃やすその二人は壮絶なケンカまでする)女の子、
ハンギョン(イ・チョンア)だとしたら、もう最高の贅沢です。もう一度高校時代に戻ってバラ色の青春を謳歌したい! ちなみに
ハンギョンは気のイイ純朴な女の子。ちょっとドジで泣き虫、どこにでもいるフツーの女の子だ。そのハンギョンを学園のアイドルで
男っぷりがよくケンカが強くハンサムのヘウォン(チョ・ハンソン)がオレと付き合うことに決めろ、と強引にくどく。高校生のくせ
に車にのり、ポイと連絡用のケータイを渡す自信家だ。それだけじゃない! 隣の高校のアイドル、テソン(カン・ドンウォン)も
ハンギョンをくどき追いかけるのだ。ヘウォン同様にハンサムでやはりケンカが強い。ちょっとタイプが違う二人だが、女の子たちの
憧れの王子様だ。しかも、だ。二人ともハンギョンより年下。年下のイケメンの男の子二人が「愛している!」「お前を守る」と
言ってくれるのだから、こりゃーたまりません。どんなに夢みる頃を過ぎたオバサンだって、いまだにこんな一途な言葉はダイレクト
に胸に響くものだし、何と歯の浮く言葉だーと思いつつ純粋な情熱は女心をくすぐるものなのだ。
監督は「火山高」のキム・テギュン。単なる王子様ではなくケンカも強い二人は壮絶なバトルばかりしているが、作中、
ノーワイヤー、ノースタントで挑んでいる。ハンギョンに会うために学校の塀を乗り越えてやってくるテソンの登場の仕方のカッコ
よさ、皆がみている前で強引にハンギョンの唇を奪うヘウォンの熱い接吻。自分を待ってくれている運命の男を探す少女たちに
とってため息のでるような演出の数々ではないか。
オロオロするばかりのハンギョンをリードするイケてる年下の男の子、二人。どちらと会ってもそれぞれが気になってしまう
ハンギョンはなかなか決められないのだが……。「猟奇的な彼女」「ラブ・ストーリー」同様、悲しい現実があったりして、またまた
泣かせてくれる。「冬ソナ」のヨン様が日本中のオバサンたちに純愛の尊さをしかと教えてくれたとするなら、本作の主演二人、
チョ・ハンソンとカン・ドンウォンは、白馬に乗った王子様に憧れることをやめた女性たちに、純粋に人を好きになった時の
いじらしい気持ち、思いが高まり胸がキューンと切なくなったあの頃、を思い出させてくれることだろう。
それにしても、韓国はイケメンの宝庫なのか? いまや「韓国人気ナンバーワン俳優」となったカン・ドンウォンの出演作「彼女を
信じないでください」は今夏公開予定。次は、「ドン様」ブームが起こるのだろうか?
*3月 シネカノン有楽町、アミューズCQN他にて全国ロードショー予定