機械仕掛けメイドの夢 

                   -あなたの夢は?-

                           序 

 ホ..ホエーーー.....「ジャー しょうがない書き始めますか」と重い腰を上げる私は
今 「千春の館」に閉じ込められ オタクの監視の元 To-Heart マルチ(HMX-12型)
出演の回の感想文を書くはめになった平凡なサラリーマンである。
(注1)
そう 一般庶民である私が
(注2)人として千春の館に危険を帰り見ず潜入したのである。
まさに「人 潜入である」断わっておくが けして「使途 潜入」では無い!!

 さて マルチ(HMX-12型)とは 来栖川グループが開発したとされている
最新型家庭用メイドロボットのことだが それと同時期に開発されたセリオ(HMX-13型)
と比較すると開発コンセプトが全然違う。
セリオの場合 機能優先で必要な情報はコンピュータより即時ダウンロードされ ほとんど
のことは、そつ無くこなす。 まさに優等生そのものであり 今学校教育が目指している
頂点を極めたロボットと言っても過言では無いと思う。
それに引き換え マルチ(HMX-12型)はコンピュータより瞬時にして適切な情報を取り入れ、
機能するロボットでは無く、自己学習型のロボットだ。 そしてたとえ マヌケな事でも
教えられるとその通りに モップをもって廊下を大声をあげながら走りまわってしまう。
そして人一倍好奇心を持ちいろいろな事を、たとえ犬からでも学習しようとする。
この過程が人間の行動に大変近い所で 間違い失敗を繰り返しながら正しい情報を蓄積し 
そして また忘れる。
つまり ここが人間として一番人間らしく、かわいいと思える所では無いかと思う。
今 実生活、実社会で求められ 良しとされているのは優秀なセリオ型ロボット、つまり
機械に限り無く近い人間が評価され珍重されているような気がする。
さらに マルチの「幸福感」に対しても考えさせられる所がある。
マルチの幸せとは 「他人に喜んでもらう、他人が幸せになるのを見るのが自分にとって
も幸せな事だ。」と言う事である。
この幸福感と言うのは、本来人間が持っている一番究極の幸福感では無いかと思う。
社会で成功し自分の地位が頂点に達した人は 今度は社会にお返しをする、と言う意味で
困っている人を助けると言う ボランティア活動に情熱を注ぎ出す。
つまり 社会で成功しこれ以上 他人から見ると幸せな人は、いないのでは無いかと思うよう
な人達が 今度は人を幸せにする事により 自からも幸せを感じるようになるのである。
ここの所が 動物とは異なる人間だからこそ感じることの出来る究極の幸福感では無いかと思う。
今 町では髪の毛を脱色し 地べたにしゃがみ込み 物を食う To-Heartのキャラクターと同世代
の若者がテレビインタビューで 「別に人に迷惑をかけていないんだからいいジャン。」 と言っている
事を耳にする。
つまり、人に迷惑をかけなければ何をしても自分が、それで幸せならばそれでいいジャン
と言っているのである。
確かに 人に迷惑をかけなければ何をしても良いのかもしれない。が、もう一つ踏み込んで
マルチの様に 「他人に喜んでもらう、他人が幸せになる事が私にとっても幸せな事だ。」と
思える世の中、学校教育が必要なのでは無いか、それが人間として一番貴重な事では無いか
と思わさせられた。
つまり 今回のマルチ登場シーンは「人間とは何が大切なのか」と言う事を考えさせられる作品
であった。

セリオ(HMX-13型)は人間の道具かもしれない...が
マルチ(HMX-12型)は本来人間が持たなければならない 感情、心を持った セリオ以上に
高機能な家庭用メイドロボットだと思う!!

今 学校、社会ではどちらを作っているのだろうか? ......... 道具? 人間?

脱稿:1999.9.5

注1:嘘

注2:大嘘