東京フルトヴェングラーフェスト2001

〜 東京フルトヴェングラー研究会 野口 剛夫さんからのお知らせです 〜


東京フルトヴェングラーフェスト2001

 ☆ フェスト開催の趣旨
 20世紀前半の名指揮者として、いまだに多くの根強い人気を持つヴィルヘルム・フルトヴェングラー。しかし、彼がこの世に残してくれた遺産を、私たちは正しく理解しているのでしょうか。多くのすばらしい演奏の記録によって、私たちはフルトヴェングラーの芸術に魅せられてきました。しかし、「音と言葉」をはじめとする著作や近年再評価が行われている作曲作品などを考え合わせてみれば、彼をたんなる音楽家としてとらえるのは不十分です。フルトヴェングラーは音楽家である以前に、人と人のコミュニケーションの問題に深い関心を持つ哲学者であり、理知に重きをおいた現代文明のあり方に鋭い批判を加える卓越した知識人でもありました。

 東京フルトヴェングラー研究会は1995年の設立以来、フルトヴェングラーの音楽と思想に関心を寄せる皆様に支えられ、彼の作品の演奏や講演会など、様々な活動を行ってまいりました。世紀も新しくなり、彼の没後50年にも近づいている今、思いも新たに皆様と共に、この偉大な人物の人と芸術について考え、語り合う時間を持ちたいと思います。多くの方が参加してくださることを希望します。

2001年1月   東京フルトヴェングラー研究会  代表  野口 剛夫


 ★ 以下の4回の催しにより構成されます。(全日、開場は下記の開演時間の30分前です。)

 第1日:2/15(木)午後7時:室内楽演奏会(江東区ティアラこうとう小ホールにて)

 第2日:2/16(金)午後7時:フルトヴェングラー・ゼミナール(文京区千石の沖ミュージックサロンにて)

 第3日:2/17(土)午後2時:フルトヴェングラー・シンポジウム(文京区千石の沖ミュージックサロンにて)

 第4日:2/18(日)午後2時:記念講演会(文京区千石の沖ミュージックサロンにて)

 参 加 料:各日それぞれ2、000円(賛助会員は1,000円)。当日会場受付にてお支払いください。なお、全日割引料金で入場できるフリーパス券を5,000円(賛助会員3,000円)で発行します(ただし事前に申し込み要)。

 申し込み方法:会場の用意の関係で事前に参加者数を把握する必要があります。参加希望者は、葉書、ファックス、電子メールいずれかの方法で、下記までご氏名、ご住所、電話(ファックス)番号、入場希望の日(あるいはフリーパス希望の有無)をお知らせください。なお、第1日の室内楽演奏会のみの入場を希望する場合は、事前の連絡は不要です。

東京フルトヴェングラー研究会:〒263-0013 千葉市稲毛区千草台2-18-201 
Tel/Fax:043-252-7494 E-mail:otakesan@kt.rim.or.jp
http://www.kt.rim.or.jp/~otakesan/furt.html


フェスト各日の内容

第1日:2/15(木)午後7時:室内楽演奏会

 フルトヴェングラー作曲の歌曲やピアノ曲、ハイネの詩にもとづく合唱曲(日本初演)、フルトヴェングラーと縁りの作曲家で指揮者でもあったプフィッツナーやR.シュトラウスの歌曲などを演奏、音楽家フルトヴェングラーの知られざる世界を浮き彫りにします。

 (演奏曲)フルトヴェングラー/ピアノソナタ・二短調、歌曲:「友よ、君は歌を僕に送る」「想い出」「リート:天使がハープをかき鳴らし」「宝を探す男」「悲しき猟師」「兵士」「かもめが飛んでいる」、合唱曲:2人のソロと女声合唱のための「林の中をさまよった」(日本初演)、プフィッツナー/歌曲:「母なるヴィーナス」、リヒャルト・シュトラウス/歌曲:「万霊節」「セレナーデ」「恋人よさらば」「ばらの冠」「子守歌」

 (出演者)ピアノ:東 由輝子、直江 佳代子、ソプラノ:松本 良江、島 信子、 アルト:清田 真理子、合唱:アム・ブルンネン・コーア、監修・指揮:野口剛夫

 

第2日:2/16(金)午後7時:フルトヴェングラー・ゼミナール

 フルトヴェングラーに関する未刊行の論文や、彼の著作を輪読しながら、この音楽家の思想を共に考えていきます。第1回は評論家ヨアヒム・マッツナー氏の論文「フルトヴェングラーとテンポ」です。これは、1997年の第1回イエナ・フルトヴェングラー学会での発表原稿で、カラヤンとの比較などを通して、フルトヴェングラーの演奏の本質に迫っています。当時流された録音資料も用いつつ、ドイツ語とその訳文によって進めますが、ドイツ語の知識のない方でも参加できます。(コーディネーター:野口剛夫)

 

第3日:2/17(土)午後2時:フルトヴェングラー・シンポジウム

若手の研究家2人による研究発表です。発表の後、懇談会をします。

 (1)「ライブ録音のフルトヴェングラー」(林 伸司)
 発表要旨:戦後ベルリンフィルとの復帰演奏会の47年「運命」、バイロイト復帰公演の51年「合唱」などフルトヴェングラー・ファンならずとも知っている有名な録音は多い。89年以降ロシアからソ連軍が接収したとされるテープが返還され、戦時中の巨匠の演奏がクローズアップされるが、47年運命と対比されるべき45年のヴィーンフィル最後の演奏会についてはいまだに謎が多い。その演奏曲目はブラームスの第2交響曲とフランクの交響曲。ブラームスは比較的音質良好なテープがオーストリア放送協会に存在するが、フランクは52年アメリカで発売されたVox盤以降音質の良いものがなく、このVoxのテープの由来に謎が多い。「完全ディスコグラフィー」を編集されている研究家・清水氏のご協力により、希少盤とされるこのVoxを聴きながら巨匠が帝国を脱出する直前の音楽を語り合いたい。

 林 伸司(はやし しんじ):1960年松山生まれ。フルトヴェングラーとの出会いは、72年友人に聴かせてもらったベートーヴェンの第8交響曲(48年録音)。高校時代ベートーヴェンの第3交響曲(44年録音)を聴き感動。以降ディスコグラフィーに関心を持つ。日大新聞学科卒、法学専攻科中退。在学中は大学管理体制を批判する新聞&自主ゼミサークルに在籍。専攻科在学中に毎日新聞社系情報検索会社に入社、現在に至る。ネット歴は89年PC-VAN加入以来12年。96年フルトヴェングラーのディスクを紹介したshin-pHPを開設。仕事の傍ら個人サイトを運営。月刊アクセス数は約5000。

 (2)「フルトヴェングラーとワーグナー」(吉田 真)
 発表要旨:フルトヴェングラーにとってワーグナーはいうまでもなく重要なレパートリーのひとつだったが、それだけに留まるものではなかった。生涯、作曲の道を捨てることのなかった彼にとって、ワーグナーはベートーヴェンと並ぶ規範であり、また指揮者としても彼はワーグナー流の指揮法を20世紀に継承した代表的存在だった。また、彼の最も主要なワーグナー論である『ワーグナーの場合』では、あえてニーチェの有名な反ワーグナー論と同じ題名をもって、ニーチェ批判を試みてさえいる。しかし、フルトヴェングラーは、けっしていわゆる盲目的な「ワグネリアン」ではなかった。それは、ナチス時代にバイロイト祝祭の音楽監督を務めながらも、戦後はワーグナーを指揮することを控えるようになったという経緯からも伺える。こうして見てくるとワーグナーは、指揮者としてだけでなく全人格としてフルトヴェングラーが生涯に渡って追究したテーマであったと言って過言ではないだろう。

 吉田 真(よしだ まこと):1961年生れ。慶應義塾大学、日本大学芸術学部講師。専攻はドイツ文学、主にワーグナー研究。主要著書:『ドイツ演劇・文学の万華鏡』(同学社)、『スタンダード・オペラ鑑賞ブック ドイツ・オペラ下』、『オペラ・キャラクター解読事典』(以上、音楽之友社)、『200CD ウィーン・フィルの響き』(立風書房)。主要訳書:ゼーボーム『ウィーン・オペラ』(リブロポート)、キューン/クヴァンダー『グスタフ・マーラー』(泰流社)。

 

第4日:2/18(日)午後2時:フェスト記念講演会(講師:仙北谷 晃一)

 本会への登場は3回目、既に恒例となった仙北谷晃一氏による講演です。フルトヴェングラーの手紙やエリーザベト未亡人の回想録の翻訳者としても知られる仙北谷氏による講演は、フルトヴェングラーの芸術と思想が今日持ちうる意味について深く掘り下げられた考察を行うものであり、聴講者からは毎回大変な好評で迎えられています。講演の後、参加者でディスカッションを行い、親睦パーティーも予定されています。

 演題:「フルトヴェングラーの芸術の根底にあるもの〜音楽と静寂そのほか〜」
 講演要旨:音楽を通り一遍のものとしてでなく、全人間的に深く体験するためには、いろいろな条件が必要だが、静寂への感覚もその中に数えられなければなるまい。静寂こそは音楽の母胎であり、両者の関係は闇と光のそれに似ている。更には、これは音楽に限ったことではないが、すべての芸術は人間の営みである以上、単なる能力・技術を超えた人間存在の大きさがその背後になければなるまい。ところが、現代の文明は夜を昼に変え、ますます無意味な音響を産み出して私たちの耳と神経を痛めつけ、静寂への感覚を麻痺させつつある。他方で人間存在はますます矮小化するばかりだ。今二点にだけふれたが、フルトヴェングラーの演奏に耳を澄まし、その書きのこしたものをじっくりと読む時に、私は現在の音楽が置かれたきびしい〜余りにもきびし過ぎる〜状況に思いを致さずにはいられない。そんなことを私自身のことばで自由に語ってみたい。

 仙北谷 晃一(せんぼくや こういち):武蔵大学名誉教授。フルトヴェングラー関係の訳書、エッセイには、『フルトヴェングラーの手紙』(フランク・ティース編、白水社、昭47)、『回想のフルトヴェングラー』(エリーザベト・フルトヴェングラー著、白水社、昭57)、「救済としての芸術〜フルトヴェングラーの芸術理念をめぐって」(『音楽現代』昭和61年3月号)、「フルトヴェングラーの立場」(『民芸の仲間』平成10年1月)、「すべて偉大なものは単純である〜晩年のフルトヴェングラーとベートーヴェン」(『武蔵大学人文学会雑誌』第31巻第1号)


[インフォメーション:賛助会員へのお誘い]

 フルトヴェングラー研究に必要な資金的援助をお願いする一方、本会の催しについて様々な特典を提供させていただくというものです。

東京フルトヴェングラー研究会 賛助会員の条件およびその特典

 会費:一口5千円。毎年4月から1年間有効で自由意志で更新いただくものとします。
 特典:(1)本会主催、またはサポートする演奏会、講演会についてのインフォメーションが優先して行われ、
       無料もしくは割引価格でご招待いたします。
    (2)本会主催の演奏会のCDが特別割引価格で購入できます。
    (3)講演会や、CDを制作しない演奏会については、希望者には講義録やテープなどの手段で内容をお伝えします
       (特に東京から離れたところにお住まいの方には便利です)。
    (4)本会主催の催しのプログラムにご芳名を掲載いたします。
 申し込み方法:本会の郵便振替口座(東京フルトヴェングラー研究会:00180-0-579577)までご送金ください。
       (4月以降にご入金の場合も会員の期間は来年3月までとします。しかし、CDやテープなどの特典は
       4月に遡って適用されます。)

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