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第1章 トラック運送業における適正取引の必要性
1.トラック運送業の現状と課題
1)規制緩和後における競争環境の変化について
(1)新規参入の状況
○ 規制緩和後、3万社以上の新規参入によりトラック運送業者数は5割増しになった結果、平成17年度の事業者数は62,000者を超え、トラック運送業は現在、極めて激しい競争状況にさらされている。
○ 新規参入のうち、9割弱が保有車両5両の零細な事業者であり、これらの零細な事業者は、競争が非常に厳しく繰り広げられる中で車両の実働率を維持するために、荷主・元請事業者から提示される低運賃を受け入れざるを得ず、結果として運賃の引下げの要因になっていると考えられる。
○ なお、事業者数の増加率は大きいが、車両数の増加率は微増傾向にあり、輸送量の増加傾向、実働率、実車率等を踏まえると、全国的には、必ずしも供給過剰ではないと考察される。
(2)運賃の動向
○ 参入規制等の経済規制の緩和(平成2年)以降、トラック運送業では激しい競争により、運賃は一貫して低下している。
○ 一方で、こうした運賃低下の結果、平成15年度の消費者余剰(規制緩和により得られた消費者のメリット)は3.5兆円弱と推計されている。(政策効果分析レポートNo.22
規制改革の経済効果 -利用者メリットの分析(改訂試算)2007年版
内閣府)
(3)荷主、元請事業者、下請事業者の関係
@ 多層化の進行
○ トラック運送業では、下請構造の多層化が進行しており、元請事業者から5次、6次以降の下請事業者が実運送を行うことがある。
○ こうした下請構造の多層化の背景には、製造から流通までのサプライチェーンマネジメントを総合的に統括することへの荷主ニーズや、季節波動など荷動き量の変動に対する車両運用の効率化などがある。
○ 一方で、多層化の進行に伴い、荷主から最終的な実運送事業者までの契約、輸送責任が輻輳しており、特に、元請事業者等から自社の請負能力にかかわらず仕事を受注して下請運送を行う運送事業者(いわゆる「水屋業」)及び実運送を行わずコスト管理のみを行う元請事業者の存在が市場構造をより複雑なものとしている。
A 不適正な取引の顕在化
取引の多層化の進行に伴い、事業者同士の不適正な取引の実態が、以下のとおり顕在化している。
・下請法による勧告 10件(平成17年度〜平成20年度2月末)
⇒すべて代金減額
・下請法による警告比率(注1)⇒41.3%(平成18年度)
・下請法による実体規定違反の行為類型(注2)(平成18年度)
⇒支払遅延 75.7%、運賃減額
10.9%、購入強制 4.0%
(注1)役務委託等における警告件数に占める運輸業等の割合
(注2)運輸業等の実体規定違反の内訳
2)軽油価格高騰、安全・環境対策等の経営を取り巻く環境の変化と対応について
(1)経営環境の変化
@ 軽油価格高騰の影響
○ 平成15年まで1 g64円程度で安定していた軽油価格は、原油価格高騰に伴い、平成19年には100円を超え、これに伴う業界全体のコスト増は7,100億円に達すると推計される。一方で、運賃転嫁が図られた事業者は部分的な転嫁を含め4
割強となっており、依然約6 割の事業者において、全く運賃転嫁が行われていない状況にある。
A 安全対策(労働関係を含む。)の状況
○ トラック運送業においては、利用者がより安全性の高い事業者を選びやすくするとともに、事業者全体の安全性の向上に対する意識を高めるための環境整備を図るため、安全性優良事業所認定(Gマーク)制度に取り組んでいる。
○ また、ハード面の安全対策としてスピードリミッター、ドライブレコーダー等の装着、ソフト面の安全対策として運輸安全マネジメントの導入等の安全対策の強化により、トラック運送業では、コストが増大し、運送原価の上昇要因となっている。
B 環境対策の状況
○ 京都議定書目標達成に向け、運輸部門では燃費の良い車両への買い替えを図るとともに、大型化、積載率の向上等の輸送の効率化、アイドリングストップ等のエコドライブの普及促進、走行速度抑制など、地球温暖化対策についてきめ細かな対応が求められている。また、圧縮天然ガス(CNG)自動車、ハイブリッド自動車等の低公害車の導入が進められている。
○ ディーゼル重量車のNOx・PM規制が強化され、車両の代替コストが増加している。NOx・PM法対策地域では、車両の代替で4,347億円、ディーゼル微粒子除去装置で252億円、NOx・PM法対策以外の地域でもディーゼル微粒子除去装置で82億円を要するなど、トラック運送業では環境対策の強化に伴いコストが増大している。
(2)荷主とのパートナーシップによる対応
○ 輸送における安全対策の強化に対応するため、荷主と元請事業者、元請事業者と実運送事業者との安全確保に向けた連携(パートナーシップ)による取組が求められている。
○ 環境対策の強化に対応するため、荷主とトラック運送業者によるグリーン物流パートナーシップ等による取組が求められている。
(3)競争条件に与える影響
○ 規制緩和に伴う競争の激化、荷主ニーズの高度化等を背景とする多層化の進行や軽油価格の高騰、安全・環境対策の強化に伴い、トラック運送業をめぐる経営環境は、ますます厳しいものとなっている。
○ 厳しい競争の中で、競争上の優位性を確保するため、本来守られなければならない法律上の義務や規制を免れて、不適正に運送原価を引き下げるケースが顕在化している。
○ 具体的には、社会保険等への未加入や最低保有車両数を割る減車等が公正な競争環境を阻害する問題事例として指摘されている。
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2.トラック運送業において適正取引推進ガイドラインを策定する意義
(1)関係者間(垂直関係及び水平関係)における問題認識、ルール等の共有化
○ 荷主・元請事業者・下請事業者の多層化が進行する垂直関係において、既に顕在化している不適正な取引を防止するためには、未然防止対策を含む適正取引のルールを関係者が遵守するとともに、望ましい取引形態についての知識を共有し、その導入促進を連携して図っていくことが重要である。
○ 一方で、規制緩和に伴い競争が激化する中で、適正取引を推進していくためには、荷主・元請事業者の取引、元請・下請事業者の取引でもダンピング競争など不適正取引を誘発する行為について、その抑止に関するルールが元請事業者同士、下請事業者同士の水平関係においても遵守されるとともに、望ましい取引形態を業界全体で導入していくことについて自ら積極的に取り組むことが必要である。
(2)中小企業の成長力底上げ
○ 平成19年2月の成長力底上げ戦略や6月の骨太の方針で示されたように、我が国の経済成長を持続可能なものとするためには、成長の成果を中小企業にも浸透させる、中小企業の成長力の底上げが必要であり、下請事業者いじめが行われないよう、適正取引のルール化や望ましい取引形態について周知を図り、普及させていく必要がある。
(3)荷主とのパートナーシップの推進
○ トラック運送業が軽油価格高騰問題に対処しつつ、安全・環境対策の強化に対応していくためには、それらに伴うコスト増を荷主、元請事業者、下請事業者がパートナーシップの下で適切に分担していく必要があり、そのためのルール等が不可欠である。
(4)健全な競争環境の整備
○ トラック運送業において、適正取引を推進していく前提条件として、少なくとも「正直者が損をしない」よう健全な競争環境を整備する必要があり、そのためには、輸送の安全に加え、社会保険加入等の貨物自動車運送事業法以外の他法令についてもコンプライアンスを徹底することが必要である。
このため、本ガイドラインでは、適正取引に関するガイドラインに加え、健全な競争環境の整備のための国の施策についても、その方向性を示すこととする。
第2章 取引上の問題点と望ましい取引形態
この章において取り扱う取引は、「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(平成16年3月8日公正取引委員会告示第1号)(以下、「物流特殊指定」という。)及び下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)のみならず、貨物自動車運送事業法に関することを含めたものにしている。
そのため、物流特殊指定及び下請法に係ることに限定される記載以外のものは、貨物の運送を依頼する者を「運送委託者」、その委託を受ける者を「運送受託者」とした。
1.独占禁止法及び下請法が対象とする取引
(1)特定荷主と特定物流事業者との取引
荷主がユーザーとして運送業者等に委託を行う役務の委託取引については、物流特殊指定が適用される。対象となる取引については、規制される事業者の資本金の組合せ(類型1、2)のほか、優越的地位にある事業者との取引も対象(類型3)としている。
○ 物流特殊指定の対象となる取引
以下の@及びAの2つの条件を満たす取引が対象となる。
@ 荷主から委託されている取引の内容が、運送サービス又は倉庫における保管サービスであること。
A 荷主と物流事業者の資本金額(出資金額)等が下図の関係にあること。

なお、物流特殊指定では、特定荷主と特定物流事業者の取引を対象とし、上記の取引対象に係る発注者を「特定荷主」、受注者を「特定物流事業者」とする。
○ 荷主の子会社の取扱いについて
荷主が、自社の物流子会社を通じて運送サービス又は倉庫における保管サービスを委託する場合には、物流子会社が荷主とみなされる(この場合の資本金額は、親会社である荷主の資本金額で判断される)。
一方、物流子会社であっても、親会社でない荷主等から運送業務を受注した場合には、物流特殊指定の特定荷主とならない。
○ 優越的地位について
取引の一方の当事者(甲)が他方の当事者(乙)に対し取引上優越した地位にある場合とは、乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな
支障をきたすため、甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても、乙がこれを受け入れざるを得ないような場合であり、その判断に当たっては、甲に対する
取引依存度、甲の市場における地位、取引先変更の可能性、取引対象商品の需給関係等を総合的に考慮するとされている。
(2)親事業者と下請事業者間の取引
下請法では、対象取引を親事業者及び下請事業者の資本金の額と取引の内容によって決めており(類型4及び類型5)、親事業者が受託した運送等の役務提供を下請事業者に再委託する場合を規制の対象としている。
また、いわゆるトンネル会社規制により、一定の要件を満たす場合は、親事業者の子会社等が行う役務提供委託取引についても、この子会社等を親事業者とみなすことで規制の対象としている。
さらに、下請法に規定された資本金の区分を満たさない場合であっても、独占禁止法に規定する優越的地位が認められる場合もあるところ、本ガイドラインではこうした取引も対象としている。

なお、下請法ではトラック運送事業者同士の取引を対象とし、発注者である元請事業者を「親事業者」、受注者を「下請事業者」とする。
○ トンネル会社の規制について
下請事業者に運送委託をすれば下請法の対象となる場合、資本金が3
億円(又は千万円)以下の子会社(トンネル会社)等を設立し、この子会社が発注者となって運送委託を行う場合、下記の2つの要件を共に満たせば、その子会社等が親事業者とみなされ、下請法が適用される。
@親会社から役員の任免、業務の執行又は存立について支配を受けている場合(例えば、親会社の議決権が過半数の場合、常勤役員の過半数が親会社の関係者である場合又は実質的に役員の任免が親会社に支配されている場合)。
A 親会社からの下請取引の全部又は相当部分について再委託する場合
(例えば、親会社から受けた委託の額又は量の50%以上を再委託している場合。)。
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2.運賃の設定
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
○ 個別の運送内容等を考慮せずに、一律一定率の引下げをして、通常支払われる運賃より低い運賃にすること
○ 運送委託者が、自らの目標額、予算等を基準として、通常支払われる運賃より低い運賃に、一方的に設定すること
○ 軽油価格の高騰、多頻度輸送、長距離輸送、手待ち時間の発生等輸送条件が変化したにもかかわらず、それらを一切考慮しないで、通常支払われる運賃より低い運賃に据え置くこと
○ 特定の運送受託者を差別的に取り扱い、他の運送受託者より低い運賃を設定すること
○ 同種の運送役務について、特定の地域又は顧客向けであることを理由に、通常支払われる運賃より低い運賃を設定すること
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(2)関連法規の留意点
| 軽油価格高騰及び安全・環境対策の規制強化のコスト増が特定物流事業者(下請事業者)に認められず、一方的に従来の運賃での運送が依頼されることがある。運送原価を考慮しない運賃設定は、運送事業者の利益を損ない、経営を圧迫するだけではなく、安全運行を阻害することにもなる。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、特定物流事業者の運送又は保管の内容と同種又は類似の内容の運送又は保管に対して通常支払われる対価に比し著しく低い代金の額を不当に定めることは、物流特殊指定第1項第3号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、親事業者が、発注に際して下請代金の額を決定するときに、発注した内容と同種又は類似の役務の提供に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めることは、下請法第4条第1項第5号の「買いたたき」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
また、親事業者が、運送を委託するに当たって着時間指定や倉庫荷役等付帯業務を行わせる場合は、下請法第3条により交付を義務付けられた発注書面(以下、「3条書面」という。)にその旨記載し、これらの対価を含んだ下請代金の額を下請事業者との十分な協議の上で設定して発注する必要がある。
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○ 貨物自動車運送事業法の留意点
貨物自動車運送事業法では、他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがある場合、運賃・料金に対する事業改善命令や荷主勧告の発動要件となるおそれがある。
(3)求められる取引慣行
○ 運送受託者が、運送を請け負うに当たり条件(発着時間の指定、倉庫荷役等の付帯業務等)が設定される場合、あらかじめ具体的な内容について合意を取り交わし書面化しておくことが求められる。
○ 運賃を決定する場合、トラック運送業者は自社の人件費・燃料費・修繕費・車両償却費等運送に係る原価を把握したうえで見積書を提示し、運送委託者と運送受託者は双方の十分な協議によって運賃設定することが求められる。
(4)望ましい取引実例
<原価計算に基づく運賃交渉をおこなった例>
運賃交渉にあたり、漠然と「経営が厳しい」と持ち込むのではなく、社内で比較的簡易に原価計算を行うことができる「原価計算マニュアル」を作成し、運送原価の上昇等の原価データ等を確認できる資料を提示して、運賃の協議を行うよう工夫している。
<3PLにおける原価把握の例>
運送、仕分け、梱包と一貫して物流を請け負う場合、それぞれの作業工程においての原価の把握を行い、運賃等の見直し要請については、配送ルートの見直しや各作業工程の合理化の範囲を明確にする工夫を行っている。
<燃料サーチャージ制運賃の導入例>
荷主と協議のうえ、軽油の基準価格を設定し、
〔燃料サーチャージ額= キロ程(km)÷燃費(km/L)×算出上の燃料価格上昇額(円/L)〕
を運賃とは別建てで上乗せしている。下請事業者に委託する場合にも、軽油上昇分を転嫁した運賃設定とする。
燃料サーチャージの計算にあたっては、次のように取組を実施した。
@ 基準となる燃料価格、燃料価格の一定の変動幅とその算定上の上昇額及び使用車両の燃費を把握し、設定する。
A 運賃契約の体系に応じた燃料サーチャージの適用方法設定として、距離制貸切契約など、トラックの運賃契約の体系に対応した適用方法を決定する。
B 燃料サーチャージの改定及び廃止として、燃料サーチャージの改定及び廃止する場合の条件を設定し、適用時に荷主企業に明示している。
3.運賃(代金)の減額
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運賃引下げの合意が得られた運送受託者に対し、運賃引下げの合意日前に提供された運送役務についても新しい運賃をさかのぼって適用して代金を減額すること
○「協力金」、「協賛金」、「値引き」、「手数料」等の名目により、既に提供された運送役務の代金を減額すること
○ 運送中の荷物が汚破損したことを理由に、荷主等から損失の補償を求められていると称して、損害額の算定根拠を明らかにしないまま、代金から損害額を上回る一定額を差し引くこと
○ 運送受託者が高速道路を利用しなければ、到着できない到着時間等の運送条件が設定された場合、運送委託者が高速道路料金を負担しないことにより、代金を減額すること
○ 運送条件の変更を理由に、当初決められた運賃算定の方法を変更することにより、代金を減額すること
○ 手形払いから、現金払いへ変更する際に、自社の短期調達金利相当額を超える額を割引手数料として差し引くことにより代金を減額すること
○ 無理な到着時間等の運送条件を設定することで、当該条件を遵守できなかったことを理由に、代金を減額すること
○ 文書による合意なく振込手数料を差し引くことにより、代金を減額すること
○ 消費税・地方消費税額相当分を支払わないことにより、代金を減額すること
○ 1 円以上の単位の切捨てにより、代金を減額すること
○ 特定荷主が、取引先から製品等に係る代金を減額されたことを理由に、特定物流事業者に対する代金を減額すること
○ 親事業者が、荷主等から代金を減額されたことを理由に、下請事業者に対する下請代金を減額すること
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(2)関連法規の留意点
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親事業者が発注時に決定した下請代金を、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、発注後に減額することがある。このとき、減額の名目、方法、金額の多少を問わず、また発注後いつの時点で減額しても、代金減額となる。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主があらかじめ定めた代金の額を、特定物流事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず減額することは、物流特殊指定第1項第2号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、親事業者があらかじめ定めた代金の額を、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず減額した場合、下請法違反となる。また、下請事業者との合意があったとしても下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず減額した場合、下請法第4条第1項第3号の「下請代金の代金減額」に該当し、下請法に違反する。
支払手段としてあらかじめ「手形払」と定めているのを一時的に現金で支払う場合において、手形払の場合の下請代金の額から短期の自社調達金利相当額を超える額を差し引くことも、下請法上の代金減額となる。
他に、親事業者が、自ら請け負った運送を下請事業者に再委託し、運送中の荷物が毀損したので荷主から損失の補填を求められていると称して、損害額の算定根拠を明らかにしないまま、下請代金から毀損額を上回る一定額を差し引くことも、下請法上の代金減額となる。
○ 貨物自動車運送事業法の留意点
貨物自動車運送事業法においては、他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがある場合、運賃・料金に対する事業改善命令や荷主勧告の発動要件となるおそれがある。
(3)求められる取引慣行
○ 運送委託者と運送受託者は十分に協議を行い、支払条件(下請法では、法定の下請代金の額、支払期日、物品等を受領する期日等の具体的記載事項をすべて記載した書面を下請事業者に対して交付することが義務付けられている。)や事故発生時の責任の所在と賠償内容など、あらかじめ具体的な内容について合意を取り交わしておくことが求められる。
○ 運送受託者が高速道路を利用した場合、運送委託者が高速道路の利用料金を負担する条件について、運送委託者と運送受託者は事前に十分な協議を行い、利用条件、費用の負担条件等を書面により明らかにすることが求められる。
(4)望ましい取引実例
<運送コスト削減に向けたデータを開示することで適切な運賃水準を実現した例>
運送コストの削減要請があった際、配送ルート、積合せの見直しなどの自助努力とともに、配送量の増加がコストダウンに寄与すると試算し、運送委託者に配送量の引き上げを要請した。自社で対応できる範囲を明確にし、それ以上の運賃の引き下げは原価割れを引き起こすとの説明をし、提示した試算に基づいてコストダウンを行った。
<運送委託者と運送受託者によるパートナーシップの例>
荷主の物流子会社が構築した共同配送システムを下請事業者が活用し、運送コストの把握が容易になり、システム構築した荷主の貨物だけでなく、他からも広く集荷することにより、輸送効率を飛躍的に向上させることに成功した。
<高速道路の利用条件、利用料金の支払条件を書面化して適切な費用負担を実施した例>
運送委託者は、運送受託者が高速道路を利用した場合、利用費用を運送委託者が負担する条件を協議して、具体的に書面により明らかにした。具体的な利用条件として、通常ルートで指定された到着時間に到着できないケース、運送委託者の指示によるケース等を明確にして、高速道路利用料金については実費負担をルール化した。
<社内の現場におけるチェック体制の整備>
運送委託者においては、各支店の現場スタッフが運賃減額をしていないかどうか、契約書のチェック、注文書、入金状況等定期的な監査を実施した。
また、取引の適正化に向けて、本社に運送受託者からの相談窓口を設置し、代金減額等がなされないように対応した。
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4.運送内容の変更
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運送委託者の都合により、依頼した数量※(積載量等)の変更がなされ、それに伴い運送受託者に追加費用が生じたにもかかわらず、運送委託者が費用負担しないこと
○ 運送委託者の都合により、出発時間・到着時間が変更され、運送受託者に高速道路料金、運転者の人件費、車両チャージ等の追加費用が生じたにもかかわらず、運送委託者が費用負担しないこと
○ 運送委託者の都合により、当初指定された出発地・到着地の急な変更がされ、運送受託者に人件費、燃料費等追加費用が生じたにもかかわらず、運送委託者が費用負担しないこと
○ 運送委託者から運転者等に対し、直接運行の指示を行うこと |
(2)関連法規の留意点
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当初大量貨物を集約しての配送を前提に見積をさせながら、実際には少量遠距離運送で、しかも一方的に見積時の低い運賃単価で運送を依頼することがある。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が特定物流事業者の運送又は保管の内容と同種又は類似の内容の運送又は保管に対して通常支払われる対価に比し著しく低い代金の額を不当に定めることは、物流特殊指定第1項第3号に該当し、独占禁止法違反となるおそれがある。
※ 運送依頼する単位には、重量単位(t)、車単位(台)、体積単位(立方メートル)等があり、個別の状況により判断する必要がある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めることは、下請法第4条第1項第5号の「買いたたき」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
特定荷主(親事業者)は、特定物流事業者(下請事業者)が特定荷主(親事業者)の指定した場所まで運送したところ、
@特定荷主(親事業者)の発注ミスにより物品を再び持ち帰ることになったにもかかわらず、当該運送に要した費用を支払わないこと、
A運送とは関係のない労務作業を必要な費用を支払わずに行わせること、
B委託した物品の運送とともに、別の物品の運送を必要な費用を支払わずに行わせることなどがある。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、特定物流事業者の運送等の内容を変更させ、又は運送等を行った後に運送等をやり直しさせることにより、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第7号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、発注後に費用を負担せず貨物量や配送ルートに変更を行うことは、下請法第4条第2項第4号の「不当な給付内容の変更及び不当なやり直し」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
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特定荷主(親事業者)が4t車1台での運送依頼をし、実際に積み込み場所に行った時、1台では運送できない貨物量であったにもかかわらず、一方的に見積時の運賃で運送を行わせることや、特定荷主(親事業者)が出発時間を指定したにもかかわらず、依頼者の都合で積み込み時間が遅れた場合に、その待ち時間について必要な費用を負担しないことがある。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、必要な費用を負担せずに当初の運送依頼の内容を変更させ、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第7号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法等の適用対象となる取引を行う場合、親事業者がこのように必要な費用の負担をしない当初の運送依頼の内容変更は、下請法第4条第2項第4号の「不当な給付内容の変更及び不当なやり直し」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
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トラック運送業者は、運行の安全の確保を義務付けられており、その業務を行わせるために運行管理者を選任しなければならない。しかし、運送委託者が自ら直接、運行に関する指示を行うことがある。 |
○ 貨物自動車運送事業法の留意点
トラック運送業者は、貨物自動車運送事業法第17条第3項において、「輸送の安全の確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない」とされており、事業者自らが運行の安全の確保を図るべきである。
運送委託者が自ら直接、運行に関する指示を行うことにより、輸送の安全を阻害する行為がみられた場合、最終的には「荷主への勧告」をおこなうこともあり得る。
(3)求められる取引慣行
○ 運送委託者は、見積時における見込み貨物量増減や配送ルート等が発注時に変更になったり、配送ルートを見直さなければならないような発着地変更などがあったりする場合は、運送受託者と十分な協議を行い、合理的な運賃の再設定、合理的な追加的費用の負担をすることが求められる。
○ 積込み時間を指定した時、運送委託者の都合で待ち時間が発生した場合は、待ち時間を踏まえた合理的な積算に基づき、運送委託者は適切な費用負担をすることが望ましい。また、速度超過等輸送の安全を阻害するおそれがある到着時間の設定をしないよう、運行条件については十分な協議をすることが求められる。
(4)望ましい取引実例
<試行的な業務実施(トライアル)による見積の作成例>
貨物量の予測や配送ルートの合理的な設定が困難な場合、事前に運送委託者と運送受託者が協議を行い、運賃の算定式を決めたうえで試行的な業務期間で必要な作業工数を積算し、適正な見積が出来る段階になって本契約を結ぶようにしている。
<安全運行のためのシステム導入例>
運行管理・配車システムを構築することで、運送の依頼内容が変更になった場合、迅速に対応できるようになったうえ、無理な運行依頼に対しては、運送委託者に対し逆に無理のない提案ができるようになった。
5.運賃の支払遅延
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ あらかじめ定められた支払期日までに代金が支払われないこと
○ 請求書が提出されないこと等を理由として支払が遅延すること
○ 下請事業者の運送役務が提供された日から、60日以内に定められた支払期日までに代金が支払われないこと
○ スポット取引とスポット取引以外の継続的取引の支払制度を同一としたために、運送役務が提供された後60日以内に支払われないこと
○ 支払日が金融機関の休業日に当たるときに、下請事業者から事前に書面で同意を得ずに翌営業日に支払を順延すること
○ 荷主からの代金未払を理由として、親事業者が支払を遅延すること |
(2)関係法規の留意点
| あらかじめ定めた支払期日までに代金を全額支払わないことがある。 |
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定物流事業者の責に帰すべき理由がないのに、代金をあらかじめ定めた支払期日の経過後なお支払わないことは、物流特殊指定第1項第1号により独占禁止法違反となるおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法においては、下請取引の性格から、支払期日を不当に遅く設定するおそれがあることから、下請事業者の利益を保護するために支払期日を定める義務が課せられている。具体的には、下請法第2条の2により、運送の役務が提供された日を起算日として、起算日から60日以内の出来る限り短い期間内に支払期日を定めなければならないとされている。また、支払期日が定められない場合は運送が実際に提供された日が支払期日であり、その支払期日までに下請代金を全額支払わないことは、下請法第4条第1項第2号の「下請代金の支払遅延」に該当し、下請法に違反する。
また、下請代金をその支払期日までに支払わなかったときは、下請法第4条の2の「遅延利息の支払義務」により、役務提供日から起算し60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について、年率14.6%の遅延利息を支払わなければならない。この遅延利息は、当事者間で合意して決めた利率に優先して適用される。
なお、下請法の適用対象となる取引を行う場合において、一定期間の運送契約を行い、その運送が連続して提供される場合には、次の要件を満たせば、月単位で設定された締切り対象期間の末日に当該役務が提供されたものとすることができる。この場合、締切り後60日(2か月)以内に下請代金を支払わなくてはならない(月末締めの翌々月払い)。
@ 支払いは月単位で設定される締切り対象期間の末日までに提供した役務に対して行われることがあらかじめ合意され、3条書面に明記されていること
A 3条書面において、当該期間の下請代金の額(算定方法も可)が明記されていること
B 下請事業者が連続して提供する役務が同種であること
親事業者は、下請事業者と継続的に取引しているということだけでこれらの要件を満たさない場合や、要件を満たさないスポット取引では、役務が提供された日から60日以内に代金を支払わなければならない。
(3)求められる取引慣行
運送委託者と運送受託者の取引においては、出来る限り短い期間内に支払期日を定めることが求められる。(下請法では、起算日から60日以内の出来る限り短い期間内に支払期日を定めなければならないとされている。)
(4)望ましい取引実例
<継続取引もスポットも同様の条件にしている例>
経理上の煩雑さを排除するために全ての支払を月末締め翌月末払いにしている。
<社内監査制度の充実によりコンプライアンスを徹底している例>
一定周期で各営業所の監査を行い支払遅延等が発生していないか監査するとともに、独禁法物流特殊指定及び下請法の社員研修を行っている。
6.運送に係る付帯作業の提供
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運送委託者は、運送受託者の運転手等に依頼し、契約で定められていない業務(倉庫内荷役、ピッキング、仕分け、清掃、検査・検収等)について、無償で実施させること(契約外の無償による付帯業務) |
(2)関連法規の留意点
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第6号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
無償の労務提供を強要する行為は、下請法等の適用対象となる取引を行う場合、下請法第4条第2項第3号の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
○ 貨物自動車運送事業法の留意点
運送契約において、契約に定められていない役務を無償で要求することは、運転手の拘束時間の長時間化を招き、過労運転の原因となり、安全運行を阻害する行為になる。この結果、輸送の安全の確保を阻害することとなる場合には、貨物自動車運送事業法第22条の2に違反するおそれがある。
(3)求められる取引慣行
○ 特定荷主と特定物流事業者との取引
特定荷主が特定物流事業者に対し、付帯業務を依頼する場合は、特定物流事業者の直接的利益となることを明らかにした上で、十分な協議を行ったパートナーシップを結び、運送行為に伴う付帯業務の役割分担と費用負担に関し、あらかじめ明確に取り決めておくことが求められる。
(4)望ましい取引実例
<パートナーシップによる適切な役割分担を行った例>
荷主、元請事業者と協働して、現場における契約に基づかない付帯作業とリスク負担等について調査し、十分な協議を実施し、無償で提供してきた付帯作業についても、費用負担とリスク負担をそれぞれ書面化した。
7.購入・利用強制の禁止
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運送委託者が、運送受託者に対して自社・親会社・関係する会社の物品の購入を強制すること
○ 運送委託者が、運送受託者に対して自社・親会社・関係する会社が行っている損害保険代理店での自賠責、任意保険等の加入、その他サービスの利用を強制すること
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(2)関連法規の留意点
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指定する製品等を強制的に購入させたり、サービス等を強制的に利用させたりすることのほか、特定荷主(親事業者)が強制ではなく任意に購入要請を依頼したと認識していても、特定物流事業者(下請事業者)にとっては、その依頼を拒否できないことがある。
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○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させることは、物流特殊指定第1項第4号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、親事業者が、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させることは、下請法第4条第1項第6号の「購入・利用強制」に該当し、下請法に違反する。
(3)求められる取引慣行
運送取引において、運送委託者から商品購入やサービス利用の要請、目標値を提示した場合、運送受託者はそれを断れば運送取引に影響があるものと考えるため、要請を受け入れざるを得ないことがある。
そのため、運送委託者は商品購入やサービス利用の要請をしないことが望まれるが、そうした要請をする場合、相手方の意向に十分に配慮し、強制的な要請をしないことが求められる。
(4)望ましい取引実例
<下請事業者に対する購入要請をやめた例>
荷主から元請事業者に任意の購入要請があった場合、下請事業者にも要請を行っていたが、そのような行為を一切取りやめた。
8.長期手形の交付
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運送委託者が、運送受託者に対して、割引困難な手形を交付すること
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(2)関連法規の留意点
○ 物流特殊指定の留意点
物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が特定物流事業者に対して、代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することにより、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第5号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合には、下請代金の支払は金銭によることが原則である。一方、手形による支払も認められているが、下請事業者の資金繰りに多大な悪影響を与える著しく長い期間の手形など、割引困難な手形を交付することは、下請法4条第2項第2号の「割引困難な手形の交付」に該当し、下請法に違反する。
具体的には、手形期間は120日以内(繊維業は90日以内)とするよう指導されており、こうした点に留意が必要である。
(3)求められる取引慣行
トラック運送業は中小事業者が大多数を占め、運送委託者が、短期手形や現金で支払うよう配慮することで、トラック運送業全体として資金調達コストが低減し、その分安全・環境対策に振り分けられる資金が多くなる。
(下請法の適用対象となる取引を行う場合、代金の支払いにおいては、現金払が望ましい。手形払の場合には、手形期間は120日以内としなければならない。)
(4)望ましい取引実例
<手形支払期日の統一と柔軟な対応例>
どの会社に対しても、事務の合理化の観点から、手形支払期日を統一しており、特定物流事業者(下請事業者)からの希望があれば双方協議のうえ、全部又は一部を現金決済している。
9.報復措置の禁止
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 運送受託者が取引の不適正事例について、公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、運送委託者が貨物量を減じたり、取引を停止したりすること
○ 特定物流事業者が物流特殊指定に違反する行為に係る事項の要求を拒否したことを理由として、特定物流事業者に対して、貨物量を減じたり、取引を停止したりすること
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(2)関連法規の留意点
○ 物流特殊指定の留意点
公正取引委員会に知らせたことや物流特殊指定に違反する行為の要求に対する拒否を理由に不利益な取扱いをすることは、物流特殊指定第2項に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
○ 下請法の留意点
公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に不利益な取扱いをすることは、下請法第4条第1項第7号の「報復措置」に該当し、下請法に違反するおそれがある。
(3)求められる取引慣行
法令違反の情報提供に対する報復措置は、個々の事業者の経営とトラック運送業全体の健全性を阻害する行為である。不適正取引が行われた場合には、公正取引委員会及び中小企業庁だけでなく、地方運輸局等に相談をすることが望まれる。
10.書面の交付、作成、保存
(1)トラック運送業において問題となる具体的行為類型
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○ 特にスポット取引において、運送委託者が運送受託者に対して、電話による口頭のみによる運送依頼を行うこと
○ 3条書面において、運賃、支払期日、支払方法等の記載の不備があること
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(2)関連法規の留意点
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トラック運送業の商慣行として、特にスポット取引の場合、電話による口頭のみの運送依頼が日常的に実施されており、業界の取引慣行として根付いている。
また、契約書を締結しないまま、お互いの信頼関係のみで取引を行い、個々の運送業務についても発注書面を交付せず、口頭で発注しているケースや、基本契約書を締結している場合であっても、この契約書に記載されていないサービスを委託する場合に、その給付内容を記載した発注書を交付していないケースがある。
さらに、契約書において「別途定めるものとする。」と記載しているだけで、「運賃表」や「単価表」を作成せず、覚書等でも取り決めていないものや、個々の発注書面において運賃、支払期日、支払方法等の基本的事項を記載していないものが多く存在する。また、下請代金の額について、具体的な金額の記載が困難な場合であっても、算定方法を記載できるにもかかわらず、その算定方法を記載しないものもある。 |
○下請法の留意点
下請法の適用対象となる取引を行う場合、下請代金の額、支払期日、物品等を受領する期日等の具体的記載事項をすべて記載した3条書面を交付しなければ、下請法第3条の「書面の交付義務」に違反する。
3条書面交付義務に違反した場合、行為者(担当者)個人が罰せられるほか、会社も50万円以下の罰金が科されることとなる。
なお、親事業者は、下請事業者に対し製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした場合は給付の内容、下請代金の額等について記載した書類(5条書類)を作成し2年間保存する義務がある。
(3)求められる取引慣行
○ 特定荷主と特定物流事業者との取引
特定荷主は、不要なトラブルを回避するためにも運送委託者と運送受託者の双方が協議して、運送内容及び支払条件を書面化して特定物流事業者に交付することが求められる。
(4)望ましい取引実例
<継続取引における運送契約例>
継続して一定期間取引がある運送契約の場合、運送契約書を交わし運送内容及び運賃を詳細に定めた。
<スポット取引における発注例>
スポット取引の場合に一定のフォーマットを定め、下請法上の具体的記載事項を網羅したもので運送依頼書ができるようにシステム化した。
<作業指図書に3条書面の事項を記載している例>
作業指図書に3条書面に記載すべき事項を示し、運送指図書に3
条書面の機能を持たせている。
第3章 適正取引の推進のための今後の施策の方向性
1.関係者の役割分担に関する考え方
トラック運送業における取引の適正化、健全な競争環境を整備するには、荷主、元請事業者、下請事業者における取組だけでなく、業界団体、行政等による継続的な取組が必要である。
■ 概 要
荷主・元請事業者/元請事業者・下請事業者のパートナーシップを基本にした取引適正化への取組事項は下記の通りである。
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