私達は旺角(モンコク)にあるネイザンロードに面するホテルに滞在することになった。旺角はペニンシュラホテルのある尖沙咀(ツィムシャツイ)等とは違って、香港の下町に当たる。ホテルのすぐ裏の通りは、「日式指圧」(これ、何の店でしょう?!)などが点在する怪しげな町並みである。近くには「女人街」や「バードストリート」などもある。有名な「旺角電脳中心」(コンピュータセンター)も、徒歩5分以内の所にある。
午後になると、近くのオフィスビルに勤めているのであろう香港的OL達が次々とたばこを吸いに(仕事をさぼりに?)、ビルの屋上にたむろしに来るのが、ホテルの窓からよく見えた。
到着の翌朝は、ロビーに8時集合。半日市内観光があるという。しかしその半分以上は、いろんな店に連れ回されることになった。宝石店→革製品店→シルク店→漢方薬店→(飲茶昼食)→免税店→免税店。ここでやっと無罪放免となったが、そんな目に遭うことは知っていたとは言え、いささか閉口した。市中引き回しである。例えば最初の宝石店では、「うちの店は製造直販の信頼できる店である」といった説明を聞いた後に店内に案内されるが、店員がマンツーマンについて離れない。少しでも関心を持つと、商品に触らされて、その後がしつこい。どの店でも、「NO」と言うと、必ず「値段の問題か?」と迫られるのがワンパターンであった。その間、ガイドと店員の合意でOKが出るまでは、店の出口に鍵が掛けられる始末である。いわば一時的に軟禁状態にされるのである。対応法は、完全無関心でいる以外にはない。
海外旅行に行く時に、誰もがガイドブックの1冊位は持っていく。私も「地球の歩き方」という本を持参したが、ガイドブックは帰国してから読んだ方がずっとよく分かる。事前に読んではいても、さてその時には書かれた内容が一向に頭の中にはインプットされてはいない。ガイドブックを後で読むと、私達が体験したのとそっくりの話があちこちに載っていた。「地球の歩き方」で言えば、「**シルク店で強引販売」(p405)、「閉じこめられた漢方薬店の話」(p408)…。ガイドブックでは「Help me! トラブルはこうして回避する」というタイトルの囲い記事である。すると、私達は、回避しなければならないトラブル寸前にいたという事か?!こんな事も後で読むと実に良く分かったのであった。
善良なHオヤジなどは、漢方薬屋で1本2万円の薬を買わされる寸前であった。