A あいさつ等を含む社交的段階
B 主訴を中心にやりとりが行われる問題確認段階
C 家族員がお互いに話すように要求される相互交渉段階
D 治療の結果何が変わるのかを細かく話す目標設定段階
E (次回面接のアポイントメント)
クライエントの持ち込む問題を解決することが心理療法における成功であるなら、そのためにセラピストはまず問題の設定の仕方をはっきり知らなければならない。
・(治療に協力してもらうために)、家族の気分に敏感であること
・家族の気分を察したら、ともかく自分もそのムードにあわせる
・家族が部屋に入ろうとしている時に、その様子で親子関係がわかる
・両親の間、あるいは別の大人(母と祖母)の間の関係も、心に止める
・家族がセラピストのどんな態度をとるか
・どの席に座るかという席順も、多くの診断的情報を提供する
・セラピストは集めた情報について、結論を絶対化しない
・観察した事項を家族に公表しない
・セラピストの発言は、家族の教育的水準に見合った言葉使いでなされなければならない
◇ミニューチンにおける Joining(ジョイニング−参加すること)の目的
参加は、セラピストが家族員か家族システムと直接に関係を持とうとする行為を強調する場合に用いられる。…ある家族システムに参加するために、セラピストは家族組織とスタイルを受け入れ、それらに溶け込まなければならない。
セラピストは、家族の相互交流のパターンと、そうしたパターンの強さを体験しなければならない。…まずセラピストはホスト役になり、家族のメンバーと近づくことが必要である。そして、その中で家族についての情報を集めていく。
(ミニューチン:「家族と家族療法」より)
◇京都府児相での、ほぼスタンダードな実施法
1 事前ミーティング
家族についての限られた情報の中から仮説をたて、あるいは面接の進め方についてのプランを作る。面接は、たてた仮説に対する柔軟な検証であるといってもよい。仮説をたてるときには、できるだけ多くの仮説を持つ。初回面接では、とりわけ家族のことについてはほとんど分からないことが多い。そこで仮説を持ちながら、それを確かめていくプロセス(面接)が、治療的働きかけや介入にもつながっていく。
2 治療の構成の紹介と説明をする
VTRでの記録と、マジックミラーの裏の治療スタッフの存在
3 家族とのJoining
面接者の自己紹介
家族の紹介の依頼
この時に大切なことは、例えば「お父さんからお願いします」といったように、誰かを特定して進めるのではなくて、「どなたからでも結構ですから…」というように、できるだけオープンな状況を設定することにより、家族の中にどのような動きが始まるのかを観察するようにする。
具体的には、「誰からはじまるのか?」とか、始まるまでに家族の中でどのような言語的・非言語的やりとりが起こるかといったようなことである。家族の各々がお互いのことをどのように知っているかどうかを確かめるために、誰かのことを他のメンバーに質問をすることがある。
例えば、「お父さんの仕事は…」といったことを子どもに尋ねたり、「子どもに対して、どのようにお母さんは接しておられますか?」とか、「お母さんのことを息子さんはどのように思っておられますか?」ということを、母や息子にではなく父親に尋ねたりする。
ミニューチンの記述から…(「家族と家族療法」から)
セラピストは、家族員たちの気持ちがおさまったとみるやいなや、その家族が
どんな問題でこのセッションを行うことになったのかについて尋ねる
・セラピストと家族は、まず状況を規定するところから仕事を始める
最初のQの出し方はケースバイケース
「どんなことでここへお見えになりましたか」
「皆さんに来ていただいたのは、今おこっていることについてそれぞれのご意見が聞きたかったからです」
「どんな問題をお持ちですか」
「私に何ができるでしょうか」 … etc.
・家族の誰に聞くべきか
気を配らなければならない3つの点
1 問題家族には問題をめぐって葛藤が生じている(熱心に来る人、嫌々来る人…)
2 家族内の力関係
3 家族の中には、実質的に影響力のある人が必ず一人いるので、その人には特に気をつかう(面接継続のために)
→ セラピストはこの家族の力関係と真正面から取り組まなければならない。
問題にあまり関わっていないように見える成人に最初に話しかけることを薦める。
子ども(IP)が一緒に来た場合、話しかけるのは後回しにしたい。
大人だけがしゃべるのではない。小さい子どもは逆に鋭い発言をすることが多い。子どもに聞くと家族の中の意外な側面(eg 家族の秘密)がわかることがある
・特定の人を名指さない方法として…
セラピストは床か天井をみつめて、「どんな問題でいらしたのか誰か話してくれませんか」と尋ねる。
…すると決まって家族の代表者が口を開くものだ。
・問題を傾聴する
解釈やコメントをつけ加えない/助言を与えない/どう感じるかと感情のレベルに話を移さない/全体として興味と配慮を示す態度をくずさないこと
誰かが中途で遮ったら、…ちょっとの間そのままにして何が起こるかを見る。それから最初の発言者に話を戻す。
全員に話す順番の回ってくることが大切。
家族の動きがゆっくりならばセラピストもゆっくり、家族の動きが早ければセラピストも早く進む。
親が割って入ってばかりの時は、セラピストは制止する(コントロール)
・セラピストの観察法
家族の発言時、その内容と同時にその人がどんな動作をしているかを注意深く見る。
家族の誰かが話している時の他の人の反応に注目する。同意しているのか、うんざりしているか、子どもが責められるのを見て内心喜んでいるのか…
間接メッセージ、ダブルメッセージ。
子どものことを嘆いている発言は、実は夫のことを嘆いている
子どもをプラス評価する様な発言でもって実は子どもを攻撃している
・問題の尋ね方の三つのやり方
1 初回面接の始めの段階では…比喩的な表現を許すような、一般的な聞き方が望ましい
2 問題をめぐって話し合っている段階では…より明確に尋ねる
eg. 「一日何回ぐらい?」「どのくらいにわたって」…
3 家族に変化の方向を尋ねる段階では…何について、どう変化させたいのかを明確に尋ねる
・主訴の内容
始めは個人にまつわる問題であると出される。
↓
面接によって、家族の中のことの一断面だと仮説されるが、家族へ解釈はしない。
ミニューチンにおける観察基準(構造的準拠枠)
*「境界線」(Boundaly) がどのようになっているか?
*「提携」 (Alignment)は?:連合と同盟
*「権力」 (Power) は?
Bで出てきた問題について、家族同士で話をさせる。セラピストは後ろに引く。
→ 家族のコミュニケーション連鎖、家族内構造を見ていく
家族がセラピストを巻き込みにかかれば、セラピストは後へ引く。
家族内の特定の人の関係だけに膠着しそうなら、セラピストは「他の人がどう思っているのかについても聞きましょう」と介入する。
ミニューチンの場合 〜B、Cの段階において〜
・治療的接触をすること 問題を聞く…概ねヘイリーのBの段階
・家族構造を探求すること → 家族がどのように機能するか
発言する順序/母が交換台を演じるか/誰かが誰かの
発言のじゃまをするか /特定の二者関係が形成されるか、
それがエスカレートするか / …
・焦点を広げること
家族が認識するIPの問題点のみに焦点が絞られることに対する手法
焦点として別の患者を選ぶことができる
別の問題を議論することができる
関連した領域を探求することができる
eg 主訴が子どもの学校での問題なら…
その子が家庭でも問題を持っているのかを聞くことができる
もし両親間に問題があるとすれば…
問題を親子間の問題あるいは子供同士の問題に広げて探求することができる
問題の視点を変えれば(シフトすれば)…
家族に「解決できるだろう」という希望を与える
・治療契約を取り結ぶ
cf. 問題の確認と目標とする変化がはっきりしていない場合は、家族の参加はスムーズには行かない
・設定目標は<解決可能な設定>であること
・問題となっている人と症状に焦点を当てた方が治療は効果的である
・次回の約束と当面の指示(始めの指示は簡潔な方がよい)
cf. 現状維持の指示