新聞で、久々に虐待に関することが大きく報道されているのを見ました。毎日新聞の10月25日付朝刊のトップ記事です。子供虐待57人死亡という見出しで、1面トップで報じられていました。そして3ページには全事例が掲載され、<児童虐待取材班>の名前で解説があり、池田由子氏のコメントが掲載されていました。
虐待は防止されなければならないことは当然ですし、児相はそのために全力を出さなければなりません。それは否定すべくもないのですが、最近とみに<虐待>だけをクローズアップさせる風潮にうんざりしてきている感じが私にあります。それは、阪神大震災の時に<こころのケア>ということが金科玉条になった時の感じと似ているのです。
問題の一側面にだけスポットライトを当て、それを特殊化してしまったときに、その問題の本質や全体とのバランス感覚などを損なうことはよくあることです。<児童福祉全般の中の児童虐待>という風にとらえないと、なんだか危うい気がしてきてならないのです。記事の解説は、「児童を虐待の末の死から救うために、怠慢は許されない」という言葉で結ばれています。内容的には正論であるはずなのに、非常に引っかかるのです。マスコミは、児童虐待という御輿に乗って、関係機関の怠慢を上段から裁くような、そんな感じなのです。
私の感覚からすると、児童の権利擁護のための我が国の専門機関の発展に対する社会的支援であってしかりだと考えるのですが、どうも社会が私たちの活動を認知せず、社会正義の立場から糾弾されている感じがしてならないのです。こう感じてしまう感覚の方が鈍いのでしょうか。この業界で働く者としての何ともいえない引っかかりのようなものを感じてしまいました。