その後のH氏


  1998.4.16. up.

 香港へ行ったOYAJIたちのパソコンは、いったいいかなる顛末をたどったのか。きっと哀れな末路やと思いきや、そのいずれもが結構いい線いっている(Dr.Kだけが永遠の自己循環となっているが…)。 中でも、最悪の予後を思わせたH氏が一番出世なのだから、世の中はわからない。もっとも、そのまた先が保証の限りではないのだから、「今のところ…」と言っておきましょうか。


高性能マシーンを手にいれた!! 〜H氏の場合〜

 ある日の昼休みのこと、香港旅行を企てたコーヒーショップで、D氏・H氏とコーヒーを飲んでいた時、H氏が急に「パソコン通信を始めたい」と言い出した。ほかの二人は、すでにインターネットへの接続を完了している。「いったい何がしたいの?」と問うが、返ってくる返事はよく分からないものだった。
 最新の機種がどうだの、NIFTYがどうだの、ISDNがどうだの、といろいろ言うが、つまり何のことか分からない。よくよく聞くと、メールのやりとりをしたいということが分かった。「それならインターネットに限る」とD氏ともども勧めるが、そもそもインターネットが何なのかも、H氏のイメージできる世界の外であったらしい。その時は、「あんなん、あかんわ」と思った。

 それでもH氏の夢と希望が膨らんでいく。仕方がないから、D氏のパソコンで、インターネットにつないで見せて、H氏にネットサーフィンの体験をしていただくことになった。「これをクリックしたら、なぜこうなるのか、僕にはまったくわからん…」と言いながら、訳の分からぬ操作をするH氏。先が思いやられるが、夢追い人のH氏は、この時すでに、pentium U (233MHz)という最新鋭機種のパソコンを発注していた。
 「マシーンが家にきた」という報告を受けてから、「動かしてみたか…」と毎日尋ねてみるが、返ってくる返事は「まだちょっと…」という日が続いた。しばらくして、「いろいろと線をつないでみたが、キーボードの線が、ぐらぐらで…」などという返事の時もあった。

 しばらくすると、最悪のことが起こった。動かしたら、あるところまで動いたが、そこで止まったままになった(なぜそうなったのかは、H氏が現状を精密に報告できないので、未だにわからないままである)。そこで彼はどうしていいのか分からないので、結局電源をブチッと切ってしまう。
 再度動かすと、スキャンディスクが立ち上がり、「異常がありましたが、ファイルを修復しますか」というメッセージが出たという。そしてよく分からないから、とにかく「YES」を選択したら、何かが起こって、そして直ったというのだ。キーボード入力によるリセットの方法だけを教えたのだが、先が思いやられる。その後も何度か<フリーズ>してしまう体験をするのである。


な、な、なんと、H氏が自力でインターネットにアクセス!!!

 H氏の電子メールを送りたいという夢は、その後も失せることがなかった。インターネットに接続して、Eメールでやりとりすることはどうやら分かったらしい。難物の<フリーズ病>も、その後は何とかおさまっている。

 しばらくすると、彼はパソコンにプレインストールされていたらしい、<5時間無料接続>なるものに自力でアクセスしてしまった。とにかくモデムは動いているし、ブラウザは自分で立ち上がるし、何とかウェブ画面も見れた。しかし、ここでまたまた問題が起こったのだという。いくつかのページを回っているうちに、画面に突然<不正な処理をしましたので強制終了します>というメッセージが、「ジャン!!」という不躾な音とともに出て、画面がブチッと切れるらしい。これが何度も起こるらしい。原因は不明だが、高性能機種はどうも四角四面なのだろう。その前にH氏が、「これで師匠よりもずっとよいマシーンになって申し訳ない。わっはっは…」と一人上機嫌だったから、「それは困ったね」と口では言いつつも、内心「ざまーみろ」と思った。

 やはり真正なるプロバイダーに契約するしかない。自分の地域のプロバイダーを調べろと言う。仕方がないから、雑誌で調べてくると、そこに書かれていることについてあれこれ言っていた。揚げ句の果てに、ここはだめだの、接続速度が問題だの、知名度がないだの、やっぱりISDNにしようかなどなど、性懲りがない。面倒だから、彼が持ってきた電気屋でもらったチラシのプロバイダーが「よいところだ!!」なんて答えたりした。彼もその気になっていた。自宅に帰り、申し訳ないからそこのホームページにつないで調べてみたが、悪いところではなかった。

 早速申し込んだという。郵便で申し込んだという。オンライン・サインアップではなかったから、資料は送ってくるものの、当分彼は無理だと思っていた。「いつか出張して、つないでやるか…」そんな気でいたら、ある日、なんと彼からのメールが届いているではないか!!

 こんばんは、もう夜も遅くなりました。何とか自分で設定を終え、インターネットに参加しました。初めてのEメールです。無事に届いたら知らせてください。

 これが彼の記念すべきEメールの第一号である。おそらくプロバイダーの解説書が完璧であったのだろう。しかし、自力の接続である。これには脱帽!! そして拍手喝采であった!!


そして、夢はとどまるところを知らず…

 彼はうれしかったようだ。あちこちにメールを送り出した。転送モードを教えると、簡単に返事がかけるようになった。Eメールでもたもたし、転送モードもまだ分からなかったD氏に対して、H氏は明らかに誇らかだ。

 彼はその後もとどまるところを知らない。次は、カラーできれいにプリントアウトできないと…と、プリンターがご所望だ。エプソンのカラー写真のように出力できる系列機種のことを教えると、B4が出ないとだめだ、といったりする。ほしくなると、すぐに食指を動かすのがH氏である。時間の問題で、最高級機種のバブルジェットプリンターを買うことになった。しかしその後があきれる。こんなメールが届いたのだ。

 …そこで、私は、昨日新しいプリンターの他になんとスキャナーとデジカメまで買ってしまいすでにインストールを終えてしまったのです。かなり大枚をはたいてしまいました。おそらく、師匠をはるかに超える品々で「宝の持ち腐れ」と舌打ちを打つ師匠の顔が浮かんでくるようではあります。鋭意、前進に向け努力する所存ですので今後ともご指導よろしく。

 もうとどまるところを知らない。ご勝手に…。そんな気分もあったが、これだけあったら、接続に一苦労だろうなぁということも頭をかすめた。しかし、彼は結構努力したのだ。プリンターのインストール、OK。デジカメ、OK。プリクラ作成ソフトまで買ってきて、娘にシールを作ったりしている。もっともしばらくすると、カラー調整がうまくいかず、髪の毛が緑に出力されるという。これが本当の、緑の黒髪だ。

 しかし、ここは予想通り、スキャナーは混乱を極めた。シリアル、パラレル、SCSI…。これはさすがにH氏の限界を遙かに超えており、SCSIにせよと命令を出して、必要部品を準備させ、私が出張接続と相成った。彼のパソコンの周囲は、マニュアルとCD−ROMで、ちょっとした山ができるほどになっていた。「やらねばならぬことが山ほどある」 これがこの時のH氏の言葉であった。

 彼に聞くと、究極の目標は、きれいな画像が入ったメールの送付である。彼との間で、実験送付の開始。ファイル添付、声の出るメール、画像を張り付けたメール…。ついにHTML形式のメールへとたどり着く。ここまでくるとなんだか長足の進歩のように思われてくる。

 そして、ついに、H氏から絵入りのメールが届いた…!!

とにかく、よくやったね。そして、よかったね!!

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