珍しいCDの話

フルトヴェングラーの珍しいCDのお話


 私は、珍しいCDを1組持っている。あいも変わらずベートーベンなのだが、第2番を除く交響曲8曲、コリオラン序曲、エグモント序曲、レオノーレ序曲3番、それにレオノーレ序曲3番の練習風景(ストックホルムPO)とベートーベンの交響曲に関する講演録音(一部)がついて、なんと3枚のCDに収まっている。
 きっと「なんじゃ、それ…」と思われるだろう。

 このCDは、RODOLPHE PRODUCTION(RPC 32522.24)というもので、LONG PLAYING MONO COMPACT DISC と銘打たれている代物である。発売元はフランスの harmonia mundi である(当然フランス製ということになる)。これで想像がつかれただろうか。フルトヴェングラーのはモノラル録音であるから、それに左右両チャンネルを使う必要がない。つまり、一枚のCDの左右両チャンネルには別々の音楽が入っていて、再生するときには左右どちらかを聞くのである。そうすれば1枚で2枚分聴けるというコンセプトなのだそうな。

 通常のCDデッキで再生すると極めて不便なことになるのだが、それはさておき、そうすることで上記の録音は3枚に収まってしまう。もっとも最低なのは、エロイカの4楽章のコーダだけが左チャンネルの最後から右チャンネルの最初に飛んでしまっているという個所もあるのだが…。

 入っている演奏がなかなか良い。解説書にエリザベス夫人の推薦の言葉も印刷されており、「フルトヴェングラーの最良の演奏はコンサートライブのものなのだが、出回っているのは正規のものでなく、粗悪なコピーであったりして…。技術的にもしっかりしたものが出来れば、真のフルトヴェングラーの芸術を伝えることが出来ると渇望していたが、今回のCDがそのようになって喜ばしい…」といった筋のメッセージまでついている。これこそ本物なのだという気にさせられてしまう。

 収録されている演奏は、次の通りである。

 交響曲第1番 … BPO 1954. 9.19. Berlin (生涯最後のコンサート)
 交響曲第3番 … BPO 1950. 6.20. Berlin (私は彼のエロイカの中では、これが一番いいと思っています)
 交響曲第4番 … WPO 1953. 9. 4. Munchen
 交響曲第5番 … BPO 1947. 5.25. Berlin (戦後ベルリン復帰の最初のコンサート)
 交響曲第6番 … BPO 1947. 5.25. Berlin (第5番に同じ)
 交響曲第7番 … BPO 1953. 4.14. Berlin
 交響曲第8番 … BPO 1953. 4.14. Berlin
 交響曲第9番 … PO 1954. 8.22. Lucerne (当時から世評の高かったルツェルンの第9、彼の最後の第9演奏)
 コリオラン  … BPO 1949. 6. 2. Hamburg
 エグモント  … WPO 1953. 9. 4. Munchen
 レオノーレ3番… WPO 1944. 5. 2. Wien

 このようなラインナップである。お買い得感がすごくあった。片チャンネルの音を左右両方からうまく鳴るように工夫して聴くと、なかなかいい音がする。以前チェトラから出たルツェルンの第9のLPを聴いて失望したが、これで聴くと「そんなものではなかったんだ」という感じが十二分にリカバーできた。

 ご参考まで…


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