香港の街角あれこれ

香港の街角あれこれ


小銭を操れると街に出られる

香港は、繁華街の面積はそれほど広くないので、地下鉄の乗り方さえ覚えれば結構すばやく移動が出来る。しかし切符の自動販売機に最初は戸惑った。まず釣り銭がでない。買う時には金額を先に押してから小銭を入れる。所変われば品も変わるのである。小銭がない時はどうするか。$2コインを$0.5コイン4枚に両替する機械や、各駅に有人の切符売り場があってそこで小銭に換えてくれることを少しずつ体験的に学んでいった。
旺角(モンコク)から九龍半島の先端の尖沙咀(ツィムシャツィ)までは地下鉄で$5。その後海底トンネルを越えて香港島の最初の駅の金鐘(アドミラリティー)にいくと一挙に$10.5になるのもおもしろい。地下鉄を乗りこなせたら結構どこへでも行ける 。本数が多くてクーラーもよくきいていて、車内は結構清潔だ。
小銭とチップの感じがつかめたら、的士(タクシー)にも乗れる。的士は、たった一度だけ利用した。

行き当たりばったりの街歩き

これといった目的もなく、いろんな乗り物に乗りながら街をぶらつくのも悪くない。まったくのフリータイムの3日目がそうだった。最初の行き先だけを決めて街に出た。行き先は「黄大仙廟」、道教の寺院である。かつて台湾へ行った時に「龍山寺」という寺院へ行ったが、その時には随分エキゾチックな感じがしたし、異文化に触れたという印象が強かった。「黄大仙」では確かに鶏の丸焼きを捧げて願掛けしている人にも出会ったが、どことなく都会的で「龍山寺」の時の印象とは異なった。
この寺の横には占い屋横町がある。歩いてみて、トイレを拝借して、それで立ち去ったが、あまりはやってはいない様子であった。香港では今「風水」がかなり流行っているようである。ある占い屋に「私は今旅行に出ていますのでしばらくお休みします」といった内容の張り紙が漢字で書いて貼ってあるのが滑稽だった。
黄大仙からさてどこへ行くか。とにかく巴士(バス)に乗ってみようということになったが、乗り方も、運賃も、行き先も分からない。メンバーには無責任な奴もいるもので、とにかくクーラー付きのバスが来たからそれに乗ろう、というのである。分からないまま乗ったら乗車口で前払い。$4.9と書いてあったから、$6入れたら「OK」と運転手が言った。無論おつりなど出ない。
ダブルデッカーバス(二階建バス)、しかも冷房付きの二階の最前列に座ってしまうと、不思議と気が大きくなった。釣り銭で損をしたという気持ちより、街を走ってくれる見晴らしのよい涼しいバスに、ツーリスト気分が拡がってくる。香港へ来たらこのバスには絶対に一度は乗るべきである。行き先だけは見ていた。「九龍城碼頭」(Kowloon City のフェリー乗り場)と書かれていた。だったら、終点まで乗って、次はフェリーに乗る。そう心に決めるだけで、なんだか爽快ではないか。ところでこのバスに乗ろうと言った奴は、この先どこへ着くのか、どうなるのかなど全く考えていなかった。バスに乗ってから、「これから、どうなるのだ?」と尋ねてくる始末であった。

フェリーボート、市内電車 〜車窓から香港は拡がる〜

九龍城碼頭は啓徳空港のすぐ裏側のフェリー乗り場で、ここからビクトリア湾を渡って北角(ノースポイント)へ渡るフェリーが出ている($4.4)。海風に吹かれながら、海上から眺める香港が、やはり定番のビューポイントなのだろう。レストランで食べた夜景のお陰で、地理感覚や景色の様子がよく分かり出している。見る景色がなじみの風景になってきた。振り返ってみると啓徳空港が間近に見える。本当にビルすれすれで飛行機が頻繁に着陸してくる。
北角に着くと、しばらく歩いて、今度はためらいもなく市電に乗ろうということになった。中環(セントラル)まで40〜50分。とにかくのろい。しかしとにかく安い($1.2、これは後払い)。巴士にもフェリーにも乗ったから、「最早無敵」の気分である。これも二階の最前列、恥も外聞もない。北角→銅鑼湾→湾仔→中環。香港島の目抜き通りをゆっくり走る市電にも絶対乗ってみるべきだ。行き交う車や人の多さ、様々な店の看板や街並み…。「香港!!」という感じがひしひしすること請け合いである。この市電はかなり混みあっていた。

  この日だけでなく、中環−尖沙咀間の「天星碼頭」(スターフェリー、
  $2)には何度か乗った。フェリー体験が最初ではないので新鮮味は薄ら
  いだが、海上はもはやすっかり見慣れた香港風景である。
  最終日にはピークトラムにも乗った。このケーブルカーはスイス製らし
  い。確かにこのトラムの風景はヨーロッパ的で、香港の感じがしな
  い。

  乗客に意外と日本人が少ない(往復$21)。途中駅も、「ケネディー・ロ
  ード」「マクドナール・ロード」なんて名前で、雰囲気が違う。尖沙咀
  (ツィムシャツィ)といった音の響きとはまるで違う。シャトルバスは、
  オープントップバスだった。

女人街、ぶらり歩き

ここは確かに香港らしい街区なのだろう。旺角のホテルのすぐそばだ。ガイドブックではいかがわしい女性用の下着を売っている街のような印象があったが、決してそれだけの街ではない。雑貨の縁日のかたまりとでも言えばいいのだろうか。要するになんでもある。オヤジ4人が歩いていても決して場違いでないところが、そこからして怪しげである。
店屋の商品がまた怪しげである。99.99ゴールドの純金製品の店。そんなのがあるのだ。ルイ・ヴィトンもあった。どうみても「類似・ヴィトンだ」と誰かが言った。日本語を話す売り子が言う言葉は、決まって「*個千円」だ。「*個千円」ということで言えば、前日の市内観光の時、ビクトリアピークへ向かう道の途中の駐車場でビーズで作った印鑑入れを「三個千円」で売っていた。ふっかけることが出来る客と見れば、さらに値段を操作していた輩である。その印鑑入れが、女人街では1個$12(180円)だった。値切れば更に安くなるのだろう。その印鑑入れを見つけたときには思わず笑ってしまった。そして、思わず昼はビクトリアピークで、夜は女人街で同一人物が商売しているのではないかという妄想が起こってきた。ビクトリアピークで高い買い物をさせられた人には気の毒だが、そう考えると実に愉快である。香港人はどこまでもたくましいのだろう。
スーツケースを持参しなかったのに、誰よりも土産を多く買ってしまったHが、ここで携帯用スーツケースを買った。女人街プライスで$299。少し値切った。ホテルに帰って商品を見ると、ネームタックがついていて、それに「世界のブラント」と書いてあった。「ブランド」ではなく「ブラント」であるところがいかがわしくも滑稽だ。この街は、「ブラント商品」の山なのである。
女人街からの帰り道で、もう一つ怪しげなものを見つけた。看板である。そこには日本語で「おムでくださいまして、ありがとら」と書かれている。なんのこっちゃ!?恐らくある日本人がある時、平仮名のくずし文字でそう書いたのを、香港人がコピーして街の看板にしたらこうなったのであろう。何でも取り込み、何でも飲み込み、何でも作り出してしまう香港人のエネルギーには脱帽である。


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