11/15 最新フィッシング・レポート(28)追加!
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最新フィッシング・レポート(28) 2009年のトロフィー〜秋川で釣れた39cmのイワナ |
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| 最新フィッシング・レポート(28) 2009年のトロフィー〜秋川で釣れた39cmのイワナ 今年の釣りを振り返ってみた。6月頃までは好調だったが、7月に入ると悪天候続きで予定していた4回のフィールド・レッスンもすべて流れてしまった。8月に入っても不順な天候が続き、中旬になってやっと天気が安定したが、殆んどシーズンは終わってしまっていた。 永い釣り人生の間には、時として思いもかけないことが起きるものだ。 去る4月18日、私はフィールド・レッスンで生徒さんと多摩川支流の秋川(フィールド・レッスンの詳しい場所は企業秘密なのでご勘弁願いたい)へ出かけた。最近、フィールド・レッスン中は手持ち無沙汰なのでよくパイプを吸っているが、家に帰ってパイプを忘れてきたことに気がついた。 4月24日の午後、私はそのパイプを探しがてらまた秋川へ釣りに出かけた。確か、最後に釣った場所で、河原の小高い場所で生徒さんの釣りを見ながらパイプを吸っていて、アドバイスしようとして傍らにパイプを置いた記憶があり、その辺りを探すとすぐに見つかった。パイプは雨に打たれた所為で吸い口が変色していたが無傷だった。一方、釣りの方はあまり当たりがなく、おかしいなと思って釣り上がっていくと、すぐ先を釣り人が歩いていた。どんよりと曇り、釣りには絶好の日和で、その日は餌釣り師の姿を多く見かけた。 仕方なく、1kmほど上流に移動し30分ほど釣り上がったが全く当たりがない。その先の、昨年良型のヤマメを釣った辺りでフライを投げると、白泡の中からボソッという感じでライズがあり、合わせると予想もしなかった強烈な引きで、岩の下に駆け込まれないよう用心しながら数分間やり取りをして、やっとネットに収めた。やり取りしている間に相手がイワナだと云うことは分かったが、改めてネットの中を見ると異様に大きく、メジャーで計ると37〜38cmもあった。デジカメを持参しなかったので写真が撮れない。リリースしようかどうしようかと長い間迷ったが、北陸や東北なら珍しくないかも知れないが、都心に近い秋川でこのサイズのイワナが釣れるなど奇跡に近いと考え、キープして剥製にすることにした。時間は午後4時、辺りは谷が深いこともあって薄暗くなっていた。使ったフライはクイル・チョードーのNo.14。
翌日、上州屋経由で飯能市の「釣りキチ工房」というところに剥製を依頼した。2ヵ月近く経って工房のIさんが出来上がった剥製を自宅に届けてくれた。非常にきれいに仕上がっていた。Iさんは根っからの釣り好きで、釣り好きが嵩じて自分で剥製を手がけるようになり、現在もサラリーマンを続けながら休日に剥製を作っているとのことだが、注文が多くて製作が追いつかないらしい。念のため出来上がった剥製のサイズを計ると、ジャスト39cmあった。(2009/10/30) |
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最新フィッシング・レポート(27) 秩父・荒川水系 赤平川支流・吉田川 |
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| 最新フィッシング・レポート(27) 秩父・荒川水系 赤平川支流・吉田川 長年釣りをしていると、釣り場ガイドに載っているところで釣れても、それは当たり前のことであまり自慢にならないような気がしてきて、人に知られていないところで魚を釣り上げてみたくなってくる。 秩父の荒川には入川、滝川の源流を始め、大洞川、浦山川、中津川など数多くの支流があり、それぞれが釣り場として有名である。私は以前から、秩父の釣り場紹介の本を読むたびに、赤平川支流の河原沢川、薄川、小森川は紹介されているのに、吉田川が紹介されていないことに強い疑問を感じていた。吉田川は、赤平川の中では最大の流域面積を有しており、水源となる山々の標高は1000m級と決して高くは無いが、少なくともヤマメが棲息していないということは考えられないのである。私は、数十年来の疑問を解決したいと考えた。
去る5月20日、私は秩父の吉田川へ釣りに出かけた。朝9時頃八王子の自宅を出て、青梅市から旧名栗村を通り、山伏峠を越えて国道299号線に入り、秩父市街を抜けると後は道なりに進み、合角ダム方面の標識に従って道を曲がれば吉田川に出られる。合角(かっかく)ダムの存在は、私は吉田川へ出かけるほんの数日前まで知らなかった。私の古い25.000分の1地図には載っておらず、道路地図を眺めていて見つけたのである。調べてみると、2003年3月に完成したらしいが、私は全く気付かなかった。合角ダムは西秩父桃湖と名付けられている。ダムに架かる合角漣大橋を渡り、暫く走ると吉田川は漸く渓流らしい姿を現した。 初めての渓流なので要領が分からず、途中トンネル工事をしている個所を過ぎた辺りで車を停めて渓を見ると、渓相は良さそうだが降り口が見つからず、もう少し先へ行ってみようと車を進め、池原と言う集落で日陰を選んで道端に車を停めた。時計を見ると、正午少し前になっていた。私は、持参のお握りで昼食を摂った。釣りの支度をしていると、軽トラックが通りかかったので、私はその車を停めてかなり年配の運転手に「この辺りにヤマメはいますか?」と訊ねた。 「うん?・・・・」暫く考えていたその老人は、「あまりいないが、深場で釣っている人はいるみたいだね」と答えて、また車を運転して去って行った。 私は何処から川へ降りようかと、道端から川を見下ろした。川岸はきれいに護岸され、細い流れが私の立っている左岸側に小さな溜りを作っていた。何の気なしに足元を見下ろすと、ウグイと思われる小魚に混じって、パーマークがはっきり見える中型のヤマメが泳いでいるではないか!
私は20mほど下流に河原へ降りるスロープを見つけ降りていった。対岸から立ち木の枝が長く伸びて流れに影を落としていた。10mほどの川幅いっぱいにザラ瀬が広がり、水深はごく浅く10cmもない。これではとても釣れそうも無いので先ほどの溜りに急いだ。私が不用意に顔を出してしまった所為か、ヤマメの当たりは無い。上流で大岩が流れを遮り、岩の周りに良いポイントが出来ていた。水深は20cmもないだろう。私は大岩の下流にフライを投げたが当たりがない。岩の周りの泡立っている辺りにフライ(クイル・チョードー)を投げヤマメの顔が見えたので合わせると、意外に大きなヤマメが釣れた。21〜22cmのこの辺りでは良型と思われるサイズである。写真を撮って放流したが、正午を回ったばかりとあって、中天高く太陽が輝き、どの角度で撮っても反射がきつくて上手く撮れない。
そこから暫く遡って行くと流れは右岸に移った。川幅2m、水深40cmほどの深瀬の中から大きな岩が半分ほど頭を出し、その周囲に複雑な水流を生じさせているところがあった。底が見通せないところはヤマメが潜んでいるポイントなので、そっと近づいて岩の上流にフライを投げた。すぐにライズがあり、先ほどと同じサイズのヤマメが釣れた。その先は流れがいくらか速くなり、右にカーブしていった。カーブした流れを遡って行くと、右岸から覆い被さるように張り出した木の枝が水面に濃い影を落としていた。そこでも同サイズの少し痩せたヤマメを釣り上げ、なおも進むと流れの両岸から半分ほどに成長した葦が水面に垂れて魚に隠れ家を提供していた。私は対岸の叢と水面のわずかな隙間にフライを投げ込んだ。流れたフライが、下流の水中に垂れた葦の葉に引っかかる寸前素早いライズがあり、私がすかさず合わせると薄黒い体色の魚が釣れた。イワナかなと思い手にとって眺めると、ブルック・トラウトのような虫喰紋が背中にあった。私は、ヤマメとイワナの交雑種〈F1〉だろうと思った。後で図鑑で調べるとやはり交雑種だった。私はヤマメとイワナの交雑種を釣ったのはこれが初めてである。早速写真を撮ったが、相変わらず頭上から照りつける陽射しが邪魔して上手く写らなかった。
その後幾つかヤマメが釣れたが、強矢(すねや)という地点を過ぎるとヤマメの当たりはぱったり無くなった。道路から外れ、若葉のトンネルの下を流れる渓の景色は素晴らしかったが、土砂で川床が埋め尽くされ魚の棲み家が無くなっている。そのまま釣り上がって行くと堰堤に突き当たった。堰堤の下は水深があり良いポイントだったが当たりは無かった。次の堰堤まで釣り上がったが、小型のヤマメが1尾釣れただけだった。そこから先は、堰堤が連続して続くので私は道路に上がり、吉田川の様子を見ながら上流へ向かって歩いて行った。 八谷(やがい)を過ぎて倉尾神社の前に出た。私は宮の入沢の合流点まで下がって本流の藤倉川を遡った。途中1尾だけ足元から逃げ去る小型の魚影をみたが、その後は全く魚影は見られなかった。藤倉川の下流は立派な渓相をしており、奥多摩のイワナ釣り場を連想させた。50mほど釣り上がったがとても釣れそうな気がしなかったので引き返した。道路に上がると、地元の老人が野良仕事をしていたので釣りについて訊ねると、「昔は結構ヤマメがいたが今はさっぱりだ」とのことだった。「ダムの近くで遡上してくる大きなヤマメが釣れるそうだ」と、ついでに付け加えてくれた。私は入渓したのが上流過ぎたかも知れないと感じた。時計を見ると午後3時半を回っていた。引き返す途中ペットボトルが空になったので、八谷の農家で水を分けて貰った。 4時過ぎに車に戻り、下流目指して車を走らせた。支流の長久保川との合流点から200mほど上流で車を停めた。カメラは持たずに釣りに専念することにした。川への降り口はすぐ見つかった。暫く平坦な流れが続いたが、渓が狭まり、大きな長い淵に遭遇した。陽が傾いたこともあり、淵は薄暗かった。この時期、こんな大淵にはヤマメはいないと思ったが念のためフライを投げてみた。案の定当たりは無かった。大淵を通り過ぎると、やや小振りの水深のある淵があった。釣れそうな予感がしたが、予感したとおり24cm〜25cmの今までで一番大きなヤマメが釣れた。
30mほど進んだところに、ポイントの多い瀬があった。ここは殿谷戸というところだそうだが、この一体は好釣り場となっており、型揃いのヤマメが5尾釣れた。この辺りが吉田川の釣り場の白眉だろう。そこから上流もポツポツとヤマメが釣れ続いたが、旧中学校下というところで右岸から比較的大きな支流が合流しており、合流点の上に立派な魚道の付いた堰堤があった。陽が傾いて薄暗くなってきたので釣りを止め、少し下流の護岸に付けられた階段から道路に戻った。この川は、護岸のあちこちに階段が付けられているので、極めて安全に釣りができる。
期待以上に良い釣りができたが、どうしてこんな良い釣り場がガイドに載っていないのか、その理由も理解できた。吉田川は全川に渡って浅瀬が多く、深場や、目立った落ち込みは数えるほどしか無い。これではとても餌釣りで満足な釣果を上げることは難しいと思われる。釣り場ガイドの執筆者達は皆渓流釣り連盟の人たちであり、彼らはすべて餌釣り師である。そんな訳で、吉田川は釣り場として除外されたのだろう。(2009/7/1) |
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最新フィッシング・レポート(26) 鶴川源流・西原 |
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| 最新フィッシング・レポート(26) 鶴川源流・西原 ‘80年代、私は鶴川源流の西原地区が好きでよく通った。何故この場所が好きだったかというと、河原が開けていて、しかも河原に沿って道路がついているので、イブニング・ライズに夢中になっていてもいつでも道路に上がれるので極めて安全な釣り場であり、魚影は濃いが浅場が多いため餌釣りの人を見かけないこと、集落の人たちが純朴で、道ですれ違う小学生達が「今日は」と挨拶をしてくれることなどである。当時私は5月の連休前後の夕刻、原集落の一ノ宮神社前から上流の飯尾までの間、河原の葦の間からイブニング・ライズを狙って度々竿をだしたものだ。そのころは魚影が濃く、小一時間の間に10尾のヤマメを釣るのは訳ないことだった。ヤマメの型も中型以上で、ずいぶん長い期間楽しませてもらったものである。
ところが、1990年に何度も台風の被害に遭い、岸辺に密生していた葦が根こそぎ流されてしまい、ヤマメは棲息・繁殖場所を失って激減してしまった。その年を境にヤマメがあまり釣れなくなったのである。粘れば、2〜3尾釣れないこともなかったが、よく釣れた頃を知っている者にとっては誠に物足りなく、その後はすっかり足が遠退いてしまった。時折、葦が復活しているのではないかと覗いてみたが、葦の生長ははかばかしくなく、私は‘96年を最後に鶴川に行くのは止めてしまっていた。
去る5月1日、私は13年ぶりに鶴川を訪ねた。以前と同じように昼過ぎに家を出て、西原に午後2時過ぎに着き日釣り券を購入した。昔は確か5〜600円だったと記憶しているが800円に値上がりしていた。阿寺沢方面に分岐する道路の角に車を置き、それから鶴川左岸の荒れた杣道を暫く下って午後3時前に阿寺沢の合流点から釣り始めた。すぐに左岸の淵の流れ込みで良型のヤマメがライズしているのが見えた。私は慎重にキャストしたが、食いが浅くヒットしなかった。暫く好天続きで、河原の砂地にくっきりと先行者の足跡もあり、ヤマメは少しナーバスになっているのかも知れない。
谷が狭まり辺りが少し暗い感じになってきたところの荒瀬で、すばしこい当たりがあった。合わせると18cmくらいのヤマメが釣れた。その後すぐ、同じような瀬で魚影がチラッと見え合わせると思いがけず22〜23cmのイワナが釣れた。私は鶴川でイワナを釣るのは初めてだった。それから少し上ったところで、浅い流れの流心から今度ははっきりとしたライズがあり、合わせるとまた同型のイワナが釣れた。ヤマメよりイワナの方が多いようである。以前下流の尾名手沢や、大群沢で放流されたイワナが定着していると聞いたことがあるが、最近本流でもイワナが増えているのかも知れない。
釣り上ってコンクリートの橋を潜ったが、渓相の割に魚信は遠かった。きっと先行者に魚が怯えているのだろう。西原小学校の前後は、春先にマス釣り大会が開かれるなど住民の遊び場になっているところなのでここはパスし、300mほど道路を歩いて小さな堰堤を越えた先の、道路が再び川に近づいたところから河原に降りて釣り始めた。 絶好の夕まずめになっていた。小さな当たりが頻繁にあり、合わせると10cmほどの小ヤマメが連続して釣れたが、以前のような良型ではなく少々がっかりした。比較的太い流れの流心からはっきりとした当たりがあり、合わせると先程より一回り大きなイワナが釣れた。ここでもイワナの方が優勢のようだ。その後も中小不揃いのヤマメがポツポツ釣れ、いよいよ一の宮神社の前に差し掛かった。上流の岸辺の葦は少し復活しているようだった。すっかり日が暮れて、夕闇が迫ってきた。この辺りでは最大級の深瀬で、大きな当たりがあり合わせると24〜25cmのヤマメが釣れた。続けて同型のヤマメが釣れたところで、フライが見えなくなったので納竿した。
以前よりヤマメの数は減っているが、葦がもっと密生するようになるとヤマメの数は増え、以前のような好釣り場として復活するに違いない。(2009/5/3) |
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最新フィッシング・レポート(25) 痛恨!デジカメが水没、大物のシャッター・チャンスを逸す |
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| 最新フィッシング・レポート(25) 痛恨!デジカメが水没、大物のシャッター・チャンスを逸す 女性アングラーのKさんに初めてキャスティングのレッスンをしたのは一昨年の7月だったが、この年は一度キャスティングのレッスンをしただけだった。Kさんは、地元のフライ・フィッシングのグループと時々上越方面の渓流に行っているようだが、上越の渓流は中・上級者向けの険谷が多く女性のアングラーには少々難しいのではないかという気がした。話を聞くと一緒に上流まで行けなくて、あまり満足のいく釣りができていない様子である。 Kさんは、IT関係の出版社に勤めていて、年に数回海外出張するようなキャリア・ウーマンで、仕事が忙しくあまり頻繁に釣りに行けないので釣果が上がらず、私の教室を訪ねたということである。 昨年3月、再度キャスティングのレッスンをして、5月の初旬に近郊のA川にフィールド・レッスンに出かけた。本当は4月中旬が最高の釣期なのだが、Kさんの都合で5月になってしまった。それでも、度々ヤマメがライズしたがKさんは合わせ損なった。合わせが遅れるのである。私はもっと早く!と叱咤激励したが、相変わらずヤマメはヒットしなかった。 そうこうしているうちに、小さなヤマメが掛かった。それでもKさんは喜んで持っていた携帯で写真を撮った。この日の釣果はこれだけだった。私はKさんに、何とか大物を釣らせてあげたいものだと思った。私はKさんに、反射神経を鍛えるため、例えば普段電車に乗っているとき、電柱が車窓を通り過ぎる瞬間に、ぐっと拳を握るような練習をするようにアドバイスした。 7月下旬、山梨県のN川に出かけた。この日のN川はまさに千歳一遇の最高のコンディションだった。雨後の増水で薄い濁りが入っていて、日中にもかかわらず入れ食いと言ってよいほどエルクヘアー・カディスにライズした。Kさんは20回以上もあったライズをことごとく外してしまい、結局釣果無しに終わってしまった。Kさんとて決して手を拱いていた訳ではなく、懸命に合わせていたのだが、どうしても魚を掛けることができなかった。私が時々手本として釣って見せて、それだけで5〜6尾釣り上がったので、ライズが特別に素早く合わせが難しかった訳ではない。釣り終わってKさんは非常に悔しそうだったが、私はそれ以上に悔しかった。何故釣らせて上げられないのか、教え方が悪いのかと私は悩んだ。もう少し合わせの練習をした方が良いかも知れないと考え、一度管理釣り場へ行くことにした。 今年の3月、早戸川のリバーサイドで合わせの練習をした。このときは、ただ釣れれば良いというのではなく、ドライ・フライにライズする魚を合わせるのが目的だった。クイル・チョードーによくライズして10尾以上の釣果があり、こんなに釣れたのは初めてだとKさんは喜んでいた。合わせのタイミングがかなり良くなってきたので、今度はフィールドに出ても大丈夫だろうと思った。 4月下旬、再度A川にKさんとフィールド・レッスンに出かけた。今年は4月上旬に東京で1日に180mmもの大雨が降ったせいか、土砂で川床が上がり、流れの筋が変るほど渓相が悪化していた。長年釣りをしているが、流れが右岸から左岸に変るほど渓が荒れたのを見るのは初めてだった。この日はライズが3〜4回と少なく最後にやっと良型がヒットしたが、合わせのタイミングは良かったものの、上げる途中でバレてしまった。 私は、生徒のタックルについてこれまで注文をつけたことはなかったが、このとき、もしかしたら釣れないのはロッドが本人の体力とマッチしていないのではないかと考えた。最初にキャスティングのレッスンをしたとき、Kさんが使用する6本継ぎ、7フィートのロッドを借りて試しに振ってみたが、胴調子で、かなり持ち重りするのが気になっていたので、次回は私の軽い小継ぎのロッドを使ってもらうことにした。 7月15日、私たちは再度N川に出かけた。この川は昨年まで釣り人が少なく、土曜日でもよく釣れる穴場的存在だったが、今回は釣り人が多く何処へ行っても釣り人の姿を見かけた。いつも釣っている場所で全くライズが無く我々は上流の二段堰堤に移動した。堰堤の下のいつも降りていた踏み跡が酷く荒れていたのでKさんには無理だと判断して、少し下流に戻りテニスコート跡の脇に車を留め、堰堤の上に入渓した。降り立ったところは土砂が堆積して流れが拡がっていた。この辺りは、両岸の木々に陽射しが遮られて薄暗く、流れはゆっくりと蛇行していて、まるで奥日光・湯川の上流のようで、いかにもイワナがいそうな感じだった。少し上流に進むと、緩い流れが右岸の崖にぶつかっているところがあった。 今回Kさんは、私の用意したアキスコの6本継ぎ、7.5フィートのロッドを使用した。私はKさんに、流れがぶつかるところの少し上流にフライを投げ、崖際を流すように指示した。フライが岩の角を流れ過ぎようとするとき小さなライズがあったが、合わせが遅れた。再度トライすると、今度はぴったりのタイミングで小型のイワナがヒットした。型は良くなかったが、初イワナということで写真を撮った。
少し暗くなってきたのでイブニング・ライズを狙おうと思い、最初に入渓したポイントに戻った。今日のように先行者の多い釣り場で大物を狙うには、夕まずめしか無いと考えたからだ。10分ほど釣り上がって行くと、Kさんが先ほどより一回り大きいイワナをヒットさせた。合わせが良くきちんと鉤掛かりしていた。また10mほど遡ったところに今日の本命ポイントがある。辺りはだいぶ暗くなっていた。「ラスト・チャンスです」と、私はKさんを励ました。 キャストしてすぐにライズがあり、Kさんは的確に合わせた。かなりの大物で、Kさんは取り込みに苦労したが、何とかネットに納めることができた。25cmもある大物のアマゴである。Kさんは初めて釣った大物のアマゴに大喜びで、車に置いてきた自分の携帯を取りに行った。その間私は、ネットに入ったアマゴの写真を撮ろうと思い、デジカメを首に吊るしてネットの位置を変えているうちに、デジカメのストラップが緩んでカメラの底を水に浸けてしまった。慌ててデジカメをタオルで拭いたが後の祭りで、メモリーカードは辛うじて無事だったが、デジカメは動かなくなってしまった。そこへ戻ってきたKさんが携帯でアマゴの写真を撮ったのだが、今回掲載した写真はその時のものである。初めて釣れた大物の記念写真がきれいに撮れず、返す返すも残念でならない。
写真の件はともかく、Kさんの合わせは確実に上達しており、釣りたいという強い気持と相俟って、これからはもっと釣果が上がるに違いない。Kさんが釣童教室を卒業するのも、それほど遠いことではないと思われる。(2008/7/30) |
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最新フィッシング・レポート(24) 3回目のフィールド・レッスンでイワナ、ヤマメを大釣り |
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| 最新フィッシング・レポート(24) 3回目のフィールド・レッスンでイワナ、ヤマメを大釣り 山梨県の富士河口湖町在住のKさんからキャスティング・レッスンの申し込みがあったのは今年の2月の初めである。申し込み欄を見ると、フライ・フィッシング歴1年、年齢は51歳と記されていた。その後何度かメールのやり取りをしたが、50歳になって独学でフライ・フィッシングを始めたものの、果たしてものになるのか不安を感じている切実な気持が感じられた。 とりあえず、キャスティングのレッスンを2月と3月に行った。Kさんは生真面目で温厚そうな紳士で、聞けば内科のお医者さんをしておられるとのこと。ある時メールに、病院内でキャスティングの格好で腕を振りながら歩くので、みんなに変な奴と思われているだろうと書かれていたが、謹厳実直なKさんのそんな姿を想像して思わず笑ってしまった。 私としては初めての試みであったが、今シーズンの終了までに一人前の釣り師になって貰うため、今年1年がかりで、月1回のペースで集中的にフィールドレッスンをするということを提案した。これまでは、受講者に2、3度フィールド・レッスンをして、その後は自分自身で何年間か渓流という教室に通って魚に教えて貰えば良いと考えていたが、失礼な話だがKさんの場合は、若い人と違って上達するまで何年も時間をかけている余裕はないと考えたからである。 4月21日、Kさんの地元のK川で第1回目のフィールドレッスンを実施した。生憎、数日前の大雨の影響で本流が泥濁りとなっていて釣りにならず、已む無く支流のS川に移動した。この日は、時折小雪が舞うという酷く寒い日にもかかわらず、ヤマメの活性が高く頻繁にライズがあったが、Kさんは合わせることができなかった。私は実際に釣って見せて、合わせを早くするようにアドバイスしたが、Kさんはこの日はとうとうヤマメをゲットすることはできなかった。これまで管理釣り場に何度も通って、ニジマスを釣ることには慣れていたKさんだったが、「管理釣り場とは全く勝手が違いますね」と述懐していた。 2回目のフィールド・レッスンは5月12日に、A川で実施した。今年は3月から4月の中頃まで極端に雨が少なく、シーズン初期の東京近郊の河川はどこも極端に減水して殆ど満足な釣りができなかった。そのうちまとまって雨が降るのではないかと私は密かに危惧していたのだが、案の定4月の後半以後雨の降る日が多くなった。最初はいつもの入渓点より下流を探ってみたが、解禁後2ヶ月も経つと、歩き易い開けたポイントでは魚がすれて当たりが遠くなっていたので、昼食後上流に移動した。この日のA川は普段より水量が多く、いつもライズのあるポイントでも当たりが少なかった。 源流近くまで遡ると陽が傾いてきた。ぽつぽつライズが出始め、いよいよイブニング・ライズの時刻になった。何回もライズがあったがKさんは合わせることができない。Kさんには、1回目のフィールド・レッスンで、7、5フィート、4xのリーダーを使うようにアドバイスしていたのだが、Kさんはそれまで読んだフライ・フィッシングの本に書かれていたセオリーを頑なに守り、9フィート、6xという細く長いリーダーを使っていた。Kさんは見かけによらず頑固な人かも知れない。 「騙されたと思ってこれを使ってみて下さい」と、私は自分が使っている7、5フィート、4xのリーダーと、クイル・チョードー#16のフライをKさんに渡した。Kさんは最初、1、2度合わせ遅れたが、「もっと速く!」と私が叱咤すると、すぐにヤマメが釣れた。初ヤマメということで早速魚体をデジカメに治めた。その後は入れ食いのように連続してヤマメがヒットし、5尾ほど釣れたところで、レッスンを終了した。「素晴らしいシステムですね!」と、Kさんは感嘆しきりだった。太く短いリーダーでも、ヤマメが釣れることが納得できたようだ。
3回目のレッスンは、6月9日N川を予定していたが、雨続きで2度延期し6月23日になってしまった。昨年はこの釣り場には来なかったので、2年振りである。この釣り場のベストシーズンは6月初旬であり、少し日にちが遅れたので私は内心心配していたのだが、それは全く杞憂だった。気温が高めで曇天、何よりこのところの雨でやや増水し、薄い濁りが入っているという渓流釣りには絶好の条件に恵まれた。私の馴染みの民宿で釣り券を購入し、車を置かせて貰った。私はKさんにポイントを指示し、Kさんもそのポイントにうまくフライをキャストできるようになっていたので、すぐに魚がヒットした。釣り上げた魚を見るとイワナだった。私はずいぶん昔からこの渓で釣りをしているが、初めてイワナを釣ったのは2年前で、その時はたった1尾だけだったが、今回釣れたのはすべてイワナだった。最初の堰堤まで遡ったが、堰堤下の渕はすっかり砂で埋まってしまっていた。渓相が変わったことと、イワナが増えたことと何か関係があるのだろうか。尤もこのあたりの標高は1000mを越えているので、イワナが棲息していても何ら不思議はないのだが。
堰堤を越して再度入渓した。そこは以前と変わらぬアマゴの世界だった。入渓してすぐに小さな落ち込みに続くやや深めの瀬があり、その流心にはいつも良型のアマゴが居着いているので、私はKさんに流心を狙うようにアドバイスした。この日は先行者が無かったと見え、魚はおおらかにライズした。すかさずKさんが合わせ、良型のアマゴが掛かった。Kさんの合わせのタイミングはベストで、合わせもすっかり板についた感じだ。その上の落ち込みでもアマゴが釣れた。その後もアマゴが釣れたが、そこでレッスンを終了した。イワナ、アマゴを合わせて10尾近く釣れたことになる。Kさんは山道を下りながら、「こんなに釣れることもあるんですね」と驚いていた。また、クイル・チョードーについて、「このフライがあれば、他のフライは要りませんね」と言うので、私は「他のフライも巻かないとタイイングが上達しませんよ」と窘めた。
帰りに民宿に立ち寄って挨拶をすると、女将さんから珈琲を一杯飲んでいくように勧められた。我々は遠慮なく頂いたが、珈琲の温かさと女将さん心遣いが、我々の冷えた体の隅々まで滲み渡った。(2006/6/30) |
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最新フィッシング・レポート(23) 岡山・新庄川、羽出川と広島・成羽川の釣り |
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| 最新フィッシング・レポート(23) 岡山・新庄川、羽出川と広島・成羽川の釣り 久しぶりに遠出して、岡山に釣りに行った。帰って車のメーターを見ると1.800kmを越えていたが、これだけ走ったのは2001年に山口、宮崎に行った時以来である。 去る6月5日、午後4時に八王子の自宅を出て、6月6日午前1時に旭川支流・新庄川に着き、新庄村の道の駅で仮眠した。
吉井川、旭川、高梁川は岡山県の三大河川と呼ばれているが、新庄川は旭川の支流である。私が新庄川の名前を初めて知ったのは、'87年4月号の「フィッシング」に載った記事でであるが、その記事によると、川幅が広く、5〜6mの長竿が必要と書かれていて、これはフライ・フィッシング向きの川に違いないと感じ、そのうち是非行ってみようと思っていた。実は2年前の4月下旬に一度計画したのだが、生憎その時は天気が悪く断念し、今回長年の願いが漸く叶った訳である。 朝5時頃起き出し、とりあえず川の様子を見ようと国道181号線(出雲街道)を横切り、新庄川に架かる宝田橋という立派な橋の上から流れを見た。橋の上流は平瀬で、低い堰が連続して見え、橋の下流は、半分ほど伸びた葦が流れを狭め、新庄川はその葦の間を縫うように蛇行しながら流れ下っていた。橋の周辺でも、ことに葦際を狙えばアマゴが釣れるだろうと思ったが、新庄川全体の様子を見たいと思って下流へ車を走らせた。首切峠付近まで下ったが、発電所の取水堰があったので引き返し、旧美甘村役場の少し上流に大きな橋が見えたので、とりあえずこの辺りで良いかと釣り支度をした。 釣り場は、まるでヤマベ(オイカワ)釣り場のような平瀬で、この日は#4ロッドを使ったが、#5ロッドが欲しくなるような広い川幅である。橋のすぐ下流の、流れがやや狭まったところで良型のアマゴがヒットし、サイズを計ると23cmあった。幸先は良かったが、陽が高くなるに連れて当たりが遠くなった。美甘の券売所で話を聞くと、日中は釣れないから誰も釣っていないでしょう、谷(支流)に入った方が良いですよと言われた。この券売所付近の新庄川は、広い川幅いっぱいに流れが広がっており、桜が終わった頃から5月中旬頃まで、どこにフライを投げてもアマゴがライズするような感じだった。
1kmほど上流に移動し、羽仁の下流でこの川には珍しい深い渕があるのを見つけた。渕にはいかにも大物が潜んでいそうな感じだったが、この時期昼間から渕でアマゴのライズを期待するのは無理だったようで、魚影は無かった。渕の流れ込みに続く急な瀬を狙って釣り上がって行った。広い瀬の中で、いくらか水深のある太い流れを探してフライを投げると、チラッと魚影が見えた。反射的に合わせると良型のアマゴが釣れたが、これも23cmあった。そこから少し上流で同型のアマゴがヒットした。新庄村役場付近の、出雲街道が新庄川を渡る橋の50mほど上流に好ポイントを見つけた。橋の袂から釣り上がり小さな堰の下で1尾、その先の大きな渕を越した水深のある早瀬でも1尾アマゴが釣れた。いずれも22〜23cmの型揃いである。本流で釣れたのはこの5尾だけだった。
その夜の宿を探したが、雑誌に載っていた美甘の旅館を訪ねると、夕方宿の者が皆出かけるので生憎ですがと断られ、続いて訪ねた新庄村の旅館は主人が不在で、留守番をしていた女性に別の旅館の電話番号を教えて貰い、やっと美甘で宿を予約することが出来た。
昼食後、支流の野土路川に向かった。高下川が合流しているところから少し上ると、野土路川が右に大きく湾曲しているところがあり、渓相が良さそうだったので竿を出してみることにした。左岸は雑木や竹の林で、そこから伸びてきた枝が流れに影を落としていた。小さな落ち込みから溢れ出た流れの流心でライズがあり、咄嗟に合わせると20cmぐらいの小型のイワナが釣れた。山陰のゴギには頭部まで白点があるが、ここのイワナにはそれが無いので、本州と同じイワナだろうと思った。そこから幾らも歩かないうちに、また同型のイワナがヒットした。湾曲した流れが終わり、野土路川が再び道路に沿うようになって50mほど遡ると、やや水深のある流心から水飛沫を上げた派手なライズがあり22cmのアマゴがヒットした。それから先はボサが多く渓相が悪くなったので、納竿して新庄川の源流に向かった。
野土路川との合流点付近の新庄川は川底が殆ど干上がっていて、一見するととても釣りになりそうもない感じだったが、新庄川の本流に水が無い筈が無いと思って川沿いの道を車で上っていった。案の定、100mほど走ると取水堰堤が見え、堰堤の上は青々と渦を巻いたプールになっていた。新庄川源流沿いの山道を、渓への降り口を探しながら上っていったが、川岸は雑木や葦などに覆われていて入渓点が見つからず、さらに進んで小さな橋を渡ると渓が細くなり渓相が悪くなったので、道端に車を止め、歩いて渓への降り口を探すことにして山道を引き返した。 適当な降り口が見つからず、いくらか葦の茂みの薄いところから強引に渓に降りた。川原に立つと水量も適度にあり、早速釣りを開始した。幾つも底石が見える広い渕があり、底石の上の流れにフライを投げると、底石の陰からアマゴが飛び出してきた。ランディングするとやや青みがかった綺麗なアマゴで、この日最大の24cmだった。そこから20mほど遡って一回り小さいアマゴが釣れたが、その後当たりが無くなった。
時計を見ると5時半を回っており、あまり遅くなっても宿に迷惑をかけると思い釣りを切り上げ、6時過ぎに投宿した。まだイブニング・ライズには十分間に合う時間で、本流を狙えば幾つか釣れると思ったが、イワナを含めて二桁釣れたことだし、まあ良いかとイブニング・ライズは見送ることにした。それにしても、新庄川のアマゴの型揃いなのには驚かされた。超大型は出なかったが、釣れたアマゴは全て20cmを超えていた。条件が良ければ尺級も望めるだろう。
新庄村には、明治39年、日露戦争の戦勝を記念して植樹された、「がいせん桜通り」と言う桜の名所があるが、この桜が散る頃から5月の中頃まで、本流で夢のようなフライ・フィッシングが楽しめるに違いないと感じた。 翌6月7日は出雲街道を北上し、日野川上流の様子を見ながら日野街道(国道183号線)を南下し、成羽川に移動した。成羽川は高梁川の支流で、私の釣った小奴可と言うところは、広島県に属している。成羽川を訪ねたのは今回が2度目で、前回は‘96年8月初旬だった。その時、数はあまり出なかったが、最上流にある発電所の排水口の下で、28cmの大アマゴが釣れた。夕方下流に下り、JR芸備線小奴可駅上流の鉄橋付近で、水底にびっしりと生えたセキショウモの間を、アマゴと思われる尺級の魚が多数泳ぎまわっているのを見つけた。私は懸命にいろんなフライをキャストしてみたが、魚たちは全くフライに興味を示さず、非常に悔しい思いをし、それと同時に、あの魚は一体何だったのだろうという強い疑念が残った。今回は、その疑問を是非解消したいと思って出かけてきたのである。
小奴可駅上流の、国道314号線に架かる橋の袂から入渓したが、小型のカワムツが足元を逃げ回るばかりで、アマゴは姿を見せない。鉄橋の下流で、やっと22cmのアマゴが釣れたが、その後はさっぱりだった。前回尺アマゴらしき魚を目撃したポイントに着いたが、水底にはセキショウモなど1本も生えておらず、大型の魚の影も全く無い。まるで狐に抓まれた感じであった。いろいろ考えてみたが、前回は、8月の水温が最も高い時期で、下流からヤマメが低水温を求めて、多数遡上していたのかも知れないと思ったが、結局のところ真相が掴めないままに終わってしまった。
そこから上流は、前回歩かなかったので、川通しで釣り上って見た。いかにも魚がいそうな感じだが、全くライズがない。1kmほど遡ってみたが、ノーライズであった。小奴可から2基目の、高さ1.5mほどの堰堤を遡ろうとジャンプする大型の魚を何尾も見かけたので、確かに魚はいるのだが、前回来た時と比べかなり水量が少ないせいか、全く食い気が無いようである。発電所の下まで釣り上がったが、前回28cmのアマゴを釣ったポイントで小型のアマゴが1尾釣れただけだった。今回の収穫と言えば、小奴可から上流の発電所までの成羽川を通して歩いたことだけである。その夜は、道後山スキー場近くのリゾートホテルに泊ったが、洋室のせいか換気が悪く、洋室に慣れない私はなかなか寝付けなかった。
6月8日は、奥津温泉を流れる吉井川で竿を出した。前回、'01年7月にここを訪ねた時には、地図も資料も持たず、全く行き当たりばったりだったが、偶々入渓した羽出西谷川で、27cmのアマゴを始め、結構良い釣りをすることが出来た。今回は、吉井川支流の中津河川と羽出川本流に狙いを定めて来たのである。 午前中は、中津河川に入った。水量のない、ありふれた小渓で、魚影も薄く、全く魅力がない。小型のアマゴが1尾釣れただけで、そのうちに上流で河川工事が始まったのか、ひどい濁りが入って釣りにならなくなり、早々に納竿した。 昼食後、羽出川本流に入渓した。林道が羽出川の左岸に移る大柱という集落の100mほど上流で、杉林の中に河原へ降りる踏み跡を見つけた。羽出川は今日の本命釣り場であるが、実際入渓してみると水量が多く、水の澄み切った、予想を遥かに上回る好渓だった。
入渓してすぐに、小さな渕の流心からライズがあり、合わせると20cmのアマゴだった。この日は、雲ひとつ無い晴天で、一般的には釣りには不向きの天気だが、今回使用したクイル・チョードーは、晴天で、水が澄んでいるほど食いが良いという不思議なフライで、このフライのお蔭で、その後も連続してアマゴがヒットした。水深のある、長瀬の流心がこの日のポイントで、しばらく入渓者が無かったものか、面白いようにアマゴがヒットし、15尾までは数えたが、そのうち面倒臭くなって数えるのを止めてしまった。上流に遡るうちに、だんだんと型が落ちてきたので、ひとまず釣りを切り上げ、下流に移動することにした。 野沢と言う集落の、集会所の広場に車を停め、広場の下の堰堤から入渓した。近くの水田から入るのか薄い濁りがあったが、釣りに支障はない。期待通りすぐ良型のアマゴがヒットした。上流のアマゴより一回り型が大きく、22〜23cmが揃った。その後も釣れ続いたが、午後4時に納竿した。この日の午後だけで30尾近く釣れたのではないかと思われるが、とにかく、羽出川の魚影の濃さは抜群だった。
これだけ釣れれば文句を言ってはいけないのかも知れないが、年券が¥5.000であるのに対し、日釣り券が¥3.000と言うのはいかにも法外な値段である。とにかく年券を買わせようという久田川漁協の魂胆が見え透いていて、なんともさもしい非常識な感じがした。 今回久しぶりの遠出で、帰宅して3日ほど全身倦怠で、あちこち筋肉痛を覚え、体力が落ちたことを痛感させられた。(2005/7/5) |
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最新フィッシング・レポート(22) 隠れた釣り場を求めて〜日川下流 |
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| 最新フィッシング・レポート(22) 隠れた釣り場を求めて〜日川下流 10年程前まで、私はシーズンの初期には、伊豆など暖地の渓流を除いて普通の河川ではドライ・フライでヤマメは釣れないものと諦めていて、4月後半から本格的に釣りを始めていた。現在でも、シーズン初期にノーマル・パターンのドライ・フライでヤマメを釣ることことが難しいことに変わりはないが、ソフト・ハックルを使った自分のオリジナルであるクイル・チョードーを使い始めて以来、解禁当初から、数は少ないが確実にドライ・フライでヤマメが釣れるようになり、最近ではシーズンを通してドライ・フライだけでヤマメ釣りを楽しんでいる。 近頃、釣り慣れた釣り場へ行くのはいささか飽きが来たというか、あまり胸がときめかなくなり、今まで行ったことがない釣り場を探して出かけることが多い。初めての釣り場であっても、全く釣れずにがっかりするようなことはこれまであまり無かったが、仮令釣れなくても釣れないことが確認できたことで善しとしている。 今年になって初めて行った釣り場として、名栗川支流・中藤川や、浅川源流・日影沢、多摩川支流・大沢川、日川下流などがあり、いずれの渓でもヤマメやアマゴの型を見ることが出来たが、その中でも日川下流は渓相、魚影とも期待を上回った。 日川の釣り場と言えば、普通JR甲斐大和駅(旧初鹿野駅)以遠の田野辺りから上流を指すことが多く、中央自動車道直下を流れる日川本流については、釣り場として取り上げられたことは殆ど無いようである。中央自動車道からは、日川の本流は谷が深すぎて流れは殆ど見えない。また、勝沼ICで降りて甲州街道を引き返して日川の上流に向かうときも、甲州街道は車の交通量が多く、じっくりと日川本流の様子を眺めることは出来なかった。私はこの辺りを通過する度に日川の様子はどうなっているのだろうと考えていた。渓魚はいるのか、いないのか?情報が無いので、実際に谷に降りて調べてみる他確かめようが無いようである。 去る4月19日、私は、2万5千分の1の地図で日川下流の下調べをし、断崖記号の無い開けた場所を何箇所か見つけて印をつけ、日川に向かった。中央自動車道の大月ICを降り、笹子川沿いの甲州街道を通って日川に向かった。日川は、概ね街道の左手を流れているので、左折して駐車スペースに入りやすいと思ったからである。途中の笹子川には、点々と釣り人の姿が見えた。 笹子トンネルを抜けて大和村役場を過ぎると、すぐに橋が見えたので私は左折して橋を渡り車を止めた。橋から日川を見下ろすと、橋の下はやや深く、流れが淀んでいたが、橋の上、下流は適度に落差のある浅い瀬が続いていた。流れの脇には河原もあり、いかにも歩き易そうで、格好の釣り場に見えた。私はやや下流に谷への降り口を見つけ、車を下流の広場に移動させた。広場から見下ろすと、10mほどの急な崖の斜面に、釣り人が付けたものと思われるかすかな踏み跡を見つけたので、私は小さな立ち木に掴まりながら降りていった。流れに近づかないよう広い河原の端を通り、50mほど下って行った。
クイル・チョードー#16をセットし、早速キャストしてみた。頻繁にライズがあったがなかなか鉤掛かりしない。フライを#18に変えてみた。早速15cmほどのヤマメが立て続けに釣れた。さらに進むと落差の小さな落ち込みに続くやや広い浅い渕が見えたので、白泡が消える辺りの流心にフライを投げてみた。ヌッと黒い魚の頭が見え、私は反射的に竿を握り締めるように小さく合わせた。20cmを超える良型であった。よく見るとヤマメである。日川は本来アマゴ域であるが、この辺りで釣れた魚は全てヤマメであった。鉤を外そうと思ってヤマメの口をあけると、鉤が下顎の舌下の骨に掛かっていた。私は#18の小さな鉤でよく釣れたなと思っていたが、骨に掛かっていたのでバレなかった訳である。私は、鉤のサイズを#16に戻した。
一息つき、ペットボトルの冷たいお茶でのどを潤し、周囲を眺めた。この辺りは標高600mほどあり、四月後半でもまだ早春の佇まいで、両岸の木々はまだ芽生えたばかりの淡い緑に彩られ、岸辺の草も伸び始めたばかりである。流れは澄んでおり、やや冷たい風が頬を過ぎり、早春の渓流の爽やかさがいっぱいである。 流れは橋の下で右岸に寄った。橋の下は魚影が濃く、20cm級が立て続けにヒットした。橋を通り越すと落ち込みに続く深い渕があった。落ち込みではライズが無く、落ち込みの肩で大物がライズしたが、残念ながら鉤掛かりしなかった。 橋を過ぎた辺りから枯れ葦が密生して遡行し難くなった。上流を見ると、落差の急な激しい流れが続いており、この時期のポイントではないと判断し、盛り上がった河原の上に登り、枯れ葦の中の踏み跡を辿って上流へ向かった。夏場になると葦が伸びてきて、釣りにならなくなるかも知れないと思った。 しばらく好瀬が続いたが、その上流は、川底にコンクリート・ブロックが置かれていたり、やたら大きなプールが現われたりして不調であった。ふと見上げると、村役場の裏庭だろうか、満開の見事な桜が並んで、敷地からはみ出すように河原の上まで枝を伸ばしているのが見えた。日が翳っていたので、写真は撮らなかったが、やや赤みの強い桜で、この辺りから眺める人は殆どいないだろうと思うと、何だか可哀想な気がした。 村役場を過ぎるとまた渓相が良くなったが、この辺りから崖が低くなり、いくらか道路に近いためか釣り人もかなり入るようで、当たりが遠くなった。しばらく歩いて大堰堤に突き当たったところで納竿、引き返した。入渓して700〜800mも歩いただろうか、期待以上の釣果であった。 その後、もっと下流で釣りたいと思って車を走らせたが、どこか途中で工事でもしているのか濁りが入っていたので、釣りを中止して引き上げた。(2005/4/25) |
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最新フィッシング・レポート(21) 憧れの大井川源流 |
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| 最新フィッシング・レポート(21) 憧れの大井川源流 5月の初め、釣友のKさんから4月下旬に大井川源流に釣りに行き、イワナとアマゴを釣ったという話を聞いて私は非常に驚いた。 私は、以前から一度大井川の源流に行ってみたいと思っていたが、車は途中の畑薙ダムまでしか入れず、大井川源流の二軒小屋に行くには畑薙ダムから山道を延々と30km近く歩くか、山梨県の早川沿いの新倉から広河原まで行き、そこから登山道を歩いて伝付峠を越え、7時間近くかけて二軒小屋に出るしか方法はないと聞いていたからである。私は、このアプローチの長さを考え、自分の体力では二軒小屋に行くのは到底無理だと諦めていた。そこへKさんが行って来たと言う。私よりタフとは思えないKさんが二軒小屋に行って来たとは、とても信じられなかった。 6月にKさんと一緒に山梨県下の渓流に釣りに行ったとき、大井川源流に行った時の様子を詳しく聞いてみた。Kさんの話では、静岡の釣友の伝手で大井川東俣林道の通行許可を貰い、車で二軒小屋まで入れたということだった。私はKさんに、もしまた大井川に行く機会があったら、私も是非行ってみたいから声を掛けて欲しいと頼んでおいた。 7月に入って、Kさんから7月末に大井川に行けそうだが行きますか、という誘いがきた。Kさんの口ぶりが、それほど積極的ではなさそうだったので確かめてみると、今回は登山パーティーに便乗して同行するので、スケジュール的にかなりきついらしいということが分かったが、私の方が逆にKさんを煽るようにして参加することを決めた。長年大井川源流に憧れてきた釣り師にとってはまさに千載一遇のチャンスであり、どんなに辛くても、このチャンスを逃すと、次はいつ行けるか分らないと思ったからである。 7月30日(金)の午後4時、Kさんと私、それにKさんの弟子Uさんの三人は、相模原市のKさん宅を出発した。この日は静岡県の掛川市のホテルに午後7時頃着いて、1泊する予定だった。折から台風10号が接近中であったが、予報では本州から遠く離れて太平洋上を通過すると言うことだったので、我々はそれほどの影響はないだろうと甘く考えていた。 厚木ICから東名高速に乗ると、富士・清水間が台風の高波で通行止めという表示が出ていた。私はなんだか前途多難な予感がした。他の多くの車は、富士ICのひとつ手前の沼津ICで降りていたが、我々はとりあえず富士ICまで行って、そこから国道1号線に降りることにした。ところがこの判断が結果的に悪く、富士ICの手前が酷く渋滞していて、2時間近く時間をロスしてしまった。渋滞に巻き込まれているうちに雨が降り出し、時間が経つに釣れて雨足が激しくなってきた。富士ICを降りてからも渋滞は延々と続き、結局掛川のホテルに着いたのは日付が変わった午前零時半であった。雨は依然としく激しく降り続いていて、果たして大井川の源流で釣りができるのか不安になった。朝4時半起きというスケジュールだったが、寝つきの悪い私は2時間も眠れなかった。 目が覚めて窓の外を見ると、雨は依然として断続的に降り続いていた。島田市のコンビニに全員が集合した。登山のグループ、釣りのグループを合わせると総勢三十名近い大所帯である。我々はコンビニで昼食用の弁当や飲み物を買い込み、午前6時にコンビニを出発した。 私は大井川の水況が気になって仕方がなかったので、車の窓から川の方ばかり見ていた。途中、所々にダムがあり、水量が増えたり減ったり、濁りが強くなったり弱くなったりして正確なところが良く分からなかったが、井川のオートキャンプ場近くで入漁券を購入するため停車したとき、大井川が濁りの強い激流となっていることがはっきりと分かった。恐れていたことが現実となり、いささかがっかりした。 午前9時頃畑薙ダムに着き、ゲートで東俣林道の車両通行証を受け取り、それからまた1時間半ほど走って椹島ロッジに着いた。ロッジで昼食を摂っている間、コーディネーターのSさんや、大井川に詳しい地元のメンバー達がその後のスケジュールについて話し合っていた。登山グループは登山を中止し、釣りのグループは、本流は増水していて入渓はとても無理なので、幾つかの班に分かれて椹島ロッジ近くの濁りの薄そうな支流に入ってみようということになった。我々三人は椹島ロッジ下流の、赤石ダムに流れ込んでいる聖沢に入り、他のメンバーは赤石沢や、その他の支流に入った。 聖沢の入渓点はすぐに見つかったが、雨で地盤が緩み、崖が崩れたりしていて簡単には下降できなかった。それでも普段は入渓者があるとみえ、下降用のロープが張られていたが、経験の浅いUさんには難しかったらしく、見ていてはらはらした。降りると土砂が堆積した河原が広がっていた。ひと汗かいたので一服し、温くなったペットボトルのお茶を飲んだ。 雨は小降りになり、時折薄日が射したりしていた。聖沢は増水していたが、濁りは薄く何とか釣りになりそうだった。Kさんは下流の赤石ダムのインレットへ、Uさんは上流へ向かい、私は目の前へ入渓した。入渓してすぐ大石裏の巻き込みで、中型のイワナがエルクヘアー・カディスを追って姿を見せたが、流れるフライに追いつけず引き返してしまった。イワナの姿を見たのは、後にも先にもこれ一度きりだった。 流れを遡っていくとUさんに追いついた。そこは流れが狭まり、通らずとなっていた。普段は難なく通過できるのだろうが、折からの増水でとても遡行できそうもなかったので我々は諦めて引き返した。Kさんが戻って来たので結果を訊くと、小さなイワナが一度姿を見せたということだった。正味1時間、距離にしてたった100mほどの釣りだったが、歩けなくてはどうしようもない。我々は釣りを中止して引き上げることにした。雨がまた激しく降ってきた。 夕食にはまだ間があったので、上流の様子を見に行くことにした。二軒小屋まで車で30分ほどかかったが、林道の至るところで沢水が勢いよく路上に溢れ出し、場所によっては道路が沢水で深く抉られていた。路上のあちこちに落石が転がり、崩落した土砂が道幅の半分ほどを埋めているところもあった。車窓から見る大井川は、惚れ惚れするような渓相だったが、濁流の勢いは恐ろしいほどで、とても近づける状態ではない。平水時に是非狙ってみたいものだと思った。
二軒小屋に着いた。駐車スペースから二軒小屋の堰堤を見上げると、ダムの放水口のように、凄まじい勢いで濁流が落下していた。普段は、レースのカーテンを引いたように、穏やかに流れ落ちているそうだが、そんなことはとても想像できない。私は、何十年も釣りをしていて、川の恐ろしさを熟知しているつもりだったが、改めて自然の脅威を目の当たりにする思いだった。 椹島ロッジに引き返し夕食を摂った。赤石沢に入渓したグループは、良型のアマゴの型を見たということだった。食後、皆で酒を酌み交わし、大いに盛り上がった。下戸の私は、適当なところで切り上げ、前夜の睡眠不足を取り戻そうと早々と床に着いたが、皆の歓声が深更まで聞こえていた。夜中に何度か目が覚めたが、相変わらず雨だれの音が絶えることはなかった。 朝目を覚ますと、雨は上がっていた。私はロッジの敷地の中を歩いてみた。この辺り、大井川源流一帯は東海パルプの所有地で、このロッジも東海パルプ系列の東海フォレストが経営しているそうだ。敷地内は、椴松などが整然と植えられていた。 釣りグループのメンバーが本流の様子を見てきて、大分水が引いたので、二軒小屋の上流では釣りができそうだという情報が齎された。あれだけ増水していたのに、そんな簡単に水が引く訳がないだろうと、私は半信半疑だったが、地元のメンバーがそう言うのだから間違いないだろうと思い直した。この日の予定が発表され、9時椹島ロッジ出発、9時半二軒小屋着、そこから登山組と、釣り組に分かれ、13時に二軒小屋に再集合とのことであった。事前に貰ったスケジュール表では、15時まで釣りができる筈であったが、登山グループの都合によるものなのか、いつの間にか2時間も釣り時間が短縮されてしまっていた。私は部外者であり、押しかけて参加したようなものだからと思い文句は言わなかったが、釣り師にとって何より辛いのは釣り時間を短縮されることである。 朝食後、9時に椹島ロッジを出発して二軒小屋に向かった。大井川の本流は、入渓はまだ無理のようだが昨日の激流が嘘のように減水して、濁りも薄くなっていた。大井川の源流は、増水するのも、減水するのも早いようである。9時半に二軒小屋に着いた。10時前に登山と釣りの両グループ全員が二軒小屋を出発した。釣りグループは2班に分かれ、我々三人は東俣に入り、残りの班は西俣に入ることになった。東股を渡る橋の上から西俣が見えたが、かなり水量が多いように思われた。橋から東俣の上流を見ると、やや白く濁ってはいたが、何とか遡行できそうな水量だった。東俣に沿って、林道が上流に延びているのが見えた。地元のメンバーに、橋から5分ほど歩いて入渓すると魚影が濃いとアドバイスされた。二軒小屋を出発して東俣の入渓点に着くまで、40分ほどかかった。今から釣って13時集合まで、帰りの時間を差し引くと、残り時間は2時間半ほどしかない。
天気は快晴で、非常に暑くなってきた。Kさんが適当な瀬を見つけて入渓した。Uさんがそこから50mほど上流に入渓した。私はUさんに、交替で釣りましょうと言ってUさんの後に続いて入渓したが、Uさんは、さっさと上流に遡って行ってしまった。私はUさんがまだ初心者なのだから仕方がないと考え、こまめにポイントを探ることにした。 この日は増水の後でイワナが疲弊しているのか、あまり流れの強いところにはいないようだった。対岸に、水面近くまで頭を出した大きな底石が点在し、その石の間を縫う緩い流れがあって、いかにも大物が潜んでいそうなポイントに思われた。私はなるべく下流からキャストしたいと思ったが、下流が深く抉れていて下ることができなかった。エルクヘアー・カディスが底石の上を流れ、本流と合流して、私の正面から1mほど下流に達したとき、イワナの大きく開けた口がチラッと見えた。再度キャストすると、イワナの姿が見えると同時にフライが水面から消えた。すかさず合わせたが、手応えは無かった。合わせ切れだった!立ち位置が悪く、自分より下流の魚を掛けたので、魚の重さに流れの重力が加わって、4xのティペットが持ち堪えられなかったのだろう。それにしても、口の大きさから見て尺クラスのイワナだったに違いない。その後、浅瀬で一度だけ中型のイワナがフライを追ってきたが、私の姿が見えたようで引き返してしまった。 そうこうする内に、Kさんが林道を上ってきて私を追い抜いて行ってしまった。私は、先行する二人のすぐ後を釣り上がってもしようがないと思った。かといって、二人を追い抜く訳にもいかないので、私は思い切って下流に引き返すことにした。私は少し釣り場を休ませ、今歩いたところを再度トレースしてみようと思い、Kさんが入渓した地点の50mほど下流に入渓した。集合時間まで、残り1時間余りしかない。
私はこの日の濁りから判断して、フライをエルクヘアー・カディス#14で通すことにした。再入渓してすぐに、石裏の弛みから中型のイワナがヒットした。Kさんが通過したところからも中型と、小型のイワナがヒットした。私が最初に入渓して、そのときはライズしなかった落ち込みの緩い渦の中から、中型のイワナがヒットした。水温が上昇して、イワナの活性が上がったのだろう。私が先ほど釣りを中断した場所の、すぐ下流の石裏のポイントからもイワナがヒットし、丁度ランディングしているところへKさんと、Uさんが林道を下って来たので納竿した。結局、この日は人が歩いた後ばかり釣っていてが、それでも再入渓後の1時間余り、距離にして200m足らずの場所で、5尾のイワナが釣れたことになる。こんなことは、他の釣り場ではとても考えられないことである。 この日は、大井川源流のほんの僅かな距離を、数時間釣っただけだが、魚影の濃さは抜群で、大井川源流の凄さを垣間見ることができた。大井川源流のこの魚影の濃さは、釣り場へのアプローチが長く、車での入渓が難しいことなどから、事実上の保護区となっているからだろう。 長年憧れていた大井川源流で、さまざまな悪条件にも拘わらず、短時間とは言え釣りができ、しかもイワナの型を見ることができたのは幸運だった。釣友のKさんと、今回お世話になった掛川のSさん初め、静岡のフライ・フィッシャ−の皆さんにお礼を申し上げたい。(2004/9/5) |