近畿の児相仲間に請われて、9月の和歌山大会の領域研究会で発題することになった。「危機介入後の心理的ケア」という分科会である。児相は、危機介入をするだけで青息吐息なのに、その後の「心理的ケア」なんてことを意識的に行ったことなどない私が出て行くなど、厚顔無恥もはなはだしい。
しかし、請われると<No>が出せない気質なので、お引き受けした。しかし、何を伝えようか…。迷っているところへ、サマリーを出せという連絡が届いたので、次の原稿を送った。
児童相談所が虐待相談を受けると、子どもの安全を第一に考慮した社会調査が始められる。受理・調査・面接・保護・指導…といった流れは、まさに様々なレベルでの危機介入となる。従来の児相の仕事は<児童保護・ケースワーク>の視点が強く、相談経過の中で心理的ケアを意図的に標榜したような取り組みはほとんどなされなかった。
しかし相談を振り返ると、虐待は長い時間経過の中で培われてきた、まさに<関係性の問題>であり、<感情の問題>であり、<家族システムの問題>であることが見えてくる。最近では、加虐者たちの不安や孤立の問題が目立つ。虐待問題に介入せざるを得ない児相が、その相談経過の中で、単に子どもの安全を確保するだけではなく、当事者たちと可能な限り丁寧に出会い続け、<家族援助の視点>や<子育て支援・健全育成の視点>で相談を継続することで、関係や事象の全体が少しずつ相談者にも了解されてくる。そして相談者に生じた了解が当事者の方に逆に伝わっていった時に、それは相互了解に近づく。そのような相談の流れが、結果的に当事者の心のケアにつながるのではないだろうか。相談が少しでもうまくいくためには、どのような局面で、どのようなシステムに対して、どのような内容か形式を扱うのかについて、相談者の側が敏感でなければならないだろう。今までに出会ったケースをいくつか紹介しながら、上に述べたような観点を振り返りたい。