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スカイ・クォリティ・メーターSQMで夜空を測る
  天体観察には何より暗い夜空が欲しいものです。環境庁が全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)を夏冬の年2回ずつ行っています。当館でも友の会とともに参加していたことがありました。ただ、積雪地域にあるため冬季は夏と同じ場所で行うのが困難であり、また冬の晴天率が悪く断念するケースが多く現在は参加を見合わせています。
  この行事で資料として特に大事なのは、リバーサルフイルムでの天頂部の撮影で、星空の1平方秒角当りの夜空の明るさが測定されていることです。単位は天体の光度をあらわす「等級」です。近年この夜空の明るさを簡単に「等級」単位で測ることができる「スカイ・クォリティ・メーター(SQM:左)」というものがunihedronから販売されており、国内では国際光器などで取り扱っています。
  SQMは手のひらサイズで、天頂方向に向けてボタンを押すだけの簡単操作で夜空の1秒角当たりの等級を測定できます。SQM値は数値が大きいほど夜空が暗いことを示し、数値が小さいと夜空が明るく望遠鏡の性能がフルに発揮できません。また天体撮影では暗い天体が写る前に背景の明るい夜空の光でカブリを起こしてしまうのです。以下にSQMで測定している結果を図示しましたのでご覧ください。

 上図は眺海の森天体観測館のある山形県庄内地方の夜空の明るさをスカイ・クォリティ・メーターで測定したものです。鳥海山・滝の小屋線駐車場は鳥海山の五合目付近で夏から秋にかけて天体観察・撮影の適地です。測定した日は明け方の黄道光を撮影しています。しかし、もっと良い数値を示す日が多いはずです。遊佐町三の俣はスキー場(営業時間後)があるため通年で行ける場所で、鳥海山の湧き水を汲みに来る方も多くいます。秋田県側の仁賀保高原も冬季の矢島スキー場の方向と仁賀保の街区方向以外は良い空です。
  庄内地方南部の月山周辺も天体観察・撮影適地です。庄内町清川地区から立谷沢を南下した大中島地域はなかなかの数値を示しました。鶴岡市羽黒地区の月山牧場も近くに外灯がなく鶴岡市街地方向以外はいい空です。
  庄内地方西部の砂丘地域は酒田市・鶴岡市が近い場所ですが、広大な砂防林の松林が広がっており、天体観望には充分な暗さのようです。
  大規模なショッピングセンター・三川ジャスコ前の駐車場はおそらく庄内で最も明るい夜空の場所でしょう。屋上の駐車場でも照明が多く、かなり明るい数値を示しました。この三川ジャスコと隣接する大型専門店が集まったショッピングセンターを含む地域は眺海の森から夜景として見てもひと際明るい一群の地域として見えています。
  酒田市近隣で最も明るかったのはジャスコ酒田南店の駐車場ですが、それでも三川ジャスコと比較すると1〜2等は暗い数値です。
  測定結果はそれぞれの場所で3回あるいはそれ以上の回数測定し平均した値を採用しています。

  広域的な東北地方の夜空の明るさ測定は、まだまだ観測ポイントが少ない状態です。なかなか機会がないのですが、今後の測定ポイントが増えたら図に追加していきます。太平洋岸の岩手県宮古市沼の浜と福島県富岡町は冬季の出張観測にでかける場所です。三陸海岸は入り組んだ地形でもあり、市街地からある程度離れると暗い空になります。東北は山地が多く、雪の無い季節であれば暗い夜空に出会える場所はたくさんあります。(新)仙台市天文台の値は2007年12月15日21時前後、敷地外の東側道路上と西側の空き地で測定しています。市街地の方向に当たる東側の中天では、天頂よりさらに1〜2等明るい結果を得ています。
  測定結果はそれぞれの場所で3回あるいはそれ以上の回数測定し平均した値を採用しています。

眺海の森天体観測館の星空はどうかというと、年月日別の7夜の測定があります。
測定場所 測定夜 SQM値
眺海の森天体観測館東側・星の広場 2006/09/21-22 20.53
2006/09/22-23 21.30
2006/09/24-25 20.63
2006/10/28-29 20.90
2007/04/11-12 20.92
2007/06/10-11 21.08
2007/06/12-13 21.07

1夜のうちで1時間ごとに3回、東天45度、天頂、西天45度の三方向を測定したものが次です。
2007/04/11-12/時刻 東天 天頂 西天
22:30 21.06 21.06 20.65
23:30 21.16 21.16 20.80
24:30 21.32 21.24 20.90
眺海の森天体観測館から見た東方は山が連なっています。西方は庄内平野が一望でき、夜景が広がっています。当然、西天が東天や天頂より明るくなっています。東天と天頂では大きな差はありません。また、夜が深まるにつれ夜空が暗くなっていくこともわかります。

2007年・ペルセウス座流星群の極大夜の測定
測定場所 測定日時 SQM値
眺海の森天体観測館東側・星の広場 2007/08/12 22:55 21.26
2007/08/12 23:15 21.38
2007/08/13 00:14 21.40
2007/08/13 00:52 21.43
この夜は天体観測館の周囲の星の広場にはたくさんの皆さんがマットやシートを敷き、ペルセウス座流星群の観望を行っており、流星が飛ぶたびに歓声が沸きあがっていました。夜半を過ぎ午前2時台に入り、東の地平線の上に黄道光も見られました。


  環境省が発表している光害対策ガイドラインの中で、「自然光(夜天光)と夜空の明るさ(観察の前提条件)」について次のように書いている。
−−「夜空の明るさ」の増大が起こる以前に、夜空は、ある程度の明るさ(輝度)を自然に有している。これは、「夜天光」と呼ばれ、(発生源が地上に近いものから)「大気光」、「黄道光」及び「星野光」の3種が主な光源である。この3種は、時間的にも、また地平高度によっても変化する。
(a)「大気光」:
  地上の上層大気の分子や原子が太陽からの放射、とくに波長の短い紫外線などに刺激されて発する光。
  発光領域が、厚みを持ち、大気層に沿って広く分布するため、地平近くを観察する程明るさが増すが、天頂から半径30度以内では、殆ど差は見られない。
  天頂方向での一平方秒角当たりの光度は、23.4等級(自然光全体の17%)
(b)「黄道光」:
  太陽系の中を運動する固体微粒子が太陽光を散乱した光。
  天頂方向での一平方秒角当たりの光度は、22.5等級(自然光全体の42%)(ただし、黄道以外の影響は少ない)
(c)「星野光」:
  恒星や星雲の光の集積である光。
  天頂方向での一平方秒角当たりの光度は、22.5等級(自然光全体の41%)(ただし、天の川付近では、より大きな値の分布がある)
−−これらのことから、黄道から離れた最も暗い夜空の明るさは、「大気光」と「星野光」の合計として、一平方秒角当たりの光度は、22.1等級に相当すると考えられている。

<参考>
  一平方秒角当たりの夜空の明るさとは、1平方秒角の中の光度の総和であり、星の明るさは元来点光源の光度である。従って、星の明るさとその背景の夜空の明るさとが表現される等級上等しい場合であっても、1平方秒角が規定する面積を持つ背景の中で、点光源である星の光は判別できることになる。


全国星空継続観察のリバーサルフイルムから測定する方法と、SQMのようにセンサーから電気的に読み取りデジタル表示させる方法では測定方法が違うので、絶対値に多少の差があると思われます。フイルムではプランドやロットでも差があるし、現像でも差が出ます。SQMの場合は出荷時にキャリブレーション調整しているようですが、個体差がないとはいえない。私の方はより良い天体観察の場所を探したり、その時その時の星空の様子を確認するために、時には近隣の地域の夜空の明るさの検証にSQMを活用しています。さらにデータがたまりましたらこのページに追加報告できればと思っています。                 =酒田市 眺海の森天体観測館/鈴木徳実=

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眺海の森天体観測館 コスモス童夢
Chokainomori Astronomical Observatory
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