児童家庭支援センター

児童福祉法改正をめぐって

児童家庭支援センターの設置に関して

柴 田 長 生


「4 地域の相談支援体制の強化に関する事項(1)
児童家庭支援センターの設置」に関する意見

 全国175ヶ所の児童相談所では各地域の相談対応に十分に対応できず、そのために措置を伴わないような相談などは児童家庭支援センターで一時保護を含んで対応するという<児童家庭支援センターの創設>は、児童相談所として好ましい方向であるとは決して思われない。

 まず第一に、児童相談所は、児童相談所運営指針にあるように、<高い専門性><地域住民浸透性><関連機関・施設との連携>を更に目指すための方策としては、現行体制、つまり児童相談所が『子ども家庭支援』を直接行うべきである。児童相談所が全国に175ヶ所しかないということが問題なのであれば、設置数を多くする等の大改革を行えばよい。

 一方、現実の児童相談所の業務は、措置を伴う対応が主ではなく、地域各機関とのネットワークや関係調整を含む、措置を伴わない継続指導の方が主流である。そしてその際に大きな力になっているのが、児童相談所が有するチーム制、合議制等のシステムである。提案されている児童家庭支援センターでは、上記のような相談システムが確保され難く、しかも十分にケースワークが出来ていないうちに、一時保護等の事実が先行してしまって、そのために本来必要な指導や介入等が出来ないのではないかという危惧を持つ。

 また、併設を予定されている施設そのものが地域内における一機関なのであるから、その施設に併設されるセンターが、同一地域内に存在する関連機関や各家庭に対して、客観的立場で相談や関係調整等を推進することは、必ず無理を生ずるものと思われる。またこのことは、守秘義務の観点からも気がかりである。児童相談所が都道府県の機関であることは、上記の観点から見ても大きな意味がある。身近な機関であるということは、必ずしも大きなメリットにはならない。

 さらに、児童家庭支援センターが児童相談所のブランチではなく、独自の児童福祉施設であるのなら、逆に一時保護を含めて何をやってもよいということになりかねない。そしてその結果、もし措置を取らなければならない時に、措置決定だけを児童相談所が請負い、措置の遂行だけをスムーズにやるために連携するというのであれば、児童相談所は措置や行政処分を行うだけの機関として形がい化するおそれがある。

 今回整備されようとしているセンターが現行の児童相談所にとってかわる機能を保有する機関になれるとはとうてい思えないし(不確定要素が多すぎる)、上に述べたように、地域に存在する<施設>に併存するという事自体に根本的な無理がある。センターと児童委員との連携ということも提案されているが、現実の児童委員や主任児童委員の活動は、制度として存在するにも拘わらず、実はほとんど機能できていないという現状を考えてみてもますます難しい。

 そして、あえて言うなら、現存する児童相談所から遠い地域はセンターが対応し、児童相談所に近い地域は児童相談所が対応する…といった相談業務の区分構想は、児童相談の体制や児童に対応する現場をますます混乱させることになると言わざるを得ない。

付  記

 3月17日、厚生省で行われた全国児童福祉主管課長会議の説明資料には、もっと単純化された解説がある。要旨は次のようであった。

 例:虐待に関する相談があった時、従来の相談窓口は児相だが、これからの窓口は児童家庭支援センター…。

 インテークということの重要さ、インテークから一貫して相談を開始しないと、よい相談など出来ないこと、インテークから職員体制や処遇体制のしっかりしたところで受けないとよい処遇など出来ないこと…などについて、法案改正を司る方々はご承知か!!
 窓口の便利さ云々の問題ではないはずだ。
 直接相談を受けない様な相談機関は、その生命を持たない…。

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