テレビの話
◇不定期更新◇
| 041111 | 003 | 深夜番組黄金列伝1〜銭形金太郎〜 |
ちょうど4年前にあたる2000年の秋、PTAは1つの結論を出した。『めちゃめちゃイケてる!(CX系)』のコーナー『しりとり侍』と、『おネプ!(テレビ朝日系)』のコーナー『ネプ投げ!』に対し、「青少年に与える影響の観点から放送はよろしくない」との意見を出した。前者はしりとりで負けた人に対して袋叩きを行うという行為が暴力的であるという理由、後者は『ネプ投げ』というネプチューン・原田泰造が女性を巴投げし、パンチラを前面に出しているのが宜しくないという理由であった。前者については個人的にも(これはギリギリだなあ)と苦笑しながら見ていた部分もあり、めちゃイケファンが怒りの意を見せているのを横目に(ある程度は仕方ないなあ)と感じていた部分もあったが、ネプ投げの『パンチラ』という表現が公に『表現統制』されるという事に対しては疑問の意を抱かずにはいられなかった。
おネプ!の中のその企画は、PTAに指摘される2年前から続いていた長寿企画でもあった。無論視聴者にも親しまれた結果でもあり、番組の看板コーナーを彩るところを見ると、それが如何に支持されていた分かるだろう。なぜなら、そもそもそのコーナーは『ただのパンツを見せるだけ』のコーナーではないのであるから。
僕の番組の良し悪しを決める判断基準の1つに「出演者がのびのびとしているか?」というのがある。何故なら出演者がのびのびしているということは、それを見る視聴者ものびのびできるからである。少なくてもこのコーナーにも同様の空気があった。また、それが人気の所以であったと思う。しかもお笑い芸人も素人の出演者も互いに楽しくんでいる光景がそこにはあった。視聴者がこのコーナーに求めていたのはパンツではなく、画面に映る生き生きとした『顔』であったはずだ。寝る前に見る深夜帯、求められているのは明日も1日頑張ろうという気持ちになる雰囲気なのである。パンツしか見ることができなかったPTAは一体何様なのであったのだろう。
同番組はコーナーをすぐに打ち切ることにせず、『ネプ投げ封印!』ということで日を置いて大々的にコーナー最終回を行った。これが最後の抵抗だったかは分からないが、それを最後にこの番組から活気を見ることはなくなった。しばらく見ない間に『貧乏人がタレントと野球拳をしてお金を貰う』という内容の番組に変わっていて、その堕ち具合にとうとうPTAには勝てなかったのかと悲しくなり、当分その時間帯にチャンネルを合わせることはなくなった。
自分の知らない間に、その番組は『銭形金太郎』という同じ貧乏という素材を扱いながらも過度な表現をすることのなく、さらに中堅芸人が光っているという魅力的なものに変わっていた。ネプチューンを司会とし、TAKE2の東や土田晃之、くりぃむしちゅ〜が番組を引っ張っている姿はとても生き生きしていて、ようやく本来の番組に戻ったのだなあと嬉しくなったのを記憶に覚えている。その番組はたちまち深夜帯の中でも随一の人気を誇り、今回午後8時というゴールデンタイムの進出となった。
ゴールデンタイムだからこそ出来ることもある、ゴールデンタイムだからこそ制約を課される部分もある。深夜帯からゴールデンタイムに浮上した番組の中にはすっかりマンネリ化してしまったものも多いが、この番組にはスタッフの意思がしっかりと込められた「自信を持っている番組」ということを頭に入れ続けてもらい、長く続いてほしいと思う。
| 041108 | 002 | これでいいのか野球中継 |
今行われている日米野球を持って今シーズンの野球中継というのが一通り終わるのだろうが、どうも最近の野球中継はマンネリだなあと感じてしまう。番組の構成については、やれアナウンサーが騒ぎ過ぎだとか煽りすぎだとかたまに言われて、それを言うとなると長い話になってしまうので今回は控えるが、個人的に感じているのが『映像面』。本当にこの状態でいいのかということだ。
以前NHKで放送していた最新のテレビ放送技術を紹介する番組を見ていたら、「見たい野球のシーンを視聴者が手元のリモコンで簡単に探すことが出来る」という装置を紹介していた。その担当者が言うには、「野球中継というのは基本的に日本においても大リーグでも映像の構成というのが似ているんです。例えば2塁打を打った場合、打つ瞬間まではピッチャーが投げる時のカメラで、打った後はバックネット裏にあるカメラで飛んでいく打球を追う。ボールが外野を越えて打者が1塁を蹴って回るところをカットインし、外野手がボールを拾って2塁に投げ、2塁でのタッチプレーを追うんです。…」番組での重要な部分は『その映像の構成によって、そのシーンがどんなシーンであったかを機械が判断して、視聴者が2塁打を打ったシーンが見たいと思ったらそのシーンを探してくれる…という使い方が出来るんです』というコトであったが、僕にとってはそういうことよりも『中継がそのようなカットが当たり前になっているという固定観念』がどうも気になってしまった。
確かに今テレビ画面に映っている映像のカメラの位置というのは、もっとも視聴者が見やすいというアングルを長年の経験によって考え出されたワケで、そのへんは確かにテレビの歴史による産物だということは理解できる。でも明らかにその映像ばっかり使われているのが悲しい。極端な話を言えば、ピッチャーがボールを投げるシーンなんていつも同じアングルだけど、両軍合わせて200球以上投げるような試合で、果たして200回連続で同じアングルで見せるというのはどういうことだろうか。せっかく球場には10以上のカメラがある筈であるし、たまには客席から見たアングルというのを意識してみたり、打者の斜め後方から撮るアングルにしてみたりなど、色々挑戦のし甲斐あるに決まっている。中継を面白くするのであれば、今年のオリンピック・ソフトボール競技で審判の頭に取り付けられていたいわゆる『オンボードカメラ』を野球機構に頼んで取り入れてもいいし(実際数年前のオールスターゲームでは採用していたと思う)、今までは考えもしなかったところにカメラを設置してみてもいいと思う。僕が小学生で、わくわくして野球中継を見ていたころは、2塁ベースかなんかに固定カメラが設置されていたりして楽しんだ記憶もある。
視聴率が取れなくなったといわれる巨人戦…、選手の『顔』をとにかく映せ!と馬鹿の1つ覚えでアップアップアップの映像構成をしているうちは人気が出ることはないだろう。せっかく5万人以上の観客が入っている巨人戦。視聴者の思いは選手の顔を見るのではなく、そこの5万人の観客と一緒に野球を楽しむということではないだろうか。
視聴者が楽しむためには何をすべきか…、それは試行錯誤をして見つけ出すしかないだろう。野球中継にとってはあまり思い切ったことをすると文句をいう保守的な視聴者層がいることがネックになると思うが、タレントを使うわけでもない、変な煽りをするわけでもない、野球を面白く魅せるために放送するのだと信念を持てば大丈夫だろう。タレントを呼ぶお金もいらない、機材を大幅に投入することもいらない…、その気になればディレクターやスイッチャー、カメラマンの気持ち次第では簡単に出来る話だ。
10年前となんら構成の変わらない野球と違って、F1を見てみると格段に10年前の放送とは進化しているのが明らかにわかる。新しい機材が登場したら早速使ってみようだとか、ここにカメラを置いたら面白いんじゃないか、という好奇心と閃きで少しずつ少しずつ進化しているのである。巨人戦が赤字になるのは機材とスタッフにお金がかかるのではなく、単に放送権がバカ高いからだ。どうせ高い金払ってやるんだから自由に放送しちゃえばいいじゃないか。そんな放送スタッフが『のびのび』としている放送が行われていることを、密かに期待している今日この頃です。
| 041103 | 001 | クレヨンしんちゃんに癒されて… |
この前チラッっと『クレヨンしんちゃんの放送がこの秋に終わっちゃう』っていう話を聞いて、残念だなあと思ったらただ曜日が移っただけだったので少しホッとして久しぶりにじっくり見ちゃったワケです。
僕は普段からアニメの類は殆ど見ない人で、『ガンダム』とか『鋼の錬金術師』とかなんてチャンネルを合わせようとも思わない。もちろん夜中にやってるあやしいアニメなんかは意地でもチャンネルを合わせないような性格なのだが、逆に日曜日の夕方の『ちびまる子』ちゃんとかの類は見てしまう。あのへんのアニメはずっと昔からやってるから全然抵抗なんてあったもんじゃない。クレヨンしんちゃんも同じで、5歳くらいから見ていた記憶がある。やっぱりそのころからこの番組はPTAから批判されていたらしく、思えばよく10年以上もそれをかいくぐってきたもんだ、と逆に不思議になってしまう。
どっちかというとアニメというよりも原作の話になってしまうが、クレヨンしんちゃんで何が素晴らしいかってオリジナルの世界の構築の面にあると思う。例えば作中では普通に実在のモノをパロったものが多々出てくるのだが、この作品ではぜんぜんそれがパクりには見えない。サトーココノカドーはイトーヨーカドー、カンタムロボ、アクション仮面はガンダム、仮面ライダー、チョコビはコアラのマーチと普通に考えて元ネタが分かるのに、頭の中では作中のそれは全然違うオリジナルのような存在になっているように感じる。実際製作者側のそれを知ってか知らずか、平気でアクション仮面のテーマ曲とかが出てるし、味こそは保障できないがチョコビが普通に発売されるようになったりもした。パロディーがパロディーと感じさせられないのは、作者の臼井義人氏がそれぞれのキャラクター、そしてパーツの1つ1つに愛情を込めて作品を書いているからだと思うし、その結果が今に至る長寿番組に繋がったのだと思う。
もともとは普通の成年コミックに載っていたような作品がここまで子供に愛される作品になったのだから、世の中面白い。
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