
ディスカッションに参加する中で次に述べる三つのことが心に残った。
一つ目は「パートナーシップ」ということである。子育てやその経過の中で生じる様々な問題に挑む時に、ふた親同士の協力が大切であるということをよく言われる。その通りなのであるが、そのことの実現に男女一組のカップルとしての「パートナーシップ」のあり方が随分大きく関係してくることを感じた。それは年齢に差配されるのでもなければ、二人が常に共にいるか、二人が分業できているか、二人が一致できているか…といっただけのものでもない。子育てにおいては、親として機能することと夫婦として機能することとは、相補的に絡まり合いながら機能するようであり、どうも簡単には分離できない関係にあるようだ。現代においては、ともすれば親としての部分か、さもなければ夫婦(男女)の部分のいずれか一方のみが偏ってクローズアップされすぎているきらいはないだろうか。両方の機能が共に見えるトータルな形での「パートナーシップ」ということの振り返りがもっとなされていいように思う。
二つ目は「親になる」ということである。産む性と産まない性の違いによって、親になることへの成熟のスピードに差が生じることもある。しかし、離婚や再婚がそれほど希なことではなくなった現代において、義理の関係を含む親子関係・家族関係が生じることも多く、その中で「親になる」ということは大変なことなのだろう。…
三つ目は、今という時代は、親が子どものことからデリケートな心理的・情緒的影響を受けやすい時代ではないかということについてである。子どもの病気や死などは、いつの時代にも親に強い情緒を生起させるし、子どもの成長ぶりは親に大きな喜びを与える。しかしここで言いたいのはそのような普遍的事態ではなく、もっと卑近で日常的なレベルで、子どもの示す個々のエピソードや子どもをめぐる出来事に対して、その都度容易に揺り動かされやすいのではないかといった感じについてなのである。…
「父親と家族療法 あとがきより」