国による児童相談所改変の方向

国による児童相談所改変(児童福祉法改正)の方向

〜 中央児童福祉審議会基本問題部会報告(中間報告)

を受けての、全国児童福祉主管課長会議の会議録から 〜

柴 田 長 生


このページの読み方

 以下は、私の手元で入手できた児童福祉主管会議の会議録(厚生省作成)から、児童相談所に関連する部分の内容を読み込んで、私なりに再構成したメモです。使用した用語は出来るだけオリジナルの報告に書かれていたものに忠実に再構成したつもりです。
 私のホームページでは、以下の内容に関する、私なりの現場的批判・現場からの意見も掲載しています。各項目にある☆☆☆をクリックすると、その内容に関連する私の意見と連動するようになっています。

*   *   *

平成8年12月16日 午後2時〜午後5時
 出席者:厚生省児童家庭局 管理職
     都道府県市・指定都市・中核市の児童福祉主管課長等

大泉厚生省児童家庭局企画課長らの説明から

この主管課長会議の会議録(抄)が厚生省のホームページに掲載されている(詳しくない)

児童福祉法改定の背景    ☆☆☆
 1 少子化・核家族化の進行、共働き家庭の増大
 2 児童家庭を巡る環境の変化(虐待・不登校等の問題が社会問題に…)
 3 晩婚化の進行=少子化の進行(合計特殊出生率 1.43)
  1+2+3=21世紀中に人口が半減する → 国の施策 エンゼルプラン
                             緊急保育対策等5か年事業
                             児福審基本問題部会

基本問題部会中間報告の骨子(=児童福祉法改正のガイドライン)  ☆☆☆
    基本命題:少子社会の子育て環境づくりを目指した制度の再構築
 1 保育対策:措置方式(行政処分)の廃止→保育所を自主選択する方式、均一の保育料方式
 2 要保護児童対策:後述
 3 母子家庭対策:母子家庭の自立支援、児童扶養手当制度の見直し

児童福祉法改定までの道程     ☆☆☆
 0 業界団体(日本保育協会・私立保育園連盟・全国養護施設協議会…)は、概ね了解済み
 1 平成9年1月から3月:中央児童福祉審議会に法案要綱を諮問し、答申を得る
 2 社会保障制度審議会に諮り、平成9年通常国会に上程(非予算関連法案)
 3 非予算関連で、平成10年4月実施
 4 基準の見直し:平成10年実施に向けて、中央児福審で検討

少子化社会にふさわしい児童自立支援システムについて    ☆☆☆
 児童をめぐる現状:児童の最善の利益/少子化がもたらす児童の成長への影響/家庭や地域の子育て機能の低下/問題の多様化・複雑化
 支援の基本理念:児童の自立支援=「子どもを自立させて立派な社会人にする」こと(併せての家庭支援)

支援に当たっての方法

1 施設の在り方について     ☆☆☆
 施設機能と入所児童の間の<そご>(施設と子どもたちのニーズの間にミスマッチ)
 施設において:入所児指導/相談/通所/地域での在宅サービス を行う
        cf. 後述の<こども家庭支援センター>の機能を施設が担う
 自立まで一貫した支援:自立するまでのアフターケアを施設が行う
 基準の見直し:設備・構造/職員配置/職員の資格等

 教護院:名称の見直し/公教育の導入/運営形態の弾力化(入所指導だけでなく…、公設・民営、小舎制の在り方…etc.)/対象児童の再検討/専門的機能の強化(cf. 必置義務の廃止、都道府県の共同経営などは消極的意見であった)
 情短施設:対象年齢の検討/<短期>ということの検討
 虚弱児施設:実態にあわせた検討
 養護施設・乳児院:当所あった<合体>議論は今回提案されず。措置換え時にスムーズにいくような検討を。18歳というラインは変えず(自立援助事業・アフターケア事業等は、どこまで弾力化できるかが今後の課題)

2 こども家庭支援センター      ☆☆☆
  児相(175ヶ所)では地域レベルの対応に限界 → 地域住民のための相談機関として、こども家庭支援センターを設置
 ・児相のブランチ的な存在として整備 → 都道府県の委託事業
 ・市町村を巻き込んで、ネットワークを作成
 ・保育所、障害施設以外の施設(1050ヶ所)に<支援センター>を付置
 ・総合的、専門的相談を行う(母子相談(離婚相談)、子ども相談、虐待の24時間相談、一時保護の受託など地域の中の必要なことはここ(センター)で…)
 ・保健・医療、司法、警察、教育、各種の地域資源 … これらと十分な連携をはかる
 ・いろいろなところの、いろいろな相談機関の相談体制 … 支援センターに集約すべき
 ・いろんなスタッフが必要(10年度実施の予算化と一緒に検討したい)。現行の母子相談員、施設での虐待相談はセンターを活用
 ・センターの設置数もまだ検討課題

3 バックアップグループを児相に付ける    ☆☆☆
 ・医師、弁護士、施設関係者等から成る専門家グループ(第三者機関)
 ・措置に関する効率化・透明化を図る、児相の処遇決定の専門性・客観性を確保する、施設の処遇などに意見をいただく、児童の権利擁護を確保する…ため
 ・児相内部に置くか、外部に置くかの議論(内部設置案が有力)
 ・特に、虐待などに児相や<センター>が対応する時の児童の権利擁護のために、<グループ>が機能する

4 児童相談所の活性化     ☆☆☆
 ・こども家庭支援センター、バックアップグループは児相の活性化のためのシステム
 ・この構想は、児相の行政システムの在り方の論議から出てきたこと

5 その他       ☆☆☆
 ・地域での早期発見、早期対応には児童委員を活用
 ・自立援助ホームや養護施設がやっているアフターケアの制度化の検討
 ・里親関連 → もう少し検討が必要
 ・施設入所時の(入所施設選択のための)児童の意見表明に関して

6 児童福祉法の根幹に当たる部分     ☆☆☆
 ・法の適用は18歳まで(現行を変えない)
 ・施設入所:保育所のような措置(行政処分)方式の廃止は、今後の検討
 ・虐待への法的対応:親権問題などの民法に絡むようなものは、法制化がかなり困難

*   *   *

 児童相談所を中心とした領域での、全国児童福祉主管課長会議の会議録の要旨は以上です。児相に勤務する私としてはかなりの異論と危機感を持ちます。これについての意見もアップしています。特に全国の児相職員の方に是非忌憚のない意見を頂きたいと思います(柴田記)。

児童福祉スクエアーのページへ戻る