健全なトラック運送事業へ

◆ 軽油価格高騰に対処するためのトラック運送業に対する緊急措置
◆ トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン
◆ トラック運送業における下請・荷主適正取引推進 ガイドライン
◆ 燃料サーチャージの導入実態に関するアンケート調査分析結果
◆ 原油価格高騰の背景、見通し
◆ 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

安全運行パートナーシップ・ガイドライン

原油価格高騰の背景、見通し (2008.10.18)

目次
1、原油価格高騰の始まり
2、原油価格高騰の背景
3、原油価格・最近の動向
4、石油統計速報-資源エネルギー庁
5、今後の原油価格の見通し
6、原油価格の推移
◆石油統計速報 ─ 資源エネルギー庁

平成21年01月分
平成21年02月分
平成21年03月分
平成21年04月分
平成21年05月分
平成21年06月分
平成21年07月分
平成21年08月分
平成21年09月分

○はじめに
貨物運送事業にとって原油の高騰は極めて憂慮すべき事態です。政府は「トラック業界への緊急措置」を発表し事態の打開に積極的ながら、「燃料サーチャージ」も『制度を導入し、荷主の同意も得られた』のは1.4%(7月全ト協調べ)にとどまっています。(参考:燃料サーチャージの導入実態に関するアンケート調査分析結果
ここでは、原油価格高騰について、資源エネルギー庁発表の「エネルギー白書」を参考にその経緯、現状、見通し等をまとめてみます。


1、原油価格高騰の始まり

平成15年1月に、国際的な原油価格の指標であるNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)という油種の先物価格が1バレル30ドルを突破しました。この年の年間平均価格は31.05$/bblで、その後、米WTIの価格は平成16年平均価格41.4$/bbl。平成17年は56.56$/bbl。平成18年は66.22$/bblと高騰し、平成15年1月の2倍に達しました。
四半期別原油スポット価格推移
その後も高騰基調はとどまらず、WTI原油相場は平成20年7月11日に1バレル=147.27ドルという史上最高価格をつけたのです。7月の平均価格は133.46$/bblとなり、平成15年1月の平均価格31.05$/bblの4.3倍という極めて異常な高値となりました。
2、原油価格高騰の背景
原油価格は、1960年代まではメジャーと呼ばれる欧米の石油企業7社が国際石油市場をコントロールし、石油の価格を決めていました。この間、石油価格はバレル当たり1〜2ドルと低水準で安定的に推移していたのです。 ところが、1973年10月の第4次中東戦争を契機に、石油輸出国機構(OPEC)に加盟するアラブの産油国が、一方的に石油の輸出価格を値上げ・一部欧米諸国への輸出制限等を行い、日本だけでなく世界中で石油を求めてパニックが生じ経済が停滞しました。また、多くの産油国では油田の国有化を進め、欧米の石油会社はこうした国からの撤退を余儀なくされました。更に、1979年にはイラン革命をきっかけとして原油価格が再び高騰しました。
このように、1970年代から1980年代前半にかけて、石油輸出国機構(OPEC)に加盟する産油国が油田を支配し、石油価格や生産量をコントロールしたのですが、OPEC加盟国による市場支配は長くは続かず、石油価格の高値誘導は、消費国サイドで省エネや石油代替エネルギーへのシフトを促し石油需要の低下を招く結果となりました。
さらに、欧州の北海や米国のアラスカで新たに石油の生産が開始され、ソ連(当時)等のOPEC非加盟国でも石油生産が増大しました。このように需要が低迷し供給が増大する中、それまで需給調整のために石油生産を制限していたサウジアラビアが制限をやめたこともあり、1985年には石油価格が暴落し、その後、1990年代にかけて、湾岸戦争時など一時的な高騰はあったものの、石油価格はバレル当たり10〜20ドルと総じて安定的に推移しました。
1980年代半ば以降、市場取引での価格決定が一般化し、石油先物市場が誕生、そこで決定される石油価格が徐々に影響力を持つようになりました。こうした変化で国際エネルギー市場のプレーヤーは多様化・複雑化し、近年こうした傾向が更に強まっています。
現在世界の主な市場は、北米のWTI原油はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)、欧州のブレンド原油はイギリスのインターコンチネンタル取引所(ICE)、中東のドバイ、オマーン原油は東京工業品取引所(TOCOM)が三大市場といわれています。日本の輸入原油は90%以上が中東地域からで、とくに、ドバイ原油・オマーン原油を扱う東京工業品取引所(TOCOM)の価格動向が注目されます。
これら石油先物市場の誕生により、石油市場に流入する様々な投資・投機マネーは、中東等における緊張の高まりや、自然災害や事故による精油所等の操業停止などをきっかけとした石油価格の上昇を招いています。
異常な原油価格高騰を招いた平成20年初頭、金融市場が不安定な中で原油を有望な投資対象とする傾向が広がり、特にドル相場の下落により、原油相場は押し上げられるとの観測からドル安・原油高が進んだのです。
特に、7月に入ると、欧州の利上げ観測を背景としたドル相場の下落、イランとイスラエルの間における軍事的な緊張、ナイジェリアの治安情勢やブラジルの石油会社でのストライキへの懸念により、11日には一時147.27$/bblの史上最高値を更新しました。
3、原油価格・最近の動向
前述のとおり、WTI原油相場は7月11日に147.27$/bblという史上最高価格をつけました。しかし需要減退懸念によりその後は下落基調で推移し、8月15日には一時111$/bbl台まで下落しました。日本に輸入される原油価格を事実上決めるドバイ・オマーンの平均価格は、7月平均132$/bbl、8月は113$/bbl、9月96$/bblで、こちらも大幅下落となりました。
東京工業品取引所においても中東産原油8月限の最終決済価格は77,750 円/KL となり、前月比10,970 円安。さらに、9月限の最終決済価格は64,510 円/KL となり、前月比13,240 円安と前月比で過去最大の下げ幅を連続で記録しています。
激しい高騰を続ける原油先物取引に、米政府が「監視を強化するとともに何らかの規制を検討する」旨発表するにいたり、原油相場は下げに転じ9月12日には、約100$/bblまで下がりました。
平成20年9月15日には、リーマンブラザーズ証券破綻に始まる世界的な金融不安、ドル・ユーロ安、株価下落による経済の低迷懸念などにより、原油への投機資金が引き上げられ、17日のWTI原油相場は91.15$/bblまで下落し、平成19年12月の水準まで値下がりしました。
米国の金融危機は、アジア、欧州にも波及し、急遽開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議は、各国が公的資金による金融機関への資本注入を行うことを決めました。
しかし、各国の株式市況が大幅な下落を示すとおり、原油の相場も世界的な景気後退を懸念すると共に資金調達コストの上昇、製油能力の拡大を理由に値下がりが続き、10月15日のWTI原油相場の終値は4.09ドル安の74.54$/bblでした。
4、石油統計速報
石油統計速報 平成20年8月分                        平成20年9月30日
                                資源エネルギー庁・資源・燃料部政策課

1、原油の動向
8月の原油輸入量は2,036万kl、前年同月比98.8%と3ヶ月連続して前年を下回った。輸入量の多い順に見ると、
  • (1)サウジアラビア(500万kl、前年同月比102.9%)、
  • (2)アラブ首長国連邦(484万kl、同99.6%)、
  • (3)イラン(273万kl、同104.8%)、
  • (4)カタール(235万kl、同112.5%)、
  • (5)クウェート(192万kl、同121.0%)、となっている。
なお、今月の中東依存度は88.1%、前年同月に比べ0.3ポイント増と2ヶ月連続して前年を上回った。
2、燃料油の生産
燃料油の生産は1,860万kl、前年同月比97.2%と3ヶ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
3、燃料油の輸入、輸出
燃料油の輸入は280万kl、前年同月比100.4%と2ヶ月連続して前年を上回った。
輸出は355万kl、同115.9%と11ヶ月連続して前年を上回った。
4、燃料油の国内販売
燃料油の国内販売は1,517万kl、前年同月比88.2%と3ヶ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
5、燃料油の在庫
燃料油の在庫は1,444万kl、前年同月比101.9%と17ヶ月ぶりに前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、灯油は前年同月を下回った。
5、今後の原油価格の見通し
世界的な金融不安、先進諸国の景気後退、自動車産業の低迷などによる石油の需要減退は大方の予想であり、米国の石油製品全体の消費量も、前年水準を大幅に下回って推移しています。
また、欧州や日本では、人口増加率の低下や省エネルギー技術の普及などにより石油需要の減退が続いていることに加えて、欧州などの景気減速が新たな石油需要の抑制要因として意識されてきています。
需要が旺盛な中国でも、オリンピック後に石油製品価格の引き上げが進められ、オリンピック開催前に石油会社が政府より求められていた石油在庫を積み増す動きも一巡が見込まれるなど、需要の伸びが抑制される見通しです。
さらに、先物投資資金も、たとえ金融危機の拡大に歯止めがかけられても、原油相場に資金が戻るまでには時間が必要だろうと考えられます。原油相場は、すでに高値からの下落幅が50ドルを超えていますが、世界各国の実体経済が明らかになるにつれ、相場は弱含みで推移すると思われます。
一方、石油輸出国機構(OPEC)は11月に予定していた臨時総会を急遽10月24日に開催すると発表しました。原油価格急落で早急に対応策の協議が必要と判断したもので、原油生産枠の削減などが議題になるものと思われます。
JPモルガンは、『2009年第2・四半期の原油価格は1バレル=70ドルまで下落する見込みで、現在の原油相場の変動率が続けば、原油価格は今後1バレル=60ドルまで下落する可能性がある。』と報じています。
6、原油価格の推移
年 月 NYMEXのWTI原油先物価格 TOCOM原油先物価格
原油ドル価(ドル/bbl) 為替(ドル) 原油円価(円/kl) 原油円価(円/kl)
9月 39,090
8月 71.14 42,650
7月 64.30 94.51 38,220 38,610
6月 69.70 96.57 42,333 42,170
5月 59.21 96.28 35.854 35,070
4月 49.95 99.12 31.139 31,250
3月 48.06 97.98 29.616 28,170
2月 39.26 92.43 22.823 25,170
2009年1月 41.93 90.41 23.842 25,180
12月 42.04 91.53 24.201 23,460
11月 57.44 96.85 34.988 30,420
10月 76.72 100.58 48,531 42,820
9月 103.76 106.83 69,715 64,510
8月 116.69 109.34 80,245 77,750
7月 133.46 106.84 89,678 88,720
6月 125.36 106.93 84,307 86,130
5月 125.36 104.21 82,162 78,420
4月 112.46 102.52 72,512 66,900
3月 105.42 100.95 66,932 61,780
2月 95.35 107.24 64,310 60,940
2008年1月 92.93 107.68 62,935 59,570
12月 91.74 112.42 64,864 60,820
11月 94.63 111.34 66,265 60,900
10月 85.66 115.8 62,386 56,320
9月 79.63 115.06 57,624 53,160
8月 72.36 116.88 53,191 49,890
7月 74.15 121.67 56,741 53,400
6月 67.53 122.65 52,092 50,860
5月 63.53 120.82 48,275 49,260
4月 64.04 118.89 47,885 48,010
3月 60.74 117.35 44,829 43,540
2月 59.39 120.55 45,028 42,350
2007年1月 54.35 120.69 41,255 39,400
12月 62.09 117.34 45,822 43,550
11月 59.40 117.41 43,863 42,120
10月 59.14 118.71 44,154 42,480
9月 63.90 117.12 47,069 43,180
8月 73.08 115.92 53,279 50,570
7月 74.46 115.75 54,206 50,730
6月 70.97 114.62 51,161 47,360
5月 70.96 111.7 49,851 46,120
4月 70.16 117.19 51,711 47,790
3月 62.97 117.37 46,483 43,180
2月 61.93 117.97 45,949 43,110
2006年1月 65.54 115.49 47,605 42,740
12月 59.45 118.7 44,382 40,090
11月 58.34 118.44 43,458 38,700
10月 62.27 114.91 45,003 39,460
9月 65.55 111.08 45,794 40,140
8月 64.99 110.79 45,285 39,760
7月 59.03 111.96 41,566 37,420
6月 56.42 108.68 38,564 35,210
5月 49.87 106.93 33,538 30,870
4月 53.22 107.46 35,969 32,240
3月 54.63 105.33 36,190 30,820
2月 48.05 104.93 31,710 26,710
2005年1月 46.85 103.28 30,432 25,040
12月 43.26 103.87 28,260 22,750
11月 48.48 104.93 31,994 23,610
10月 53.09 109.06 36,415 26,510
9月 45.94 110.07 31,803 24,960
8月 44.88 110.4 31,162 26,830
7月 40.81 109.4 28,079 23,990
6月 38.05 109.48 26,199 23,140
5月 40.28 112.45 28,487 24,610
2004年4月 36.62 107.37 24,729 21,410

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