『事業用自動車の運転者の健康管理などについて』   平成15年3月18日国交省通達
○睡眠時無呼吸症候群に関し、平成15年3月18日付国自総第531号をもって国土交通省から「事業用自動車の運転者の健康管理について」の通達が全ト協会長あてに発せられました。内容は下記の通りです。

 『事業用自動車の運転者の健康管理などについて』
事業用自動車の運転者の健康管理については、脳血管障害や心疾患等によるいわゆる「健康起因」の事故を防止するため、道路運送法及び貨物自動車運送事業法等に基づいて、自動車運送事業者に対し、運転者の健康状態の把握を義務付けており、定期健康診断の受診結果等を踏まえて適切な運行管理を行うよう指導してきているところです。
一方、去る2月26日、山陽新幹線の運転士が居眠り状態となり、岡山駅に於いて所定の停止位置手前に停止するという事案が発生し、その後の医学的精密検査の結果、当該運転士は、「睡眠時無呼吸症候群」(Sleep Apnea Syndrome : SAS)であると診断されました。
当該事案については、居眠り運転が病気としての睡眠障害によって発生し得ることが明らかになったという点で、陸海空の交通機関全てに共通する問題としてとらえる必要があります。
つきましては、自動車運送事業においてもSASに起因する居眠り運転や漫然運転による事故の防止を図るため、下記事項について傘下会員事業者に対して周知徹底して頂くようお願いします。

                               記
1、別添え資料「『睡眠時無呼吸症候群』に注意しましょう!」を活用し、SASの主な症状、自己判断方法及び診断・治療方法等についての正確な情報を運転者のほか運行管理者及び人事・労務担当者等全ての関係者に周知すること。
2、SASであっても、早期に発見し適切な治療をすれば、SASでない者と全く同様な乗務が可能であることを踏まえ、運転者に対し、家族等の協力も得てSASの疑いの有無について自己判断を行い、自分がSASではないかと疑った場合には、直ちに申告するよう指導するとともに、運転者が積極的に申告することができるような環境の整備に努めること。
3、点呼等において、SASに関連する症状の有無についても注意を払い、運転者からSASの疑いについて申告があった場合には、当該運転者の乗務について、余裕をもたせる等の適切な配慮を行うこと。合わせて、当該運転者に対し、産業医、地域産業保健センター又は定期健康診断委託先の医療機関等に相談し、SASと診断された場合には治療を受けるよう指導すること。

【別添え資料】 『睡眠時無呼吸症候群』に注意しましょう!」

居眠り運転や漫然運転の原因として、いま注目されているのが、「睡眠時無呼吸症候群」(Sleep Apnea Syndrome : SAS)と呼ばれる病気です。SASは安全運転上も運転者の健康上も危険な病気で、早急に治療をしなければなりません。
1、SASとは SASは、睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。その結果、十分に睡眠がとれず居眠り運転や漫然運転により事故などが発生しやすくなります。医学的には、呼吸が10秒以上停止する無呼吸の状態が睡眠中に30回以上生じるか、睡眠1時間あたり無呼吸が5回以上生じるものをいいます。
2、SASに関する症状 SAS患者には、主に次のような症状がみられます。
・睡眠中、呼吸が止まる ・大きないびきをかく ・朝、頭痛がする ・日中、強い眠気を感じる ・寝ている間頻繁に目が覚める ・熟睡感がない ・集中力が低下する ・夜頻繁にトイレに立つ ・不眠症 ・勃起機能不全 ・肥満
3、SASに伴う合併症 SASになると、血液が固まりやすくなり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など重大な合併症を引き起こすおそれがあります。又、高血圧、高脂血症、動脈硬化、不整脈のおそれもあります。
4、SASによる事故 これまでの研究によれば、SASによる居眠り運転で発生する事故は、特に ・一人で運転中 ・高速道路や郊外の直線道路を走行中 ・渋滞で低速走行中に多いといわれ、重症の場合、短期間に複数回生じることも少なくないといわれています。
5、病的な眠気の程度を調べる自己判断テスト SASは、本人が自覚しにくいため、まず、眠気の程度が病的であるか次のようなテストで自己判断を行って見てください。(EPWORTH眠気尺度参照)
0 : うとうとする(居眠りをする)ことは絶対にない
1 : ときどきうとうとする(居眠りをする)ことがある
2 : うとうとする(居眠りをする)ことよくある
3 : だいたいいつもうとうと(居眠りを)してしまう
合計11点以上の人は病的な眠気があると考えられ、その原因の一つとしてSASの可能性があります。ただし、合計10点以下でも家族から睡眠中の呼吸停止や大きないびきを指摘されたり、日中強い眠気を感じたことがある人はSASの可能性があります。

6、医療機関による診断
@スクリーニング SASが疑われたら医療機関で診断を受けてください。医療機関では、終夜睡眠ポリグラフの簡易型のものや、パルスオキシメーターを使って一晩寝ている間の無呼吸の回数や動脈血の酸素量等を測定し、精密検査が必要か調べます(スクリーニング)。この検査機器は小型で自宅でも検査できます。
A確定診断 スクリーニングにより、さらに精密検査が必要な場合は、さらに病院で一晩かけて、脳波、心電図、口・鼻からの気流、胸部・腹部の動き、動脈血の酸素量、いびき等を記録・解析しSASの判定をします。
7、SASの治療方法 SASの治療はCPAP(シーパップ/経鼻持続陽圧呼吸療法)が効果的です。これは、鼻にマスクを付け適切な圧力をかけた空気を鼻から持続的に送り込み、上気道を押し広げるというものです。この治療は自宅でも出来、月に一度診察に通院するだけですみます。健康保険も適用され、月々5000円程度です。他の治療方法には、 ・マウスピースで下あごを前方に固定し、上気道を広げる ・扁桃の肥大が原因の人は外科的手術 ・肥満の人は食事療法などがあります。
8、CPAPによる治療の効果 CPAPによる治療の効果は、最初の1日目の夜から現れ、無呼吸の減少や動脈血の酸素量の改善が見られます。数日間の治療により、日中の強い眠気や居眠りがなくなり、SASの症状が改善されます。このように、CPAPによる治療によってひどいいびきも止まり、無呼吸の状態も起こらなくなり居眠り運転や漫然運転による事故を防止することが出来ます。
9、事業者・管理者の皆さんへ 職業運転者は安全運転が社会的使命ですから、SASであった場合すぐに治療することが必要不可欠です。SASは治療が比較的容易であり、症状も劇的に改善されます。
事業者は、運転者や家族と一体となってこの病気と取り組み、SASの疑いがあれば早期に診断と治療をする社会的があるのです。

      EPWORTH眠気尺度

氏 名                年令    
記入日:平成               
性 別: 男 / 女
次のような状況でうたた寝したり、寝入ったりすることがありますか。最近の通常の生活からお答えください。最近このようなことがなくても、どの程度ありそうか考えてみてください。
以下の8つの状況(a〜h)について、最も当てはまるうたた寝の程度(0〜3)を下から選び、その番号を右の     部に記入してください。

〔うたた寝の程度〕
〔 状 況 〕 (0〜3を記入)
a . 座って本を読んでいる。               .
b . テレビをみている。               .
c . 公共の場所で、ただ座っている。(たとえば映画や会議中)               .
d . 休息をとらずに、1時間、車に同乗している。               .
e . 用事がなく午後横になって休んでいる。               .
f . 座ってだれかと会話している。               .
g . 昼食(アルコールなし)後、静かに座っている。               .
h . 乗車中、渋滞で数分止まっている間。               .
〔うたた寝の程度〕
0=決してうたた寝しない
1=まれにうたた寝する
2=時々うたた寝する
3=しょっちゅう、うたた寝する
「EPWORTH眠気尺度」は、世界中で普及している簡易型の自己診断法です。これは日中の「うたた寝」の程度をみるものです。
・8項目合わせて
・24点がワースト満点となります
・16点以上  病的眠気のある人
・10点以上  昼間の眠気が認められる人