初回面接の実際

初回面接の実際

柴 田 長 生


初回面接における実際的な手順

 1 事前ミーティング
 限られた情報からの、家族仮説の検討。その上で、どんな情報については入手してみようとするのかについてのチームとしての初回面接への方針はたてておく。

 2 家族面接室入室まで
 どのような形で家族が来所するのか、時間はどうか、欠席は、トラブルは…など、初回面接への参加の仕方はかなりその家族の本質を物語る。とにかく来たら、そのことだけでも治療の大きな部分はクリアされたことになる。
 担当(福祉司・ケースワーカー)が、始まる前に家族面接に関する簡単なガイダンスをするのがよい。

 3 入室 最初の5分間
 入室の様子、着席の様子、その後の様子など、最初の数分で見える情報が結構大きな意味を持つ。まさに家族のコンテクストを凝縮してみせることが多い。ビデオで何回も見直すこと。

 4 セラピストがはじめにすること
 挨拶。家族そろって来所された事への簡単なねぎらい。ついですぐに家族面接室の構造の説明をする。このときの家族の反応も、3に同じ。

 5 ジョイニング
 ホストとしてのセラピストが、家族にとけ込めるための社交的な段階。通常家族の紹介を求めるところからはじめる。家族のエピソードなんかも聞くと親しめる。

 6 問題の同定
 「ご家族で心配されておられること、相談なさりたいことは何ですか?」ときく。
 誰からでも良い。できたらみんなに聞きたい。どんな順番に言い出すかは観察項目。IPにいきなり話すように強要させられるなどがあるときは、配慮を要するとき。
 「そのほかに心配なことをもう一つだけ言って下さいませんか」ときくと、その方が家族にとって本質的なことを聞く場合がある。
 解決したい問題が不明確で分からない家族や、あまりに漠然としたことしか言わない家族もいるが、そんな時には具体的に聞いていくこと。

 7 問題をめぐっての円環的な質問の展開
(6の後か、7を少し進めたところで中間ミーティングを取るのが望ましい)
 中間ミーティングについては、「ここで10分ほど休憩しますので、どうぞご自由にして下さい」という。
 ミーティング時に見せる家族の様子は、結構重要な場合が多いのでビデオは回しっぱなしにし、できればその時の家族の様子を観察しながらミーティングを持つのが望ましい。
 家族には、「後ろで見ててくれる**先生の意見・感想を聞いてくるから」と告げて退出しても良い。
 ミーティングでは、前半に見えた家族の特徴を、事前ミーティングで話し合ったことと重ね合わせながら振り返り、後半尋ねていきたい情報の内容や、尋ねていく際の方向等を打ち合わせておく(誰に何を聞くかとか)。

 8 問題をめぐっての円環的な質問の展開
 ミーティングでの確認項目に従って…
 ヘイリーらの言う「問題をめぐっての家族の話し合い」というのは、やれればいいのだが、日本の家族一般としてここの段階で家族で話し合って… というのはなかなかできにくい家族が一般的に多いので、問題をめぐって深めていく、具体化していく作業だけで終わることも多い。

 9 治療契約
 家族が出した問題の了解。
 その問題の解決について、家族でどれくらいの間隔で、どれくらいの頻度通ってもらうかについて、契約をする。
 「解決に向けては、是非ともご家族の力が必要なので…」ということも申し添えておいた方がよい。
 できれば、次回についてのアポイントをここでしておいた方がよい。

 10 さし当たりの指示
 これはケースによって様々である。
 症状に対して不安が強い家族であれば、「さしあたり現状維持」の処方でよい。
 家族の様子、治療への協力をはかるために簡単な課題を出す場合もある。
   eg 家族で係わることが少なくなった。そのことを子ども達が求めているように思う。
     といったことが面接で出されたのなら、次回までに家族全部で一度何か遊んできて
     下さい(遊びの内容は家族で相談させて決めるが)。その報告は誰がする。といっ
     たことを決めても良い。
 あるいは、課題はなしということになってもよい。
 症状の観察、ということが課題になっても良い(いつ、どこで、どれぐらいということを見てきて下さい)。
 9、10については、治療者のイニシアティーブの問題と関係がある。

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