しぶとく、エロく、あなどれない、官能ソフトポルノ映画
……「PINK RIBBON」「花と蛇2」
桑島まさき
「ピンク映画」「ポルノ映画」「ロマンポルノ」「アダルトビデオ」。これらの違いを正確にいえる人は何人いるだろうか?
簡単に説明すると、「ピンク映画」は、1962年に第1号となる「肉体の市場」(小林悟監督)が公開されて以来、低予算、平均して
3日程度しかとれない製作日数、という厳しい条件の中、現在まで日本映画製作本数の3分の1を占める約90本もの新作が製作公開
され続けている。
だが、ピンク映画の環境はずっと安定していた訳ではない。71年に日活が経営危機の打開策としてブランド「にっかつロマンポルノ」
を開始した。大手映画会社だけに資金はある、スタジオも有る、俳優にも恵まれている、と全ての面でピンク映画を脅かす存在として
登場した。88年、そのにっかつロマンポルノは終焉を迎えたが、ピンク映画はしぶとく生き残った。次にピンクに脅威を与えたのは、
80年代半ばから登場した「アダルトビデオ」だ。
私たちが深く考えずに「ポルノ映画」と口にするは、にっかつロマンポルノやピンク映画のことを言うのだが、ご存知の通り、
これらは劇場公開される「映画」であって、「ビデオ」による公開のアダルトビデオとは明らかに違う。さらにいえば、性描写が
描かれる官能的な作品という点で同じだが、実際に性行為を「する」「演じる」という点で、大きく違う。
前置きが長くなったが、「PINK RIBBON」は、日本映画史の裏街道を走りつづけて今日まで生き残ったピンク映画の
世界を、監督、製作者、俳優などの業界関係者のインタビューや撮影風景などを通して明らかにしたドキュメンタリーである。
監督は、黒沢清監督の「アカルイミライ」の製作過程をフィルムにおさめたドキュメンタリー「曖昧な未来、黒沢清」を撮った
藤井謙二郎。そして藤井に撮られた黒沢監督は、本作でのっけからインタビュイーとして登場する。現在、日本映画界で活躍する
売れっ子監督である黒沢清、高橋伴明、井筒和幸などもピンク映画から監督デビューを果たしたのだ。
団鬼六の原作「花と蛇」は、石井隆監督によって、2004年映画化され、主演の杉本彩のしなやかな裸体と過激な性描写も
あいまって、センセーショナルな話題をよんだが、続編「花と蛇2 パリ/静子」が公開される。
物語は実に劇画風だが、本作で杉本彩は女優としての真価を認められたことは確かだろう。かつて「エマニエル夫人」が公開された
時、シルビア・クリステルのなめらかな肉体の美しさと性描写の恍惚感に、ため息をついた女性達は多いと思うが、杉本はクリステル
に劣らない肉体美で迫真の演技をみせる。激しく陵辱に耐え、官能と恥辱の狭間でせめぎあう。苦悶の表情をしても、どんなに淫らな
恰好をしても、十分に美しい。全身でエロスを体現する杉本とかつての大スター、宍戸錠の共演も話題の一つだ。
*「PINK RIBBON」…5月14日よりUPLINK Xにて公開予定
「花と蛇2」……5月14日より銀座シネパトス他にて公開予定