<子どもの虐待>概説

子どもの虐待に関する概説

「親と子の心の対話」 〜親と子のこころの対話研究会〜 より


親と子のこころの対話研究会について

福岡県久留米市で開かれている研究会です。
以下の記述は、同研究会が発行された冊子、「親と子のこころの対話」から抜粋引用いたしました。


  

 1)簡単な歴史:

 1874年、メアリー・エレン事件。(アメリカのニューヨークにて)
 親からみはなされて殴られてばかりで飢え死にしそうになっていた・この少女(メアリーエレン)の可わいそうな姿をみてニューヨークの市民は同情した。
 当時は、子供の人権は無視されることが多く、虐待されたり放棄されてしまった児童を保護する法律はなかった。
 しかし、犬・猫・馬・牛などの動物を保護してくれる動物虐待防止協会は活動していた。ニューヨークの市民たちは、この動物虐待防止協会に、この子供にも少なくとも動物と同じ様な保護が受けられることができるように訴えた。
 この悲惨な事件が原動力となって、児童虐待の防止や子どもたちの保護のための団体が作られていった。1875年に、ニューヨーク市に、児童虐待防止協会が世界で始めて創設された。


  

 2)臨床医学的にみた児童虐待に関する問題点は・・・

 1955年にウーリーが、レントゲン所見の結果から子供たちの外傷や事故の多くは、養育者から故意に児童に加えられてできたものであるということを一般の人達に報告し衝撃を与えた。
 1960年にケンプ(小児科医師)は、子供たちのケガの内容が、単なる子供自身による偶然の事故によるケガではないことに気付き検察官にうったえた。
 1961年にアメリカの小児科学会で児童虐待に関するシンポジウムを開催した。
 そして、1962年に被虐待児症候群(Battered Child Syndrome:叩打された児童)という医学用語が名付けられた。内容は、虐待行為の結果として、死亡または永久的な障害をのこす。〔骨折・頭の出血(硬膜下出 血)・軟部組織の腫脹・皮膚の打撲・精神運動発達障害・栄養不良・突然死など]。養育者が話す事故の内容と子供の外傷とが一致しなくて矛盾している。


  

 3)アメリカで多くの調査や研究が行われ・・・

 1972年報告、年間においての児童虐待例数は、

   @身体的虐待:2万5千例
   A養育の拒否・放棄:10万例
   B性的虐待:5万−7万5千例

 1974年報告(児童虐待防止法が発令)
 年間に約100万例の虐待疑いの通報・そのうち60万例が本当の児童虐待であった。イギリスや西欧諸国においても例外でないと言われていた。つまり児童虐待への関心度が増すと同じ様に児童虐待報告例も増加。


  

 4)児童虐待の定義(我が国で主に使用されている):

 @身体的虐待:
 養育者から子供たちに身体的暴行が加えられた結果、子供たちに身体的損傷が生じた状態。
 虐待の行為が非偶発的である(単なる事故ではない)。
 反復し、継続的。
 通常の家庭の躾(シツケ)・体罰が程度を超えている。

 A養育の拒否・放棄(ネグレクト):
 養育の無知(養育者に養育の知識・能力がない)。
 養育者による、子供の健康と発育、発達に必要な保護・最低限の衣食住の世話・情緒的な医療的なケアの不足または欠落したために、子供たちに栄養不良や、(体重増加不良、低身長)、発達障害(運動・精神・情緒)などの症状が生じてきてしまう。

 B性的虐待:
 養育者によって子供たちが性的暴行やイタズラを受けたもの。

 C心理的虐待:
 養育者により極端な心理的外傷を受け、子供たちに不安、おびえ、うつ状態、凍りつくような無感動や無反応、攻撃性や習慣異常など日常生活に支障をきたす精神症状が生じた状態。


  

 5)大阪府児童虐待調査研究会(昭和63年度)報告:

 児童虐待事例:403例・・・乳幼児の低年齢層に高率であった。

 (児童虐待の種類は)

   @身体的虐待:228例(57%)
   A養育の拒否・放棄(ネグレクト):147例(36%)
   B性的虐待:28例(7%)

 (調査対象機関別では)

 @児童相談所:162例(40%)
 年齢層は小学生以上の場合が多い(乳幼児例は少ない)・・身体的虐待例もあるが重篤な身体的症状があるものは少なく、行動や情緒の問題面をもったものが多かった。
 また性的虐待例は、ほとんど児童相談所報告であった。

 A保健所:102例(25%)
 乳幼児の年齢層の割合が85%、身体的虐待例も多いが・・養育の拒否・放棄(ネグレクト)の場合が多かった。

 B医療機関:93例(23%)
 乳幼児(0〜2歳まで)の場合がほとんどで、重篤な症状を呈する身体的虐待が多かった。

 C家庭児童相談室:46例(12%)
 幼児から小学生の年齢層に多く、外傷がある養育の拒否・放棄の場合が多かった。


  

 6)通告の義務:

 児童福祉法 第25条に、要保護児発見者の通告義務が明記されている。
 [保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、このことを児童相談所へ通告しなければならない。]

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