リーグ・オブ・レジェンド ★★★ 丸山 哲也
本作に関して耳に入ってくる評判は概ね悪評ばかり。観る前ははっきり言って全く期待していなかったのだが・・・、やはり映画と
いうものは自分の目で観なければわからんものである。
いや、これは愉快! 名だたるヒーローが一堂に会する映画というとウルトラ兄弟ものや仮面ライダーもの、東映まんがまつりの
「ゲッターロボ対デビルマン」等、子供の頃にいろいろあって、当時はそれこそ血を燃やして観たものだ。本作はそんな気分を久しぶり
に甦らせてくれた。
確かに発想そのものは子供っぽいかも知れない。このノリについてこられない人もいるだろう。しかし、ひとたび作品世界の中に身を
浸すことができれば、本作は最高の御馳走になるはずだ。 冒険家アラン・クォーターメインをはじめ、透明人間、吸血鬼、ネモ船長
などがタッグを組んで戦う相手が世界大戦を起こして儲けようとする巨悪であるというのも面白い。今のアメリカ映画が「悪」と定義
づけることができるのは、もはや旧ソ連でもテロリストでもなく、「戦争」そのものだということがここでははっきり示されている。
時代設定が19世紀後半であるにもかかわらず、20世紀に入ってから活用されるようになる近代兵器が登場するので、マジメな人は
「ウソつけ」と思ってしまうことだろうが、これには深い意味がある。
誰もが知る通り、20世紀は科学技術が大々的に戦争に使われた時代であった。飛行機も、船も、車も、みな戦争によってその性能を
向上させてきた。医療技術の発達も、化学兵器の開発と無縁ではない。テクノロジーというものの暗部の存在をあからさまにした時代、
それが20世紀だった。が、19世紀にはまだ科学というものに「夢」が残されていた。技術の向上こそ世界の向上であり、人間社会を
豊かにすることができると信じられていた。そして何よりも、科学技術には人間の手が入る余地があった。テクノロジーが一人歩きして
冷たい機械のカタマリになるまでには至っていなかったのだ。宮崎駿が「天空の城 ラピュタ」で描いた世界を思い出していただくと
わかりやすいだろう。
そんな時代に、未来の悪夢を持ち込んだらどうなるか。第一次大戦が起こるまでは存在しなかった戦車がロンドンの街の中を走り回り、
21世紀の現代ですら実用化されていない機械化兵が大暴れするというのは、面白くはあるけれど、ある意味恐ろしくもある。月並みな
言い方だが、本作は娯楽映画のスタイルを借りて、果てしなく続く技術の暴走に警鐘を鳴らしているかのように思えるのである。
と、まあ、カタいことを書いてしまったが、こういう映画は肩の力を抜いてのんびり観るのがよろしい。何しろこの映画、けっこう
細かいところにちょっとした遊びが隠されているのだ。そういうものを探して楽しむのも一興である。たとえば、原題の「リーグ・オブ
・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」。この題名を聞いてピンとくる人はかなりの映画ファンであろう。実はこれ、
ベイジル・ディアデン監督、ジャック・ホーキンス主演の泥棒映画の名作「紳士同盟」(原題「リーグ・オブ・ジェントルメン」)
のもじりなのだ。
(全国東宝洋画系にて上映中)